鬼平/オルフェンズ

鬼平・12話。冒頭いきなり出産→母子ともに死亡と、なんか今までにも増してキッツイスタートからのお話。身罷った女性の旦那さんは同心の小柳、このことで彼の道場における稽古は激化したりする。なんせオーラが出る。そんな中、身投げしようとしている若いごりょんさんを見かけて何かの縁と命を救うのだが、この旦那がどうもちょいと裏があるお人であり…っちうね。

小柳同心と筋の通った盗賊の男の話。サブタイの「あきれた奴」とはこの二人のことであり、一言の言い訳もせず自分の思うところに従い責も受ける、という時代劇に見合った漢ですよという。そらまあそれでいいんだけど、件の盗賊・又八が司法取引のネタとして下手人の盗賊を引っ張ってくるまで半年間、ってのは流石に長ェな! それだけ本気のことですよって表現だろうけども、半年もありゃその間いっぱい事件事案もあるだろうし、なんかお話的に大丈夫なんかしらとか余計なことを思ったりもした。まあそれは枝葉末節…なのかな。まいいや。

又八に大川透、今じゃすっかり大物役しか来ないこの人に気弱で善良な又八をアテる辺りがこのアニメやなあと。あとその妻が「のん」さんでした。決してヘタクソではない、ナチュラルな感じの声がなんか新鮮でよろしい。このまま着実にキャリア積んでってほしいもんだと思います。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ・最終話。団員たちを逃がすために捨てがまりのミカとアキヒロである。ここではないどこかへという言葉とともにあったミカだけど、行き場の無いどん詰まりの戦闘においてこの戦場こそが「どこか」であると知る。彼らはとにかく動き続けなければ意味が無い、その過程としてだれかを守れればそれはそれでよい…とまあ、そんな存在であった。命の最後の炎が燃え尽きる寸前の、もうバッキバキに輝いてる(そしてこれ終わったら確実に死ぬだろうと判る)戦闘シーンは白眉でありましたね。

そして戦いは終わり、世界はちょいとエエ方向に向かったように見える。ラスタルが完全なる勝ち逃げ、戦闘でも勝ち立ち位置としても勝って終わるってのはなかなか意外なノリだけど、まーこのおっさんはそういう立場も難なくこなすだろうしね。あとちゃんと昔のキャラに戻ってるガエリオさんは良いとして、妹さんはどうなってんスかね。あの人、何気に結構な悲劇のヒロインだったような気がすんですけども。それとあとイオク様はいい断末魔の演技でした。あの絶妙な力加減は実に良い。

●総評。組織や世界としてはともかく、メインキャラが壮絶に討ち死にして終わるというビターエンドなガンダム。確かに彼らの境遇を考えればまあそうなるかなとも言えるんだけど、上でも書いたとおりラスボス扱いのラスタルがそのまま世界の顔となって悪人でもなくそこに居る、という終わり方はちょっとした冒険だなとは思う。…シリーズ見てて気付かなかったけど、これのモチーフって新撰組もあったのね。そう考えりゃ「平時となる前に全て払底されてしまう戦闘集団とその美学」ってのは割とよく嵌る。

特に第2シーズンの後半は、ひたすら裏目の撤退戦・規模縮小してゆく消耗戦の連鎖となってて、重ッ苦しいトーンが続いちゃってんのが毎週のアニメとしてちょっとキツいとこだったって印象。その分ミカが出てくりゃ安心の大暴力が見られてよろしくもあったんだけどね。あとマクギリスさんはなんか妙なキャラで、外見や個々の行動を見ると深謀遠慮ありそうな雰囲気なのにその実はかなりストレートな、裏表のあんまり無い存在だったのがちょいチグハグではあった。オルガもあの過剰な存在感にアテられたとこがあったんじゃなかろうか。いや脚本上そういう意図があったかは判らんけれども。

てことで、それなりに微妙なところがあったりしつつも、今時4クールでちゃんとお話繰ってくれる(かつワタシのような擦り切れたおっさんが見ようと思う)ような作品はそこそこ希少なので、その辺楽しんで見てましたですよ。ミカのキャラはほんと、こういう作品の主人公として特異でいいねえ。迷わない強キャラ、ってのは結構好きでんな。