昭和元禄落語心中/鬼平/オルフェンズ/リトルウィッチ

昭和元禄落語心中・4話。時代はもう少し飛んで数年後。与太さんは世間的に結構な人気者となり、世間のかつてのヤクザバッシングは一応ナリを潜めている様子。んで子供の信乃助は幼稚園児となっておられるのだが…この、小松未可子声のお子さんが何ともあざとかわいくて逆に怖い! かわいったらしさとナチュラル媚の大盤振る舞いに、どことなく先代助六の面影があるという何だこのカンペキなお子さん。直前までイヤミ吐いてた八雲でさえキッチリ可愛がりモードに移行する辺りホンマモンである。…どうなんでしょうね、この子これからこの話の中でどういう役割を持たされていくのか。ねえ。

本編は居残りに苦労する与太さんはとりあえず置いといて、幼稚園の落語会で半ばムリヤリ高座に上らされた小夏姐さんの話。元から素養は充分だったこともあってすっかり下座には馴染んでいるのだが、ここにきて自ら封印してきた落語そのものへの扉が開くことになる。落語技量が高いと聞く小林ゆうの演技と相俟って、この高座シーンはなかなかの熱量があってよろしかった。

車中での樋口さんとの会話に出てきて否定された新作落語ともども、この女性落語というテーマも云わば八雲という存在の対極に位置するものではある。八雲はこれら落語の新しい要素を容れず、そんなことになるならカテゴリともども心中してやる…という立ち位置なのだろうか。あるいは、八雲が心中する相手はそういう「古い落語」だけなのだろうか。まだその辺は彼の意図を読みきれない。

今回の小夏さんの落語、不安な様子からクソ度胸でノリだして最後覚えず感動してしまうまでの流れの作り方が上手いなあと。細かいとこだけど一礼して起き上がる時、僅かに右側に傾いで持ち直すというあの動きは不安な心を示してあまりある演技のつけ方で感心する。あれ、コンテ指示なのかそれとも原画なのか作監修正なのか。どの段階だろうねえ。

次回予告にちょろっと線香見えてたけど…ひょっとしてたちぎれ線香でもやりよんのか。確かに八雲にはビッタシフィットのネタではあるけども。江戸落語よう知らんから他に線香ネタあんのか判んないんだよね。…検索してみると江戸バージョンだと小糸の名前がみよ吉だったりすんのか。こらまた業の深いことで。

鬼平・3話。腕の立つ辻斬りに待ち伏せられ、辛くも退けた平蔵はあとに残った化粧の香りに気付く。それは最近売り出しの「白梅香」なるもの。香りの糸を手繰り寄せれば、現れたるはある腕の立つ武家に降りかかった辛い現実…あるいは武家という制度の悲哀。「悪人斬って一件落着」とならない、いかにも鬼平らしい余韻を残す話ではありますな。

しかし今回の「依頼主」が誰かはまだ明かされない。これ、引っ張るってことはそこそこめんどくさい敵なんだろうねえ、地位的にか権力的にか。今回の刺客・金子半四郎は、線の細い女のような外見に女物の香をまとうという…ああこりゃいかにも悲劇の剣士でんなというデザインでまことによろしい。これで関智一の声ってのはちと意外なキャスティングですけどね。抑えた演技は流石に手練れではある。

…お、次回はおまさ登場回ですか。なんか前髪がジャギーでワイルド気味なおまさだな! 確かパクロミ姐さんだっけ? 割と合ってるかもしれない。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ・41話。名瀬の兄貴と姐さんは舞台を去り、大きな事件となったものであるのにイオク様は相変わらずだしジャスレイさんは悪計をめぐらせてるし、で鉄華団にはあまり悼んでいる余裕もない。それでもヘタに動いて場をひっくり返すことを恐れ自重しているところへ、ジャスレイのオジキは割と最悪の一手を打ってくる。その最悪ってのは鉄華団にとってのことか、それともジャスレイにとってか。いずれにせよ、これから鉄華団テイワズを切って野良犬軍団に戻らざるを得ない。混迷する力関係はどうにも先が見えず…ってとこであるが。

てことでラフタさん退場の話。死亡フラグを積み上げてはスイと肩透かしかけたりとトリッキーなところの多い本作だけど、こと今回のラフタさんにあってはかなり明確に「あ、これは…」って感じのフラグ構築で、一種の様式美を見せて情動に訴えかけてくる構成だったっすかね。ドラマチックさも見せず街角でパンパン銃撃つ鉄砲玉とか、昭和ヤクザっぽくもあり禁酒法時代のマフィア抗争っぽくもあり。この時のアジーさんの、キャーでもワーでもない「あーああああ」って感じの叫びがすっげえ印象的で良かった。目の前で何が起きたか理解できない、って演技ですなあ。

予告含め、これはどう見ても次回ジャスレイの退場という流れではあると思うのだが、そうなるとイオク様をどういう駒に見立てるかやね。ラストかはともかく大ボスではあろうラスタルさんの前に何らかの粛清でもあるんかしらね。いずれにせよ、ジャスレイもイオク様も「得体の知れなさ」って奥行きがちっともないキャラ造形されてるし、そろそろ落とし前付けさせられたりすんだろなあ。さて。

リトルウィッチアカデミア・4話。いままでちょい地味であったロッテさん担当回にしてなかなかにハッチャケる話、と見せかけて作り手側の自己弁護、あるいは作り手へのエールでもあるような話。ロッテさん憧れの小説家に会いに行ったら思いがけず自分がその作り手と成らされかける、という…これはある意味での「呪」と言っても良さそうだ。人によっては経験すると抜け出せないってとこも含めてですがね。第十二代アナベルの人、それまでずっとヘッドホンをしていたのがロッテさんとの会話によっていつの間にかそれを外している、ってのがベタでよろしい。彼女の「他者へ耳を傾ける」という行為をヴィジュアル化してるってワケだ。

にしてもその小説、ナイトフォールですか。何でもアリのエンタメファンタジーなのはいいとして、364巻続刊中!? 刊行期間120年!? ゴシックホラーにして耽美恋愛メインっぽいくせに主人公が宇宙へ行って核兵器素手で受け止める、という…矢継ぎ早のツッコミ待ち描写が堪らない。何でしょうね、バトンタッチで延々書かれるシリーズってローダンみたいなもんっすかね。…もうこれは一つのジャンルと言うてもよさそうだなあ。

脚本に樋口七海、あまりお見かけしない方だなと検索したらどうやらトリガー生え抜き、キルラキルから本格的に文芸仕事を始めた方らしい。ネットの評価や炎上などがナチュラルに出てきてる感じなのは感性の若さでしょうかしら。んで絵コンテに桜井弘明。軽妙なコメディクリエイターとして手堅いお人ではあるが、こういう苦労も努力もキッチリやってそうな印象はある。…しかしあの魔女世界、ネットもフェイスブックもどきもありよんねんね。いやあるのはあるだろうけど、ロッテはあれ、精霊魔法によってネット世界をブラウジングしてんの? おもろいなあ。