アクエリオン/ラグランジェ/ちはやふる/未来日記/夏目友人帳

アクエリオンEVOL・8話。前半ちょいと日常的な、後半の展開を少し匂わせるゴチャゴチャやったあとに敵が来襲、劣勢になるもワケの判らん(かつムダにえろっちい)理屈で撃破完了…という、このアニメのメイン層が期待してるであろうテンプレにとても合致したお話。今後はメインギミックである世界の謎とか劇的なドラマとかが入ってくるであろうし、こういう無邪気なバカノリを楽しめる期間ってのは案外短いかもしれんなーとか思ったりする。うん、すごくバカで良かったよ。


てことで今回のネタは「脱げば脱ぐほど強くなる」という、バトルスキンパニック的なアレ。まず初っ端に敵の人が「操縦者の服だけ殺す爆弾」というとてつもなく頭の悪い設定の武器を使う(いやホンマの目的は人そのもののハズなんだけど)辺り、これだけで既にバカネタ度合いとしては充分な合格点なんだけど…それから更に「いや実は脱いだ方が強かったよ俺ら」とか「防衛合体改め無防備合体」とか「必殺技が野球拳で服(装甲)を脱がされた敵は死ぬ」とか、ばかえろネタの息もつかせぬ畳み掛けが本当にスゲエ。あとシュレードさんは便乗して脱ぐな。提供でもオチとして脱ぐな。


前半部分で敵さんの目的が語られており、女性が死滅した世界で強い花嫁を欲しているっちうことらしい。いや、だからって強襲誘拐するこたねェよな、とか思ったりした。ゲートがあるなら移住して来りゃいいじゃない。その辺もいろいろ設定あるんだろうけど、なんつーかこの辺もシリアスな顔してバカやってんなーって感じでちょっと微笑ましかった。…サザンカさん的にはオトコだけの国の方がエエですかね? 今回はどーやって撮影したか判んない写真売り捌いてましたけど、それも能力によるものかしら。あとアンディさんの言う伝説のトンネル技師「アレハンドラ・ヴェデルニコフ」って、検索したらよう似た名前の指揮者さんが引っかかるのだけど…この人もモーホーなのん?


輪廻のラグランジェ・8話。前回のなんかよう判らんイヤボーンはとりあえず置いといて、ムギナミさんの立ち直り話の巻。…いいけど、でもちょっとくらいはあの「輪廻が開いた」事件を気にしてもエエん違うかなとは思った。まいいや。かなりキツい境遇で育ったムギナミは、他者との付き合いを表面的に済ませるキライがあったりしたのだろう。そしてまどかも手前勝手に走りがちな傾向がある。それでもお互い、アカンと思ったらちゃんと相手に相対してごめんなさいできるエエ子ではあるのよね。ムギナミさんがまどかさんに抱きしめられたときにふわりと髪が解け、そこで心の解放を示すという表現が優しくてよろしい。


…とまあ、骨子としてはちょっといい話であり過去回想も含めて重いネタも多かったのに、なんでまたそれに乗っけてくる要素が「女子とウナギとのぬるぬるバトル」だったり「いきなり海辺ですっぽんぽんのお付き合い」だったりするのかなあ! 特にランちゃん、あんた王女様のくせに精神的にちょろ過ぎである。何というか、へっぽこ王族の魅力といいますか。わたしまどかとお風呂入ってない! 我が星では仲良くなったらお風呂入るのだ! とか妄言抜かし始めたときはどうしようかと思った。かわいいなあ!


