だがしかし/昭和元禄落語心中/オルフェンズ

●だがしかし・9話。前半はわたパチとうんチョコ。ほたるさんが口内炎でその上好き好んで二酸化炭素封入飴を喰ってパチパチしたり、サヤ師といっしょにうんチョコうんチョコ言うたりするという、まあそれだけの話。登場人物がお嬢さん二人だけのガールズトークなシチュだけど、かたっぽがほたるさんなのであんまりガールズしてくれない状況である。まあそれもまたよし。

後半はさくら大根とおっぱいアイス。ほたるさんがまだ口内炎なのに駄菓子漬物アテに飯喰ったり、ココノツといっしょにおっぱいおっぱい言うたりするという、まあそれだけの話。つまり今回は竹達さんにうんチョコとかおっぱいとか連呼させてそれをココノツたち目線で賞玩する、という趣向ですね。エエ趣味してると思います。

「店に戻ったらヘンなお姉さんが白飯もぐもぐやっている」というヘボっちいギャグの味わいは少々薄れているが、そんかしそのヘンなお姉さんに気持ちよく振り回されるという状況は生き生きしている。前も言うたけど、いいよねこういうノリが良くてヘンテコなお姉さん。でも口内炎はちゃんと養生節制し、ステロイド剤でも塗ってちゃんと恢復しといたほうがいいっすよ。ゼヒ。

昭和元禄落語心中・10話。冒頭、人気の出た菊比古に弟子入り志願の若者。親を振り切って来たという彼に「親子会で師匠に恥ィかかせんのか」と切って捨てる菊さんであり、こういう辛辣さはホンマ彼らしい。菊さんらしいし石田らしい。そんな中師匠の八雲が倒れ、病床の語りにて八雲と助六…先代と当代二人についてのことが語られる。助六という重石、八雲という鎖。その「呪」が彼をして生涯枷となり続けてきたのだ、と。

菊さんがそれを受けて「アタシは師匠のそういうとこがキライです」と言い、だからこそ今の自分がある、師匠に弟子入りして良かった、と返すのである。否むことで生きる瀬もある親子の姿、ですかね。そういうヒネたところも菊さんの落語であり、それはその後一発目でかけるネタが「死神」だって所にもよく現れている。このキツ目のシャレをキッチリ生かすために、今回はまたすっげえ盛り込んだ演出が為されてて「死神」んとこは一編の聞き所になってますな。落語としてはかなりクサいんだが、それだけにちょいと鬼気迫るものがあったりしてなかなか目を引くことである。

ラストは所宛にシンさんとみよ吉をたンね行く菊さんが、温泉町で落語をやってるお嬢さんに会うまで。考えてみりゃ女だから落語を生かせない彼女は、男なので芸子になれない菊比古の合わせ鏡なんだなあ。…あと小林ゆうのお子様演技ってワシ的には久しぶりかもしれない。てことでうーん…気合の入った作品ってのは承知してるが、それにしても張り詰めた話である。気が抜けねェやな。八雲師匠が倒れかけでソデに引っ込んだ時の表情とか、あーここまで描くんだって思ったもの。覚悟やね一種の。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ・23話。失地回復汚名返上背水の陣。こんな重苦しいものたくさん背たろォて臨む戦いってことで、カルタさんにはもう逃れようのない死相が浮かんでいる、そんな状況。もう一つ背負っているものを挙げるなら、それは名誉だろうか。家名や地位、それにマクギリスとの間の名誉。当然ながらミカにとってはそんなもん髪一筋ほどの意味も無い。んでもって両者の間に立ち、一人だけ我が道を進んでおられるマッキーですけども、大丈夫ですかねえ。あとアインさんは巨大ロボアインさんになりました。

カルタさんを形成している過去の記憶、現在の状況。それらを考えれば自然な行動である「名誉の決闘」に対し、あまりにも即物的な奇襲によって全て粉砕するミカ…という構図は、かつてのクランクとの対峙の再現であると言える。そうねえ、つまり彼我双方の行動の「コード」があまりにも違うのだ。だからミカは対岸の悲劇を悲劇として認識しない。このことにより、今回ラストのガエリオによる情緒的なシーンもいささかその意味を無効化され、それだけにまた別種の悲劇性を帯びたりしててねえ。そんなけ我執を燃やしても多分ミカには理解されないんだろうなあ、と。

それにしても敵味方、お互いにどんどんと遊びというか余裕が無くなり、硬直化して折れてしまいそうな危うさがマシマシになってきてますな。その様子をエゲツない描写が補完してるようでなんというかそのね。20m級の巨大質量で人間がぶっ飛ばされて雪原に赤い染みを作る、というあんまりな絵にヘンな笑いが出ましたです。