謎の彼女/アクエリオン/ちはやふる/さんかれあ/未来日記

●新番組・謎の彼女X。原作は読んだことないけど植芝理一ですよって聞いただけで割とどんな話なのかの傾向は判ったつもりのワシである。そしてその事前予測は裏切られない。要するにまあ、ダウナー系のフシギ少女の涎を舐める男の話である。…うん、そうね、植芝作品の系統からするとそこまでぶっ飛んだものでもないのだろうが、…こーしてアニメ映像化されるとインパクトすげーなー。ちうかさ、よだれがメインガジェット(?)なのはよく判るけど、そこまで音と粘りを強調しなくてもいいとは思うのです。スライムとかウーズですよあれ。いいけどさ。


てことでアニメ作品としてはかンなりきわどいコース狙ってる、イロモノとも言えそうな作品なんだけど、それなのにというかだからこそというかすげえ繊細な演出がされてんのな。丁寧に動く作画も見てて楽しいが、いちいちの行動が静かなエキセントリックさを見せるよだれヒロイン・ミコトさんのキャラの表出が上手くてね。主人公のツバキさんのお見舞いに来たミコトさんのシーン、ベッドにどさっと腰掛けたり上体をゆさゆさと揺らしたり、いかにも「細かいことや常識にあまり拘泥しない」というヘンな性格の一片がよう出ていた。


ミコノさんに吉谷彩子という「部外者」なキャスティングはなかなかエエなと思う。ぼそぼそっとした低音の、アニメキャラっぽくないレアな声質がなんか新鮮でよし。なにより大笑いする演技がちゃんとデケてんのが高評価ですな。これ、女優としての経験があったればこその演技でしょうかね。んで監督が…ああ、こっちも渡辺歩ですか。ここにきて急に監督業が増えてはりますな。


えー、うん、ちょっと興味が続きそうだこれ。視聴してみよう。


アクエリオンEVOL・15話。承前、テメエの墓穴を掘る訓練してたらついでに乱入してきたカグラさんと戦う話。ちょいと強引で単語が逆さまな人ではあるが、どうもその根っこは悪人っちうワケでもなさそうなカグラさん。だからこそ前世の記憶とかがからんでめんどくさくなってるんですけどね。ていうかあの気持ち悪い人がめんどくさくしてるんですけどね。そのおかげでゼシカさんもミコノさんもそれぞれ別方向のめんどくさいエリアに足踏み込みつつあったりして、ああもうめんどくさい。というお話。


今までちょいちょい匂わせてきたアポロンとシルフィの関係性をここで明言しましたが、さてこれがどこまで正しきものなのか。素直にその路線が正解とは言いにくいタイプの作品でしょうしね。


今回(も)ロボ戦闘はなかったものの、生身のバトルと珍しくカーチェイスがあってアクション的にはそこそこ面白かったり。そこでサザンカとモロイのお二人が一応ちゃんと活躍してたので「良かったね」とか思った。オマケっぽい活躍だなとかは言いません。予告見るとモロイさんは次週なんかやりそうですが、サザンカちゃんももちょっと話に絡ませてあげてほしい。いや、あの性格じゃ高確率で話が腐りつつギャグになっちゃう、ってのは重々承知してますけれども。


あと、アンディとMIXはすごくエエコンビなのでさっさと尻にしかれてしまえばいいと思った。アンディが。


ちはやふる・14話。クィーン・若宮シノブさん本格登場の巻。物語開始からこっち、安定はしないものの図抜けた強さを持っていた千早さんを軽々と凌駕する凄まじい強さのお人である。前回と違い千早さんもベストなコンディションでぶち当たり、そして圧倒されてゆくという…いやあ、たかがと言っちゃあ悪いが、かるた競技でここまでの超人的頂上決戦を提出できるってのはスゲエわな。今までも結構ドラマチックに演出されてきた千早さんの強さとは全く違うヴェクトルの強さ、っちう難しい概念をキッチリと画面上に表している。やっぱスゲエわな。


そ、コンセプトは「真反対の二人」なんね。エフェクトも外見も暖色系、集中線やブラーを多用したダイナミックな動きという千早さんに対するクィーンは、寒色主体の画面と鋭く正確な動きを表すコンテ/レイアウトである。ホンマに対照的。そして性格もそうですよな。いかにも元気系主人公でムラッ気があってドタバタしてる千早さんに対して、冷徹で冷静、一見人当たりはやらこいがナチュラルにイヤミが口からこぼれる。わあ京都人のカリカチュアだあ。…えー、一応言っとくとワシの知己の京都人は皆さん気がよくて開放的なバカちんがほとんどです。シノブさんはあくまで、個人がそういうキャラってことですからね! ね!