ちはやふる・7話。かなちゃん入部の次はさて誰だ。学年二位のガリベンにしてちょいといじめられっ子体質の勉くん、通称「机」くんの登場である。勉強ができるってことは頭脳戦たるかるたに向いているぜ、ってことなんだけど…ううん、何というか、なかなかに心痛い描写がちょこちょこ出てくる作品ではあるなあ。これ序盤の頃も言うたけど、机くんに対するクラスメイトの身も蓋もない蔑みとかそれに対する机くんの諦念とか、妙に生々しいんですよ。少女マンガ的というたら偏見に当たるのだろうけど、なんかそんなような。


実際、さまざまな点において机くんは太一っちゃんの下位互換の域を出ていない。てェか今んところ机くんの物語上の存在意義はまさにそこなんだろうな。彼のコンプレックスと狭められた視野が、かるたを通じてどう変化してゆくか。チラッと回想ででてきたが、確かにかつての太一さんはまさにこんな単純性を持っていた。お互い認め合うようになれればよいのだが。


そしてその、太一さんの方の物語も有機的に絡んでくんのが上手いよね。今まで千早さんのかるたに対してどこか引いた地点から眺めていた彼が、いやいや俺はそれでエエのんかと背中に芯を入れるキッカケの戦いがよろしい。BGMや間合いの演出が毎度ながら稠密で、見ていて普通に息詰まる。いやー、本当に丁寧なお仕事ですわな。


未来日記・19話。残る日記所有者は市長であった。未だ底知れない彼の日記能力、どうやらそれは非常に強いものらしい。一応の覚悟を決めて無慈悲になろうとしているユッキーであるが、市長の能力に対抗するのは生半なことではなさそうである。そんなトコで出てきた例のユノさんちの謎の死体の情報であるが、なんとそれはユノさん本人の死体と判明。てことは今ここに居るユノさんは…というね。


今までも回想シーンとか出してきてたし、はてどこで入れ替わったのだろうとか思うけど…ユノさんのことだ、自分の記憶改竄くらいはフツーにやるだろうか。問題は「何故」って方だろう。この地にてユノさんとして暮らすことにどういう目的があるのか。…これもユッキーをストーキングするためにやらかしたことだとしたら、筋金入りに怖いお人ではありますな。うふふふふ。


序盤のユッキーの行動見てて「また短期間で随分本格的に覚悟したものだな」と思ったが、その辺はユノさんの台本による行動だったようで。そらまあそう簡単に気の弱さは克服でけんわな。ちょっと残念だったり安心したり。台本といえば市長さん、アバンでの議会演説はちょいとクサ過ぎやしませんですかねえ。泣いて窮状を訴え相手をほだし、その裏でフフフと嗤って企みの顔、だ。この作品のベタな演出はそういう味と言えんこたないが…まあね。


夏目友人帳・8話。的場一門に仕えるオバハン、七瀬さんの過去。かつて彼女が出会い助けられ言葉を交わし、そして封じたある祓い屋についての物語。現在の彼女の冷徹さについての解題、ちうかコワいオバチャンがふと見せる人間性っちう掌編としてはなかなか面白いお話でした。七瀬と先生の話、依頼妖怪と夏目の話が時代を越えて行き来しつつも「実際に交わる」ことはなく、ただ先生(とワシら視聴者)だけが状況を俯瞰しているという構成。七瀬さんとレイコさんも実際には会ってないってのもなんかパラレルやね。


幼き日の七瀬さんが出会った祓い屋、ミカゲさん。彼はある状況に置かれてそうしなければならぬ一連のものを「業」と呼ぶ。人としての業、妖としての業。それらはただそこにあるものであり、それ自体に意図や意味は無い。「それ以来妖を祓うに躊躇は無くなった」と七瀬さんは言うが、それは一種の精神的防衛、逃げ場所だったのかもしれない。彼女から見れば夏目さんはその「業」に抗っている無謀なヤツ、という認識なのだろう。…名取さんにとってはその抵抗こそが夏目さんの本来だ、っちうことのようだけど、ね。


冒頭の七瀬さんが走る一連のシーン、とてもダイナミックで目を引いた。物語のトッカカリとして十二分なフックだってのもあるけど、単純に「うへーかっちょいー」とか思っちゃった。叢の中をコケそうになりつつかき分け走る絵は何か、身体性に訴えかける気持ちよさがあったな。