氷菓/もやしもん/夏雪

氷菓16話。さてカンヤ祭最終日、楽しげなお祭りの傍らミステリと古典部面々の物語も進んでゆく。大きなキッカケは奉太郎のお姉ちゃん、何故かピンポインツに話題の同人マンガを持ってきちゃうのが強キャラ的立ち位置やなあ。この一冊の本を軸に、ちたんださんの「気になります」もマヤカさんの屈託ネタも里志さんの挑戦心もグイとピン止めされるというのが判りやすくてよい。多分この本、この要素が全体のヘソなんだろうね。

そしてやっぱり、マヤカさんの受難は終わらねーのであってね。漫研内での細かい嫌がらせのつもりであった「汚水飛ばし」が、アクシデントからマジ悲劇になっちゃったのは、マヤカさんが吹っ切れたって意味で却って良かったのかもしれない(良かねェけど)。なんちうかその、ツンケンしつつ自分で抱え込んじゃうタイプの子だし、こういう「澱」を呼び寄せちゃうんだろうねえ。もうクラブ辞めてええよ、古典部でええよ、っちう割り切りも難しいだろうかなあ。

んでもって里志さんの心の影もどんどん深まってってるようで。演出の方でもあからさまに影やら陰やら暗闇やらを多用してるし、いろいろとめんどくさそうよねこの少年も。無自覚な超越者としての奉太郎さんの存在が、さらに里志さんのイライラを募らせてるのだろうか。ま、前アークの映画話では奉太郎さんだけが心理的フルボッコに遭ったワケだし、このくらいの能天気状況は享受してもエエのと違うやろか。どうやろか。

件の同人マンガにはどうやら生徒会長が関わっており、てことは今回のミステリにも一枚噛んでたりするのだろうかね。彼の名、陸山と書いて「くがやま」と読むってのは知らんかったが、安心院と書いて「あじむ」と読む、ってのは昨今はジャンプマンガのおかげで割と膾炙しちゃいましたね。…あと吉野という名前のキャラに吉野さんが声アテてんのは何でしょう。アテ書きですかキャスティング担当のお茶目心ですかあるいはそれとも純粋に偶然たる必然ですか。まいいや面白かったし。

もやしもん・5話。農大収穫祭開催である。農業大学の学校祭だけあってなかなか生産的なイヴェントであり、活気もあって…活気…まあその、野菜無料配布に殺到するオバハンが最大の活気源ではあるんですけどね。そらまあくじら声のオバハンに「雑魚は潰す」と言われちゃ何もできまいよ。うんうん。

さて我らが樹ゼミであるが、長谷川研究員の不在をいいことに暗躍中なのがデコボコ先輩コンビですな。リュウゼツランのどぶろく「プルケ」がその企みなのかな、それにしてはあまり害の無い…と思ったらそっちは陽動作戦。相変わらずの口噛み酒をからめた陰謀を展開中のようで…ううむ。楽しそうやなあこの二人。大学の中途半端な先輩位置で、かつ暇としょーもない知識とむらっ気のある行動力を具えた状態ってのは、経験ある人なら判るだろうがすげえ楽しいのよね。それが祭りの最中ときてはもう無敵である。盛大に楽しんで盛大に自爆せよ。

あと酔っ払い状態でバニーガール装束を提示され、しょうがないにゃあと一瞬着替えかけるムトーさんの自堕落美人ぶりがよろしかった。今回はセルフツッコミで回避したが、さていつまでその抵抗が続くかなフフフフ。

夏雪ランデブー・5話。体を乗っ取られた亮介さんの精神は、何かしらんメルヒェンな世界にて一寸ロッカさんと一緒にさまよう。んでもって乗っ取った方のアツシ旦那は、実体を有した感覚に歓喜してやりたい放題…しようとしていろいろと躓いたりしている。ちょこちょこコメディを差し挟みつつもシリアスな話運びの旦那世界と、どっか気楽で危機感の無い亮介さん世界をカットバックで見せて対比する、っちう趣向のお話。

亮介さんの体を乗っ取って本人に不利益な諸々をやらかしてやろう、と企む旦那の人。髪の毛をテメエでバッサリカットしたりダサいメガネでコーディネイトしようとしたり、と本気でひどいことやるワケじゃない微妙な行為がこの人のキャラだろうか。つっても貧乏青年にとってメガネ購入の出費は相当痛いとは思いますけどね。

旦那と亮介、お互いのアウェイ世界でお互いについてちょっとずつ知る。旦那は亮介さんの部屋を見、彼の人となりや人格の一端に触れて切っ先が鈍りつつある。亮介さんはこの幻想世界が旦那の絵本の中であり、そして旦那の生前についての経験を得る。…この交換体験が彼ら野郎二人、その関係性にエエ効果をもたらすだろうか。それともこじれさせちゃうだろうか。さて。

今回は幻想世界、一寸ロッカさんをやってる大原さやかのかわいいコンシャスな演技が聞き所でしたなあ。「チャオ!」ですってさかわいいなオバ…お姉さん。その頃現実世界では「亮介くんお背中流しましょうか」とか言ってんですけどねゲヘヘヘ。あとアツシ旦那が療養中にスケッチしてた糸瓜ってのは正岡子規のイメージでしょうかね。