サイコパス

PSYCHO-PASS・最終話。ラストバトル、マキシマさんのテロは未然に防がれてコーガミさんによって舞台を去り、そして世界はまた安定方向に針を戻す。最後は1話のリフレイン、ニュージェネレーションによる希望をちょいと匂わせつつ終了。なかなか妥当なシメ方だったのではないでしょうかね。面白かったのはシビュラの描き方で、最終的には自分の正体を衆目にさらしつつそれで受け入れさせてゆきたい、ってな方向性を持たせたってのは割と意外だった。まああまり硬直化した結論出しても「その程度で並列脳髄かいな」とか思うし、こういう将来に向けてのしたたかさを見せるってのは必要なことかもしれん。

アカネさんのパラライザとコーガミさんの拳銃、一旦はお互いの武装を交換するものの状況によってまたそれぞれの手に戻ってゆく、という流れはなかなか興味深いところ。交換解除のキッカケがマキシマさんの行為であるところ見ると、マキシマさんはやっぱりコーガミさんに銃でもって終わらせてもらいたがってた、ってなとこやろな。どこまで意識的だったのかは判んないけども。

…あと何だ、ちっとも濁らないアカネさんの犯罪係数がマキシマさん側に行ったりするかと危惧したか、そういうことはありませんでした。いやこの後どーなるかは判らんですけどね!?

●総評。現代のネタで語りなおした古典的管理社会ディストピア世界にて、社会からはじき出されたイレギュラー者同士が体制と反体制に分かれてツノ突きあうお話。世界をあんましガチガチに構築しちゃうと一旦補修がおっ付かなくなったらエライことになるよ、っちう教訓だけど、公安局の個性的な面々による刑事ドラマに比重をもうちょっと傾けた方がワシ好みかな、とか思ったり。1話2話で完結するような連作モノが好きだからってのもあるんですが。

本広監督作品で押井の影響下にもあり、という外野情報を極力排して見るならば、意欲的でオリジナルな作品として質の高いアニメだったと思う。いささか悪趣味なネタが散見されるのは虚淵脚本の寄与によるものだろうか。その辺のある意味キャッチーな引っ掛け所も含めて、視聴者側に興味持って受け止められるよう注力して作られてんな、って印象を受けたりする。

敵であるマキシマさん側に顕著な青臭いガクモン議論は、何というかその、ネタや芸の域にまではもうちょっと届いていないなーって印象っすね。ああいう饒舌な衒学趣味は、作家本人の我の強さとかキャラのおもろさがにじみ出てきて、かつそれに同調できないとちと冷めちゃうかもしらん。まあ個人の好みか。

ちょくちょく舌っ足らずなところやアンバランスなところもあったけど、新分野の初監督作品としては充分な成果物ではないでしょうかね。途中の「すんません時間無くなりました!」な作画の回はご愛嬌ってことで。ワシ個人としてはちょっと上記の青臭さやノリがイマイチ合わなかったけど、そこらは視聴者によって劇的に評価が変わるだろうし。うん、ようできた作品やったと思いますわ。