昭和元禄落語心中/鬼平/オルフェンズ/リトルウィッチ

昭和元禄落語心中・8話。いつの間にか弟子ィ取ってる与太さんであり、どうにも頼んないとこは何となく彼が取る弟子らしい気はするが今んとこはまだ海山付かないってところ。さて、月にススキの夜空見て、野ざらしをヤる与太さんの背中に頭もたせ掛けて彼の落語聞いてる小夏姐さん、という絵がとてもかっちょいいところにやってくる八雲師匠。ただごとではない雰囲気に「死ぬつもりじゃねェだろな許さねっぞこのジジイ」と息巻く小夏姐さんであるが、師匠すっかり気力が落ちてしまっており…というね。

老いにより自分が落語から離れていっている恐怖。八雲が恐れ、与太さんに八つ当たりするのはまあ「真っ当」と言えるだろう。それに対して「あそうだ、師匠にゼヒ見てもらいてェ落語があるんス」と打ち返す与太さんのまっつぐな気性が好ましい。ちょいとした陰謀で高座に上らされる八雲(女将の「ンまっ!」からの強引なヤリクチがすごく良い)の前座として、与太さんが掛けるネタってのが芝浜、それも先代助六のもの。感極まってほろほろと泣いてしまう、やっぱ与太さんのキャラはすごくいいねえ。

結局この場は警察の蹂躙によって未完となる。感情の盛り上げ方が上手くて、見てるこっちも登場人物と同じく「オイそりゃねェだろ」と思ってしまうのが凄いわなあ。このラストへの流れは本当に感心したりしたよ。

冒頭、落語家復活の萬月がやってんのが張り扇と見台付きの東の旅。上方落語が出てくるのってこの作品に限らず割と珍しいけども、張り扇のすぱぱすぱぱぱんってなあのリズムはやっぱ気持ちいいよね。これも他の演者と同じく、遊佐さんに一席全部やってもらったんだろうか。東の旅全部。ええ全部。

鬼平・7話。冒頭、ヤケドあとのある男の子が街の瀬戸物屋をやりこめるシーン。やってることは一休さんみたいなものなのだが、彼の何か捨て鉢でケンのある態度が全体的に暗い印象を与えている。月日は流れて数十年、お白州で不敵な態度を取る男に平蔵が思い出したのがその男の子。DVに苦しめられていた彼を腕一本で助太刀した平蔵だが、その男・五兵衛に何があったのか…って、いやあこれ…今の昔の言わずありそう話で、気が滅入るわなあ。ある家庭の問題にいっちょ噛みで関わってもエエことにはならん、っちうねえ。

別に失うものも無い男がこの世を恨み、平蔵に対して仕掛けた言葉の攻撃がすっげえ狡猾効果的で感心する。お順ちゃんもああ言われちゃ居ても立ってもいられんわなあ、ってとこで冒頭の鮎に繋げて事件を転がすのが手馴れたものだ。それ聞いてはらはらと落涙して闇を落とす五兵衛は、見かけによらず甘かったと言うよりは常にそういったことに飢えてきた人生だった、っちうことやろねえ。

瓶割り小僧の音松、後に盗賊五兵衛に竹内順子石川界人というなかなか華のあるキャスト。えーと、考えてみればこれ、中の人的には若返ってますね。半分くらいにな!

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ・45話。これが最後なら、というお話。最後というふれこみの戦いならばそりゃもう激戦というか後のない状況というか、とにかくオルガにとってはとことん精神を削る状況となる。また敵のラスタルさんが効率的に容赦なく畳み掛けてきて、ダインスレイブによってコテンパンとなるまでのシコミと流れが実に遺漏のない、「大人」っぽい厳しさがあって堪らない。

鉄華団はいささかミカ頼りなところがあるってのをジュリエッタを配置することで急所攻め、マクギリスもどうも真意が読めない頼りなさを呈しててアテにできない。みなでこの正念場を抜けようやと踏ん張る団員に対し、ただ死地に向かっていけとしか言えないオルガの鬱屈たるや。こそこで鉄華団得意の一発逆転としてシノの大威力砲を起用するんだけども…うん、最高に盛り上がったとこで全てがチャラになるあの流れ作りは(予測できただけに)上手いなあと思った。ただでさえカスカスの状況下、これが決まらなかったとなると…どうなるんだろうねえ、って感じである。

割とストレートにヤマギの同性愛感情を描いてんのは昨今の作品らしい。肝はやっぱシノの側が(少なくとも形式上は)ノンケのままで退場するって辺りでしょうかね。よく判んないですけども、ええ。

リトルウィッチアカデミア・8話。違法な魔法実験によって(自業自得)眠りから覚めなくなったスーシィを救うため、アッコはスーシィへのマインドダイブを試みる。そこで見たスーシィの内面とは…とまあそんなお話。皮肉屋でクールで大人びたスーシィの精神に息づく奔放で無秩序なペルソナたちの描写がすこぶる面白い。「冒頭とラストに出てくる剣と盾は何か」「暴走スーシィは何のペルソナか」など、深読みしようとすればいろいろできそうなネタをちりばめてはいるんだけど…いやあ、ものすごく濃度の高いスーアコ描写がストレートで割と驚いた。夢の中という条件下だからこその描写なんでしょうけど、こりゃその界隈はいろいろわいわいするだろうなとか思った。

脚本うえのきみこ、コンテ今石洋之ってことで勢いがハンパない。ストーリィ段階でのぶっ飛びに演出作画が悪乗りしかけてくるのでちょっと目を離すと二つ三つネタを見逃してしまう。この30分枠にどんだけパロディをぶちこんでんのか、ちょっとさらい切れないよね。冒頭のデクスターズラボネタに始まって、今年のヒット映画総ざらえにマレフィセントに三角頭にAKIRAに…気付いてないネタいっぱいありそうだなあ。劇中アニメの雰囲気は初期のディズニーというかあれ、フライシャー辺りだろうか。アッコだけ杉浦茂風味でしたけど、この辺の作画がすんげえ凝ってて今石のおっさんの面目躍如ってとこである。

前回も同じ脚本家かつトリガー色の濃い風合いだったんだけど、その前回が作画枚数は抑え目に原画と演出のセンスで軽やかにヤッツケた感じだったのに対し、今回は後半のアクションを中心に圧倒的な作画リソースを消費しての力技パンチ。見所だらけの回ではありました。あと精神世界のいろんなスーシィ、これを(当たり前だけど)一人で演じ分ける村瀬迪与が楽しくてよろしい。本編であまり出さないかわいったらしい声とかカッチョイイ声とか聞けて耳福であった。