ペルソナ/ピングドラム/Fate/イカ娘

ペルソナ4・12話。ストーカー兄さんを探せの巻。真夜中TVへの登場とか別人格の出現とか、流れとしては今までのパターンを踏襲してはいるので、あれひょっとしてマジでこの兄ちゃんも仲間になるのかしらとか思ってたらなんだか変な展開に。中盤丸々が白昼夢、ってまあ、このTV内世界も現実とは言いがたいんだけど、他者とのつながりをどんどんと喪失してゆくナルカミさんの物語が妙に乾いたリアルさがあって「エエ感じにヤな感じ」ではあった。白昼夢開始時に話の流れのつじつまをちょっとおかしくしてあるのは割と親切。


てことで、全ての犯罪を自供して犯人逮捕、事件終了ではあるが…うーん、明らかにこの兄ちゃんはウソ犯人だよねえ。自己顕示欲と承認欲求で「全て俺がやったのだわっはっは」だろうねえ。となると真犯人は誰かってことだけど…まあ、その辺は次回以降。ってなんか予告が妙に浮かれてんですが?


よほどのマイナス意思を持ってでもいたのか、今回の敵ペルソナはナルカミさんの全力でやっと倒せるくらいの強大さであった。ていうか初っ端のお膳立て以外はほぼナルカミさんのペルソナ連発で倒しちゃったのであり、もうあいつ一人でいいんじゃないかな状態。流石主人公、チートやなこの人!


輪るピングドラム・最終話。運命の乗り換え列車に集まる人々。他者を救いたいとてそれぞれに曲折した「思い」の流れを、この乗り換えによって正そうとする人々。最初の罪…思い…愛…リンゴは、遡ってあるべき場所に還ってゆく。半分に断ち割られた運命の果実をいっしょに食べよう。そしてその罪(リンゴ)とともに消え去ってゆく兄弟二人。兄は光に、弟は炎に。誠のみんなの幸いの為に自らの身を焦がし、蠍の火となった彼らを乗せて列車は往く。…ひとまずはこれにてさようなら。


乗り換え後の世界にて、ひまりさんは存在しない兄たちの手紙を見て涙を流す。少年たちは1話で行われた会話を交わしつつ歩み去る。そう、これは愛の物語。


主要人物数人の関係性だけの物語にしぼり、かつメタファーを多用した情報量がとても多いので、正直向こうさんが意図した要素をちゃんと汲み取れた自信は無い。けどまあ、そのどらまちっくさ加減は充分によろしかったっすね。各キャラの心情の流れはとてもよく理解できるように作ってある。てんこ盛りの情報集積も、再見再々見に耐えるエンタテイメントサーヴィスとしてエエんじゃないでしょうか。


…しかしま、これが結果としてあるべき運命とは言いながら、あの兄弟が居ない高倉ハウスってのはやはり寂しいなあ。ペンギンどもがちゃんと存在してついてってるのはいろいろとホッとする要素ではあります。エスメラルダさんも含めて、ね。


●総評。幾原監督久々の地上波登場ってことで、そらもう大概な注目を集めた作品である。そして当然のようにその内容は一筋縄ではいかず、自身の作品を含めた過去のどんな作品とも異なる、まさに「この監督ならでは」な構築物として出来上がっている。演出方法やモチーフなどにさまざまなところからのサンプリングは大量にあるんだけど、それらを纏め上げて一つの世界観にしちゃうのはそらもう監督の力量…あるいは本人の人間パワーよね。


実際、素材も演出もメタファーや心象風景の嵐であり、階層をもぐればいくらでも深読みできるような体裁である。しかしそれでもなお、全体の流れとしては平易なエンタテイメント性を失わないように作られてんのはとてもよいことだなーと。視聴しててフツーに「わあこれはすごい、次回が楽しみだ」っちうバカみたいな感想を毎度持ってたもんねワシ。


この作品は相当に準備と制作時間が費やされたのだろうな、と思うのはそのオリジナル性。各人に主張はあるだろうけど、「この作品はどういうジャンルなの?」と問うて明快に答えるのは難しかろう。(生存戦略ー! はともかく)バトルもの作品などのように毎回の大枠展開が存在するでもなく、かといって全体を通しての既存の「テンプレ構造」があるワケでも無い。純粋に、作家が今まで無かったお話を紡ぎだし、その展開一本で視聴側を引っ張っていかなきゃならない。ジャンルイメージに寄っかかった視聴補助ブースターが存在しない、ってのは結構な野心的アプローチであろうよ。


てことで…何ちうか、久々にこの味を堪能したというか、楽しませていただきました。幾原監督にあってはもうちょっと頻繁にアニメ制作にかかわってほしいなー、とつくづく思ったよ。うん。


Fate/Zero・13話…ってこれ最終話なの!? 全然終わってないじゃん! 正真正銘途中じゃん! …どうやら分割二期体制、ってことらしい。うへえワシ知らんかったわ。ともあれ、えー、本編。ウェイバーとライダーのなんか知らん仲よさげなコンビ問答と、勝手な理屈で面倒ごとを大発生させてしまうキャスターたちの話。


