オルフェンズ/リトルウィッチ/昭和元禄落語心中

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ・46話。最後であるはずの戦いはずるずると終わる。ラスタルも相手を仕留め切れなかったうらみが残ったが、マクギリスと鉄華団に至っては状況の改革どころか追いつめられての迎撃戦しかもう手が無いという結果。お互いの右腕たるジュリエッタと石動、かたや撃退されるも生き残りこなた死亡、というのがそれぞれの陣営とパラレルな印象ですな。

どうしようもない環境を打破しようと踏ん張ってきた結果が大高所からの集団飛び降りみたいなもの、何でこんなことになった…と思わざるを得ないオルガさんではあるが、多分どこかに歴然とした原因があるようなものでもなかったのだろう。鉄華団は真っ直ぐに過ぎる。また、それを受け入れてくれるシチュエーションが回りに重なり過ぎる。もう迷わない、とミカに言うオルガだけど、多分その吹っ切れた覚悟は…あまり明るいものではなさそうな気がする。

鉄華団の中に居つつもどうしても価値観を共有できない、至ってフツーの人間であるザックを置いてんのがなんか上手いなと思う。彼の存在は「こいつらが正しいってワケじゃないぞ」というベクトルをもたらし、またそれ故にいささかの悲壮感と美を強調させる。なんかこう、スイカの塩みたいなキャラだと思うン。あんま余裕ないのは正直そうだが、鉄華団の幹部連中はもうちょっとコイツをケアしたらないろんな意味でアカン方向に行くような気がするぞ。ま、それも物語ではあるのだけれど。

リトルウィッチアカデミア・9話。お休みの日の外出で、決して魔法を使ってはいけませんよと言うお達しに開始数分で反逆するアッコたちが本当に頼もしい。この辺ホンマ、昭和の悪ガキマンガやお転婆娘マンガっぽいノリやんね。ここまで来るとフィネラン先生にちょいとご同情申し上げる辺り。劇中チラっと出てきたが、過去には魔女魔法に対して暗いイメージの時代もあったようだし、教師連が保守的になるのもしょうがないかなってとこではある。

さて、割とどうでもいい理由で修復魔法使ったらキノコ的暴走してゾンビの復活である。何やら復讐しなきゃならんという意識だけがある困ったおっさんゾンビだが、どうやら彼の復讐とは彼自身の無念さ、心残りのようである。このドタバタで最後なんだかスゲエいい話になった気がするってのがこの作品の味わいだわな。アッコたちはキッチリ反省させられてるってのもいつもどおりですけれども。…にしても修復魔法で元のところにぶっ飛んでいく、ってのはあれ、仗助のスタンドもビックリの応用ではありますな。

コンテに大地丙太郎。言われてみればパキパキ進むコメディテンポはそれっぽい。今回それ以外に演出・作監ともに結構な「補佐」ポストを置いており、クォリティを保つのに苦労してんなって感じがした。いや、一般的な地上波アニメとしては充分な仕上がりなんだけど…前回の今石組のリソースを分けたったらエエやんけ! とか思っちゃうよね。あとおとーさんゾンビの多田野曜平がいい味わいで、軽味と狂騒ぶりがかつての青野武を思い出す演技でありました。山田康雄のコピーもイケるってのがすごいよな、この人。

●あれ、また録画失敗してる…。しょうがないのであれこれして補完、の昭和元禄落語心中・10話。小屋の消失に遭い一命を取り留めるもすっかし老け込んでる八雲さん。小夏さんの懐妊といい「女性落語」について話す与太さんといい、何となく世代交代っぽい要素が前面に出てきてるような気がする。世代交代なんてキレイな言葉を使ってるが、要するにそれは旧世代の死ということでもある。今回の最後にまたぞろ助六姿の死神が出てきてましたが、そういや今回は「生と死」というモチーフが濃厚でもあったなあ。桜の枝、新たな子供辺りは生命。燃えた小屋、八雲はもちろん死。生命というものが絵ろっちいものであるとするならば、野ざらしなんてもう生と死の同時盛りの最たるものだ。エロスとタナトス…うん、姐さんの懐妊を聞く与太さんが「桜花」と「蜜タップリのみたらしダンゴ」持ってんのも深読みしちゃうね! 

後半、底抜けに明るい与太さんの落語を聞きながら、極めて素直に向き合い語らいあう八雲と小夏のシーンがどうにもグッと来る。それまでの尋常ではないシガラミ愛憎、それらがあったればこその真っ直ぐな言葉。八雲が死神に呼ばれる前に、こういう形でお互いを認識できたのは幸いであったと言えましょう。…形だけでも小夏さんを弟子としたことで、八雲はまたこの世に落語の一部を残すこととなった。ま、生命の影響力ってのはそういうものだ。よねえ。

●落語心中はちょっと録画失敗が多いなあ。放送時間変更にウチの録画機が付いてってくれないのが問題のようで。うーん、番組そのものを指向した録画予約方式が簡単にできるべきではあるまいか。…番組名検索予約に切り替えようかな、ってもうすぐ終わるんだけどさ。