蟲師

蟲師 続章・13話。逢魔が時に影を踏むなかれ。特にそれが影のみの者ならばなおさらである、というお話。昼と夜、現実と虚構の境目のような夕暮れ時の、それこそ夢幻のような紅色が妙にキビ悪くもキレイな絵面で結構凄味がある。影が明暗逆の紫色グラデーションなのが絶妙な不可思議っぽさで、こういう色彩設計のうまさは本当にすごい。いや、ちょっと夜中見ながら背筋ぞくっとしましたよ。

お話は…何でしょうね、取り替え子と神隠しをないまぜにしたような奇譚というか。話の奥行きの深さになってんのは取り替えが起こってから数十年、少女がおばあさんになるくらいに日常に馴染み、年輪と経験と情感を重ねた後で今更…って辺りやよなあ。最後、爺さんと入れ替わりに戻ってきたアカネさんは果たして幸せなのだろうか。ずうっと孤立したまま誰の影も踏めず、ただそこにいたというアカネさんの健気さは、これもちょっとぞくりとするくらいの重さがあってよろしい。そら爺さんも身を投げ出すわなあ。

老夫婦に鈴木れい子西村知道のお二人。演技の力量に不足は無く、もうガッツリと世界を構築してて文句も出ない。鈴木れい子の人はふらっとどっか去ってゆくシーンの心ここに無い演技と、普段の矍鑠としたお婆ちゃんぶりの対比がスゲエよね。西村知道のおっさんは最後の一連の台詞に鬼気迫る情感があってこれまたナイス。うん、絵と音との両方からスマッシュヒットされちゃこっちとしてもダウンするしかねーわなあ。