まずはライダーたちですが、とにっかく器のデカすぎるライダーのおっさんと未熟ながら良き影響を受けつつあるウェイバーさんの会話が面白い。話の途中でライダーがウェイバーのカバンから地図帳を取り出すシーン、必要以上にぐいと密着してくるあの演出はいかにも面倒見のいいおっさん/アニキ/お父んの風情を出しててよろしかった。…まァメタ的に見れば当然ながら薔薇ぃ目配せもあるのではあろうけど、それ以外にちゃんと性格の出た演出だったしね。ちうかアレキサンダーさんの時代って衆道は普通だよな。じゃいいや、ウェイバーさんはとりあえずついでに掘られとけ。そういえば「己の世界を小さく限定しては駄目だ」とライダーさんも言っていた。うん。


んでもってキャスターさんは「神様への体張ったツッコミ」としての大虐殺を開始するのである。結論としての行為はともかく、リュウちゃんの「偏執的な脚本家としての神様」ってェのはワシも同意するところであるのでよう判る。あの天上の脚本家さん、ようムチャなシナリオ書きよるよね。それを含めてぜェんぶ愛せるというウリュウさんは大概だが、その愛の発露が偏りすぎてんのが問題でねェ。まいいや。


●総評…も何も、上記のとおり一段落もしてない状態なのでなあ。物語については来年春から開始する第二シーズン目を見てからじゃないと何とも言いがたいが、しかし一連の高いクォリティを見ればこのシステムがちゃんと機能しているのは判る(あるいはユーフォーさんの力量もあるだろうが)。この調子ならば続きも楽しく見られそうでよろしい、んだけど…どうかねえ、一応カタチだけでもオチを付けといてくれても良かったのでは、と思わんこともない。んー、まあ、そんなとこで。


侵略!?イカ娘・11話。イカちゃんと催眠術、イカちゃんと新・ニセイカちゃん、イカちゃんと恐怖の千鶴さんの三本立て。いやあ、なんか本日のエピソードはどれも結構なテンポとギャグがあってことさら面白かったな。催眠術話のおざなりモードとマジモード、各声優陣の演技分けがガチでよろしかったし、ニセイカ話は「これは一体何のバトルアニメですか?」って感じのエエアクション満載だったし。…その二つとともに、今回は千鶴さん無双の回ではありましたね。催眠術での「にゃーん☆」が見られただけでもありがてえありがてえ、ってなもんですし、提供絵のあの怖かわいさったらもうねえ。失禁しちゃいますよ思わず。画面の向こうだからしませんけど。うん。


一本目がワンアイテムを軸としたシチュエーションコメディ、二本目がまるまるバトルアクション、三本目が特殊状況下の勘違いホラー(?)ギャグ、とバラエティに富んでたのもよろしかった。こういうバランス感覚は流石プロの制作物よね。…あと、VSニセイカ戦で的確にメンタル攻撃されてマジ凹みするイカちゃんが小学生かわいい。泣くな泣くな! そんな豆腐メンタル持ちつつ直後の話で千鶴さんに精神的に挑みかかるのがまた、ヘッポコくてイカちゃんらしいなあ。おもろかったっす。


●続いてイカ娘は二階建ての最終話、Aパートが侵略訓練でB・Cパートで倦怠期夫婦の危機みたいなお話。当然後半部分の「ちょっとだけ特別なお話」が最終回向けのネタではあるんだけど、前半の侵略訓練の話も懐かしい絵とか台詞とかを再帰させててシメの回っぽい雰囲気である。ちうか、イカちゃんには敵が多すぎるよねいろんな意味で。同時に彼らは味方(仲間)でもあるのだけれど。いや三バカは知らん。


イカちゃんと栄子の喧嘩話は、まァテンプレとして予想通りの展開でありシメに相応しいのではあるけれど、この作品にしては結構じっくりと「仲違いの二人」を描写してくるのでその…なんか、期待値以上にこっちがどんよりしてしまったよ。雨が降り出した祭り会場で仲間とはぐれ、下駄の鼻緒が切れてすっ転び、へたり込んで泣いているイカちゃんとか…うん、ワシでもおろおろする。当然ぱっと明るく終わるのは幸いだが、祭り会場のスタッフロールならば「イカちゃん音頭」とかやったらおもろかったな、とは思ったり。ちうかホンマ放映時期に恵まれないシリーズだな! 今ワシすっごい寒いよ!


●総評。前シーズンの好評を受けて制作された第二シーズンでありますな。基本的にイカちゃんを眺めて暮らす、そんなアニメ。監督が交代しているものの、大きく路線や印象をはずすことなく丁寧に作風を継承している。たまーに水島努のおっさんがフラリと仕事して、妙な力量を見せ付けてたりしてね。平和なことだ。


中期以降の原作がメインとなってんので、お話的にも円熟して「らしい」ラインナップになっている。うーんこれなら深夜じゃなくて日曜朝とか平日夕方とかでもいいんじゃないかなー、とか思ったり。アニメオリジナルをちょいちょい挟んでさ。早苗さんは…まあその、最近のキッズ向け作品なら何とかなるでしょ。ならない? なるよね? まいいや。


てことで、特にこうだ! という声高な主張感想はないんですが、今期も楽しく視聴させていただきました。…にしても、一期二期ともに夏を逸しちゃったのはなんとなくイカちゃんらしい…っちうか、チャンピオンマンガらしいというか。もし三期があっても、多分1月スタートとかそんなんなんだろうなあ。