ジョーカーゲーム

ジョーカー・ゲーム・最終話。飛崎さんは理不尽な陸軍のシガラミ状況から結城中佐によってD機関にスカウトされ、ある事案を追うことになるもどうもはかばかしくない。そんなところへさして冷笑的な機関の他エージェントたちがあてつけがましく自分のところに情報を寄越してくるので「イヤミかお前ら」と腹立てたら「これお前の事案じゃん」と返されてハッとする。上手くいかない理由は何か。それはかつての飛崎さんの記憶にあったりなかったり、とまあそんなん。

特に大立ち回りの大事件でもないエピソードが最終回となるってのは、この作品らしくはある。初っ端のエピソードのちょっとした呼応があってニヤリとはするが、前後編くらいのボリュームがあってもよかったのではと思わんでもない。まあそれはちょい前の風機関話で済ませといたってところだろうか。

●総評。IGによる台詞密度が高くて絵的にもすっげえ整ったスパイ話、という誂えたようなアニメ。脚本や演出、作画に至るまで手間暇かかってるけど全体的に地味でどうも費用対効果がよくない、ってのもなんとなくIGっぽい感じはする。それこそ「実写でやれ」という意見もあるだろうしまあ実際実写化のあとにこのアニメという図式なのですけどね。それでもこの、隅々まで計算された画面設計と演出の「端正さ」はこのアニメじゃないとちょっと出せない味ですわな。D機関エージェントがどいつもこいつも似ている、実はよく見ると結構違うのに印象はもやもやと統合されてしまうってのも意図的だろうし、そしてアニメじゃないとやれんようなネタだしね。

声優ネタからするとあっちこっちからイケメンにして演技派のお方を取り揃えてきた豪華な雰囲気が売りでしょうな。その中にあって結城中佐の堀内さんは、この方目一杯の「ミステリアスエエ男モード」全開でよい要石になっていた。各話ゲストも重鎮そろいでなかなかの聞き応え。後のほうにやったからってのもあるけど、銀河万丈のドイツ将校は印象に残るなあ…もう絵に描いて額に入れたようなハマリっぷりであった。

てことで、ある意味すごく贅沢な作品ではなかったかなと思う。老婆心ながらこれ、上で費用対効果と言うたけど、ちゃんとペイできたんかいな。まあそれはワシが心配するようなこっちゃないけどさ。あーそうねえ、風機関はともかく陸軍の対立勢力、西村知道玄田哲章のコンビについてはあれからどーなったのか、ちょっと知りたい気もする。うんまあ、そんな感じで。