ワタモテ

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!・最終話。文化祭も終わり、もこっちさんの生活は「いつもの日常」へと戻ってゆく。ってったってそれはクラスに溶け込んだとかそういう類のものではなく、単に孤立状態に慣れてきたというだけのことだ。もこっちさんがかつて思い描いていた、かくあるべき高校生活には程遠い。だって現実の生活は…。夜中、今までの自分の所業がフラッシュバックして「あああああ」ってなること、確かにあるよねえ。それが「ウチ女性武器商人になるねん」っちう言動であるならなおさらである。てェかゆうちゃんもゆうちゃんである。そこはほっといて忘れてあげるのが世の為人の為である。悪意が無いってのが余計に心に刺さりますなあ!

しかしもこっちさんの毎度ながらのエエトコは、一応「何とかしよう」と行動をするところにある。そういうマンガだからその行動は想定される道筋からどんどん逸れてってしまう運命にはあるが、それでも…ねえ。最終回ってことで、実行いいんちょのイマイさんという更なる光条を持ってきたのは良い区切り方である。黒木さんという名を覚えているだけでなく、「あの子は一生懸命でかわいい」と言うイマイさん。これがなんかこう、一般的な小説とかなら、イマイさんやゆうちゃんの存在をキッカケに少しずつ変わってゆくもこっちさんとかも見られるかもしれないんだけど・・・ま、この作品のこったし、当分はそのままのチミなんでしょうなあ。

ゴキブリ潰しのシーン、ハタから見りゃ「普段大人しくて地味な子がいきなりゴキ踏んちゃぶした」っちう風景だし、まちょっとそら引かれるかもしれん。この辺唐突な3D画面になったりテラフォーミングっぽいマンガネタになったり、妙にキッチュな雰囲気でなんかおもろかった。このいかにもCGっすよーっちう絵が…いいなあ、なんか。

●総評。「お前らが悪い」とタイトルで言うってことは要するに自分が悪い…ま、悪いという言い方はちとツライが、そういうお嬢さんのお話。これは確かに効く人にはピンポイントに効くネタ満載の作品ではある。ワシはもこっちと比べて性別も年代もオタ趣味の嗜好も異なるが、その辺を超越した「こういう人の根源的なイタさ」を捕らえ、アンプリファイして提示するという、…これは多分自虐的マンガ(アニメ)でしょうな。

やろうと思えばいくらでもダウナーに、薄暗くじめじめとした話にもできるだろうし、またそうできるだけのネタの量・質を有しているのだけれど、やっぱその辺何らかのブレーキは要るよね、ってことだろうな。ゆうちゃんやイマイさんなど実にエエ人たちである周囲の友人、喧嘩もするけど健全でひねこびた所の無い家族たち。また画面デザインもポップで明るく開放的なトーンを基調としている。これらによって作品が過度に底なし沼っぽくなっちゃう状況を回避してると言えようか。無論、その泥濘にどこまでも落ち込んでゆくような救われねェ作品もそらそれでおもろいとは思うけども、この作品の場合はこのバランス点を設定して全体を整えた、ということだ。そしてそれはまあ、所期の目的を果たしていると思う。ワシはね。

全体通して見るともうちょっとだけテンポをツメても良かったかなという気もするが、ネタの重ったるさを鑑みるとこの程度の抜き加減でちょうど良いかもしれない。そうでなくてもガッツリと畳み掛けるようなシーンもそこここにあるしね。…「満天の花火の元、ガキどもとラブホのえろ光景を大興奮で覗き見つつシメ」というあのシーンが、ワシ個人におけるこの作品の象徴イメージだ。いやあ、あれはスゲエと思ったよ。何だあのワケ判んない高揚感の演出は。

てことで、うん、おもろかったですよ。続編があるならまた見たいし、またネタの密度的にもここで一段落置いてからの視聴の方が胃もたれしなくていいかもしれない。そんな感じ。