Fate/宇宙海賊/宇宙兄弟

Fate/Zero・17話。キレイさんとトキオミさんご一派の事情。周辺のゴタゴタをちょいちょいと片付けつつ、さてまだまだ抗争にあけくれますか、っちうところでトキオミさんはご退場の儀と相成る。常に身の裡に闇を抱えつつ動いてきたキレイさんであるが、その本性の噴出をギル兄さんに唆されて解放させちゃった結果である。あるいは父親の(自分の原因ではない)死というものが最初の契機、箍の外れる第一歩だったのかもしれまへんね。

それまでほとんど表情らしい表情を見せてこなかったキレイさんが、曰くある剣もて師匠を刺殺するシーンからこっちものすごく生き生きと「笑み」を浮かべだす、っちうのがなかなか判りやすく、かつ効果的でよろしい。自分を愉しませてくれるという前提でマスター乗り換えしたギル兄さんであるが、多分まあ…この調子ならば兄さんの希望は満足させられるのではなかろうか。キレイさんとキリツグさんとの直接対決は終盤だろうけれど、どうだろうねえ…お二人はかみ合わぬようでもありかみ合いそうでもあり。どうなることやら。

モーレツ宇宙海賊・17話。ヨット部リン部長より依頼された、ジェニー前部長の「誘拐」計画である。政略結婚から逃れて愛に生きる…っつーかまあ、「自由にあれこれ(多分悪いこと)したい」っちうのが目的でしょうけども、結婚式からご令嬢を救い出すってのは「卒業」からこっちのラブラブ定番ネタみたいやねえ…とか思ってたらリンさんとジェニーさんはガチ百合の間柄でしたー! いやこれは百合なんてなぽわぽわしたもんじゃなく、清く正しきレズビアンですわな。CM跨ぎでのーこーなキスシーンを乗っけてくる辺りで、萌え萌えっちい百合描写とは気合が違いまっせェってのがよう見える。毎度ながら意表を突いてくる作品ではありますよ。

んでまあ当然ながらそのまま誘拐成功で逃げ切れるワケもなく、保険会社などとの契約で成り立っている海賊稼業としてはこの事案なかなかに面倒が多い。そこら辺の帳尻合わせのための今回のサワリギミックってのが「代理人の前で成功報酬を詰めていく会話」だってのがこの作品らしいなあ。こんなもんでガッツリと「宇宙アニメのクライマックス」になっちゃうのであるもんねえ。そして関係こじらせたジェニーさんの叔父からの激しい砲撃をバックに、よっしゃいっちょやったるかいってとこで次回へ続く。ああもう、毎度ながら先が気になる! 何つーか、この具の多いエンタテイメントぶりは往年の米国連続ドラマのようだ。

ヨット部面々をはじめ、みなさんキャラが明確でよろしいな。ここぞってとこで胆を据えて「マリカが船長だ、彼女に任せよう」の意見でスッとまとまる弁天丸クルーといい、統率力の片鱗を見せる大胆なマリカと冷静でおかーさんみたいな参謀役のチアキちゃんとの対比といい。あと、保険会社のアフロ兄さんはマジでエエ人みたいですな。胡散臭ェこの事件コイツが裏で糸引いてんじゃねーの、とか思ってごめんなさい。いや、最後の最後で「実はそーでしたー、お互い儲かったしええこっちゃろ?」でもオッケーっすけどね!?

宇宙兄弟・5話。未だ将来の状況が定まらないまま、ムッタさんはヒビトさんに招待されてNASAへとやってくる。しかしそこは表面的ヘタレのムッタさん、諧謔や韜晦や鬱屈によって素直に周囲を見渡せない。ま、ムッタさんの陰にこもらない性格もあって、それほど重苦しい雰囲気にはならないんですけどね。ガキの頃兄貴風吹かせてたのが成人して逆転した(と思ってる)となれば、そらちょっとはヒネた行動にも出ますわな。んで「あいつは頭のネジが足りない」という文章から、人それぞれに足りないものの話につないでいく流れは判りやすくてよし。

全体的には今までにも増して地味な話運びの回だけに、止め絵シーンなんか丁寧なレイアウトが多いなーと気付かせてくれたりして面白かった。多分ずうっとそんな演出方針だったんだろうけど、見た目に落ち着いてたから余計に気付きやすくてね。

隣人の爺さん役に中村正・82歳。まだまだイケる声でおますな。あと月を親指で隠すシーン、あれも確か映画であったよね。アポロ13だったかライトスタッフだったか…。