ヨルムンガンド/サイコパス/ロボティクス

ヨルムンガンド PERFECT ORDER・3話。アールとヘックス編・その終結。クライマックスに向かって盛り上がりそして緩やかに余韻を残し、最後にアクセントとしてちょいと印象深い話を置く。仲間の退場というセッティングに相応しい、十全な量感を持った回ですな。ヘックス襲撃時の緊張感と危機感の醸し出し方がキッチリしているからこそ、ラストの「三人の標的に向かって絨毯爆撃」というものすごいひっくり返しが効果を上げている。「地形が変わるほど」の怒りであった、ちうこっちゃよね。

アールとヘックスが天秤の両側に対置されてる感じなのが面白い。ブックマンにとって両腕であるっちう描写も然りながら、ココに対してのラストワードが双方共に再会を期す言葉なのだよね。また会おう、と地獄でもまた戦いましょう。ココが二人に向ける感情も同じくらいに深く、ただヴェクトルの向きが逆であるというワケだ。…ココが病室でアールの死を知り、長椅子に倒れこむ時の「ゴスッ」っちう鈍いSEが百点。ただ倒れたんじゃなくてガッツリと情感をぶつけた、その勢いと本気が音一つでよう出ている。

元々洋画吹き替え組の多いキャスティングだけど、今回は特にブックマンの磯部勉が突出してエエ演技してたよなあ。飄々とした軽い口調、深くて感情の読めない笑い声、エピローグのシメである「うるさい!」の一言。どれもホンマに素晴らしい。そういう雰囲気もあり、市街地での銃撃戦シーケンスでは衛星画像で状況を見てるとか対象の車のスマートキーをハックして動かすとか、最近のハリウッドサスペンスアクションものっぽい記号がようはまってた。カッチョエエよね、ああいうの。

PSYCHO-PASS・2話。散々な初日のアカネさん。案の定石田声のカガリさんにからかわれ、それだけならまだしも「いやアタシここに自分探しに来ましてん」とか言うてしもたもんやからマジで機嫌損ねてしまうのである。これはカガリ兄ちゃんの不快感に分があるわなあ。前回のゴタゴタを踏まえてこの甘ちゃん発言では「お前何ボケたこと言うとんねん」っちう気分にもなる。でもまあ、撃っちゃったご本人のコーガミさんにちょいと元気の出る言葉と指針を頂いたことで、よしほなアチシも自信もってシゴトに当たろかいな…ってとこで本日のシメ。

キャリア組と現場の対比、っちうこの要素はやはり本広総監督のものだろうな。この作品の場合はそれに加え、従前の現場職員はほぼ全員犯罪係数が高い≒この仕事への適性が高い、アカネさんは係数が低くかつ上がりにくい≒適性が低い、という更なる分断がある。もちろん犯罪係数の差異による適性は一面的なものでしかなく、新たな視点でまた別のメリットがっちう要素にも繋がっていくのでしょうけどね。…あとまあ、あれだけアカネさんの数値が上がりにくいという描写を入れ込んだってことは、今後それが引っくり返って大問題…というネタも可能だわな。ま、それはそれとして。

それにしてもこれ、いつの時代の話なんだろうね? 服も部屋も拡張現実で自由自在、職場などのフォーマルな場でさえヴァーチャル服が認められてるってのは、相当この技術が定着してるってことですよね。そういう何でもアリな世界設定の上で、アカネさんたちの職場の殺風景加減がすげえ。未来世紀ブラジルみたいなダクトに灰色の壁に無骨端末! 演出上そういう風に割り切ったものなのかマジでそういう設定なのかは判らんが、少なくともあまり職場環境的には優遇されてないのだろうな。ま、ワシの趣味からするとコッチの方がいいですけどね! …拡張現実でわざわざこういうスキン乗っけるとしてたらバカでいいな。あと「朝起きたら自動朝飯装置にメシ作ってもらう」っちう辺りは逆に半世紀前の未来予想図っぽかった。あかるいみらい。

ロボティクス・ノーツ・2話。ロボコンに向けて資金不足やら時間不足やらに悩みつつも、何とかロボ完成にまではこぎつけましたが…っちうお話。相変わらずヤな性格のカイさんだけど、どうも過去にアキちゃん姉妹…主にお姉さんと何やらあったようで、今は陰ながらフォローでもしたったろかいな、っちうことらしい。その肝心のお姉ちゃんはまた別の事情で離れてってる状態のようですけどね。…そういや前の話で、どこぞのロボ企業のCMにてナレーションしてたのも喜久子姉さん声だっけ。まいいや、今のところは。

パーツ屋の孫にして弱っちい空手部員の大徳さんとか、イヤミだけどどうもロボへの情熱を隠してるらしいメガネ野郎さんとか、先々へのお仲間の描写がチラホラと。ちょっと話の方向性が曖昧やなあって印象があるのは、アニメ的な表現と、ある程度自分で話を転がすという前提のゲーム(原作)との差だろうか。とまれ、そこそこ状況が整ってきたなーという舞台固めの最中ではある。巨大ロボ云々にまではまだまだギャップがありますけれども、まあ今のところは。

ついでに「エレファントマウス症候群」なる謎病が出てきた。体感時間に大幅な狂いが出てくるということで、多分これ「ゾウの時間ネズミの時間」が元ネタだろうな。アキちゃんたちが罹患した経緯ってのが妙に不明瞭で、この謎部分が後半にあるだろう巨大ロボと関わってきたりすんでしょうね。ま、それもいいや、今のところは。