コンテにまたもや川尻善昭。上記の通り難しいお題をガッツリとこなしちゃう豪腕は流石ヴェテラン、ってことなのでしょうな。シノブさんの「速さ」の演出が本当に素晴らしくて、これは苦労したやろなあと。…なんとなあく、川尻キャラって「寒色」な雰囲気があるので、シノブさんとの相性は良かったような気がする。や、これはあくまでワシの個人的印象ってことで。


●新番組・さんかれあ。詳細は知らず、ゾンビっぽいコメディでマンガ原作があるとのみ。んで見始めたのだが…ふゥむ、これはまた独特の味わいがある作品だなあ。主人公の降谷さんはゾンビオタクであり、死んでしまったペットの復活をしようとしてたら思いがけずお嬢さんと知り合って…というストーリィラインはともかく、そのゾンビフリークぶりがね。アッサリした雰囲気の絵柄と話運びの割には結構な筋金入りで、ゾンビの女性にしか欲情しないという…ネクロフィリアとも違うな。睡眠姦のバリエーションか? とにかく結構な茶人であるのね。


そしてそこに現れたヒロインのレアさん、この方がまた黒髪にして色素が薄い世間知らずのお嬢様でありそれでいて主人公には割と大胆、っちうその、ある種の妄想を結晶化したようなキャラ造形なのがどうにも業が深いというか。んでこの人が次回以降ゾンビになって主人公とキャッキャウフフすんでしょ? すげえなあ。マンガとしてはともかく、ようアニメ化の企画が通ったなあ。


てことで、なんか知らんがツカミはオッケー。かなり興味深く見させてもらった。問題はこれから、ゾンビネタでどこまで面白さを引っ張っていけるかではありますがね。アニメでの1クールくらいなら何とかなるだろうか。とりあえず見てみよう。


…ちなみにワシはあまり詳しくはないのだが、妹のメロさんはロメロ、親父のドオンさんはドーンオブザデッドから…と様々なゾンビネタが盛り込まれている風情ですな。「さんかれあ」さんの元ネタはサンゲリア? と思ったらどうもそのようで。そのようなの? マジで?


未来日記・25話。ほぼラスボスとしての様相を呈してきた(1周目)ユノさんである。目の前のユッキーが死ぬのは必要経費、連綿と続く繰り返し世界のユッキー連続体さえあればいい、としてきたユノさんであるが、自分の本心に気付いてさらに別の策をとることにする。それはユッキーを「なんでも叶う夢の世界」に幽閉すること。それでいいのかユノさん、それでいいのかユッキーさん…っちうお話。


ユッキーの思いとみねねさんの介入により、この3周目世界はちょっとずつエエ方に変化してってるように見える。まァ最終的にどうなるかは判ったもんじゃないですがね。とまれ、その変化は「永遠にユッキーとの同じ世界を繰り返す」ことを是とするユノさんの価値観とは相容れないものではあろう。なんかワケ判んない状態になっちゃったムルムルを脇に控え、ユノさんはこれからどうすんだべかなあ。


ユッキーが閉じ込められた夢の世界は、割と判りやすくて即物的な描写をメインとしているこの作品にしてはかなり「生理的な違和感」を重視した演出になっててよろし。両親とダイドコに居るショット、広角気味に周囲が倒れこんだパースと微妙な暗さ、シーンの間ちっともユッキーの表情が見えないような角度からの絵作りなどがエエ感じに「作り物」っぽくていい。あと今回は全般的に作画が特異で、積極的にガンガンアクションして表情もよく動くので見てて楽しかった。あんまし普段のキャラとは似てないので世間的には評判悪いのかしらん。作監竹内哲也の名前あり。