ダンタリアン/うさぎドロップ/夏目友人帳

●新番組・ダンタリアンの書架ラノベ原作ですか。舞台は英国で大戦間っぽい感じの世界、爺さんから何やら曰くありげな「書架」を相続した若きディスワード卿、a.k.a.ヒューイさんと黒い娘・ダリアンさんの物語。正直言ってこの時間帯はアニメ混雑過ぎる状態であり、できればしょーもない作品で1話切りでもしたかったのだけれど…あーねー。タイトルどおりテーマが書籍、その上開始早々に「ビブリオマニア」っちう単語が出てくるのならばとりあえず、見なければなるまい。…それにしても何ですな、情報と書籍にうずもれた老成お嬢さんと相方の青年…って、昨今立て続けにアニメになってますな。タイムラグ的にどれがどうマネをしたっちうワケでもないだろうが、ちと面白い潮流ではある。


さて。件の凸凹コンビは爺さんのライバルが取っていったと目される書物を求めてかの者の屋敷へと向かい、そこで大立ち回りの末に不思議で幻想的な書物を「封印」するに至る、っちうのがメインストーリィ。客観的に見てかなり駆け足な話運びなんだけど、登場人物を極力絞ったり(回想シーン含めて声優4人)絵による説明の後ろで長広舌を流したり、とあの手この手でコンパクト化を図っているのであまり窮屈な感じはしない。無論ダイアローグの簡素化も抜かりなく、かつアッサリしすぎずなバランスを保っている。…む、悪くないぞこれ。


お話としてはそれほど凝ったシカケではないのだが、幻想的な雰囲気と会話のテンポは充分につかみとして機能していた第1話だったと思う。うーん…参ったな。これは視聴継続せねばなるまいね。何より冒頭述べた如く、情報媒体としてだけではなくフェティシズムを有した実体としての「本」がテーマとなるならば…そらもう、逃すわけにはいかんしね。てことで見てみますかあ。


ヒロインのダンタリアン…悪魔の化身たるダリアンさんに、昨今は便利声優として使われがちながらこういう役柄はそれほど見なかった沢城みゆき姉さん。どーしてもゴシック母さんを思い出しちゃいますが、そこは演技派、全然違うアプローチで流石ですな。小野大輔の兄さんは…ま、うん。いつもどおりでよし。


うさぎドロップ・2話。リンと大吉お二人さん生活のスタートである。ある程度の覚悟はしていただろうが、それにしても子育てってなかなかに大変なことですわね、というお話。リンさんがとっても聞き分けよく、できた子で、シッカリしてるからこの程度で済んでいるのだろうが…それにしてもねえ。


まず子供服のサイズをどうしたものかってところから戸惑う大吉さん。地味にリアルだよなあ。保育園はどうするのか、臨時保育園って何だ、手続きはどのように。…大変だこれは。その上で毎日の仕事と家事に送り迎え、である。そりゃまあ「こんな生活いつまで続けられんだ?」と思いますよね。ハタから見てるだに心配になるような話なんだけど、あくまで重過ぎないように演出に気を遣っているのは好印象。うん、早く何とかなるとエエな。


それまですごくシッカリしていたリンさんが、保育園に預けられて大吉が去ってゆくその瞬間に見せる寄る辺なさそうな表情。画面手前を横切る大吉の体をワイプのように使い、ふっと出てくるリンさんのバストアップ。あーこのカットがすげえ切ない。大吉さんがリンさんの心情に気付き、ちゃんとケアをして去ってゆくってのも温かいわなあ。第1話でも視線/アイレベルに細かい演出がされていたけど、このシーンでもまずリンさんと目線を合わせるためにしゃがむ大吉の絵→リンさん主観で大きな大吉さんを見上げる絵、っちうツナギが美しかった。うーん、面白いや。


夏目友人帳 参・3話。ウチのおやっさんの誕生日だってんでケーキを買わんとする、そこで「小学校時代の知己」と名乗る青年に出会ってゴタつく夏目さん。現在こそそこそこ安定した(まあ妖怪どもに悩まされてはいるが人間関係的には)状況の夏目さんであるが、小学の頃の記憶にはあまり良いものは無い。そんな心のとげをつんつんとつっついてくるこの青年、シバタさんは一体何者か…というね。


逢引している謎の人が実は怪異でした、ってのは牡丹灯篭を引き合いに出すまでもなく定番構造だが、まァこの作品のことであるので味付けは優しくなっている。その怪異…山藤の化身の「ムラサキ」さんは今瀕死の状態にある。そこで人でも取って喰おうとするのだが、このシバタさんを相手にしてると楽しくて、気持ちよくて、とうとう喰えなかった…とね。最後、手を繋いだまま光となって消えてしまったムラサキさんは、さて本当の友人となり得たのだろうか。


サブタイ「偽りの友人」の通り、初見で怪しさを出してお話の予測をミスリードさせるためとはいえ、登場シーンのシバタさんの印象があまりにも悪くてちょっとアレやったな。あとで済まんかった悪かったあのときは俺動転してたんだ、と物語上のフォローは入れてるけど、気になる怪異現象について知り合いを尋ねてきた第一声が「いじめてた」頃のノリそのまんまってのはやっぱ、ねえ。ちょっと後味が悪いわな。


あと冒頭のキッカケとして出てきた「男が一人で行くにはちと辛いケーキ屋さん」は、このために出てきただけにしてはちょっと惜しいので、のちのち再登場請う。きっとまたヘンな人が居るんだぜ。多分。