ちくわぶ奇譚

ちくわぶを買う。西日本の人間の例に漏れずなじみのない食材で、というか多分これまでの人生で喰った記憶がない。最初に聞いたのはなんだったかなあ…「べーしっ君」で3Dポリゴンのちくわぶを作ってて、「ちくわじゃないの? ちくわぶって何だ?」と思ったのがそれだろうかしら。とまれ、何か気にはなっていたのだ。

買って帰ったはいいものの、さてどう調理したものか。成分は小麦粉と水と塩のみ…ふむ、おでんの具によくある魚肉練り製品ってよりもうどんやすいとんに近いってことか。検索すると当然ながら大概は煮物ですね。まず下茹でして、それから二三十分ほど煮込むらしい。ここでおでんでも作るのが真っ当なんだろうけど、なんか天邪鬼心が働いてポトフっぽいものにした。ウチにある食材のニンジンとタマネギとホールマッシュルーム缶詰をブイヨンと醤油少々で煮る。自然に冷ましてできあがり。

おー、野菜とブイヨンからいいダシ出てんなー。ちょろっと醤油入れたんがいいアクセントになってるわ。次煮物するときもこれでやろう。…はいいとしてちくわぶですが、なるほど…確かにこれは小麦粉の練ったものだ。30分弱火で煮た程度だと思ったよりも食感とコシがある。おでん屋みたいに煮っぱなしだとぐでぐでになるんだろうな。そしてうむ、喰い物として悪くない。先述のダシを吸い込んでて旨い。別にこんなんだったらフツーにそこらのおでんに入っててもいいのにな、とか思った。

あと、変わりちくわぶとしては揚げるのもそこそこ定番みたい。醤油ベースのタレに一晩漬けておいて翌日カタクリまぶして揚げてみる。うん、これはこれで美味しい。もちっとした食感的に少しお菓子っぽいのだが、醤油ダレの旨みがしみ込んでてなかなかよろしい。…しかしこれ確かに、ホンマ揚げたてじゃないとダメなのだな。少し時間置いて喰ったらもうもそっとして旨くない。その場で喰わなきゃあきまへんという、一種贅沢な喰い物ですね。ま、ともあれ、結構満足した。また買って何かに使おう。