●未来日記・21話。市長を追い立てるユッキーご一統であるが、みねねさんの心はどうにも安定しない。それはユッキーの慈悲のない行動によるところもあるが、それ以上にみねねさん本人の出自と根幹に関わることでもある。だからこしみねねさんもユッキーのブレた行動が嫌いじゃないってんだから、めんどくさいよねいろいろと。まァ一番めんどくさいのはユノさんに間違いはない、のであるけれど。
そうこうしてたら市長の引きこもり戦術の前に、にわか作りの脆い結束は瓦解してしまう。もうダメかという状況でみねねさんが自己犠牲と共に道を切り拓こうとし、でも結局無駄死にじゃんどうすんねんっちうとこでユノさんがワケ判らんままに扉を開き、という二転三転の仕掛けは面白かった。けれど、やっぱしちょっと端折り気味な感じは否めんなあ。今回ならば市長が斃されたシーンでシメといて、翌朝のえろコメは次週に回すなりして描写の濃度を上げる、ってのが定石だろうと思う。スケジュールが過密でちょっと余裕がない雰囲気はするよね。
ま、その辺はともかく、今回はみねねさんの物語としてはたっぷり書き込まれててよろしございました。原作でも人気のあるキャラだろうねえ。ハードボイルドでノーマーシィな行動しつつもどうも甘いところがある、そんなキャラクタは魅力的である。最後に両親、それと西嶋さんを幻視できたのがせめてもの報いであったと言えるだろうか。さて。
●夏目友人帳 肆・11話。おじさんの古いカメラを見て思い出す一枚の写真。それは夏目さんの亡くなったご両親の姿である。折しも幼少期を過ごした実家が売りに出されるとの連絡もあり、夏目さんの意識は少しだけ過去と現在の間で揺れ動く…というお話。冒頭のお仲間妖怪とか道中の脅かし役とかで怪異も多少出てくるものの、基本的には妖怪ではなく夏目さんご本人についての描写がメイン。過去を思い出すことと「ラムネ湧き水探し」に迷うこと、その二つが重なり合って語られている。ちょいとした掌編としてこれでシメでも充分だと思ったが、どうやら次回で上記実家を見に行く話につながるようで。
過去と現在の対比ということで、特に重要な役回りって程でもない主要キャラが一通り出てくるという贅沢な作り。いや純粋にお話としては落ち着いたトーンなんだけど、声優のキャスティング的に贅沢ってことでね。最近あんまし出番のないいいんちょとかタキさんとかが見られたのでワシ嬉しい。先生はもっと積極的に、タキさんにもふられときなさい。そのくらい貢献しなさい。あと、夏目さんが「ちょっと恥ずかしいから」ってんで押入れの内側にみんなの写真を貼っている、という距離感が良かった。このエピソードの作り方は上手いな。
●あの夏で待ってる・10話。冒頭から人目憚らず…いや普通に憚ってんのか。ワシら視聴者が盗み見てるだけか。まあいいや、ともかくイッチャイチャしておるカイトさんとイチカ先輩である。まァこのお年頃は一旦そーなっちゃうとアツございましょうしね、そらレモン17歳先輩のおっさん的気遣いも必要になりましょうかね。てェか、本人も言ってたけどイチカ先輩ものすごく近い、近いよ。1話からこっち、「両者の物理的距離」のメリハリがよう演出されてて判りやすい。…さて、それにつけてもカイトさん、テメエがらぶらぶだからって「谷川、まだ体調悪いのかな」は鈍感すぎるのじゃないかと思うの。うん。
続いては残りの三人の関係を語らねばならない。この地のこの季節のように気温高くも爽やかな感じに演出されててこっちの胃に負担は少ないのだが、それでも基本的には皆さんの玉砕の物語である。陳腐な言い方ではあろうが、まーその、青春やねえ。…さる京都の大学生の言葉を借りれば、成就した恋ほど語るに値しないものはない。そらどうしてもこっち三人様の方が、お話として語りやすくドラマチックにはなりましょうよな。
とまあ、ここでシメでも青春群像としてそんなに悪くない形になっている。それは各人の関係性ポテンシャルが一旦安定な座標に落ち着いたからであり、当然ながらその安定を擾乱する要素が介入してくるワケで。そのための宇宙人要素ではありますわな、ってことでCパートで登場する堀江由衣声のお姉さん。…ふうむ、過去回想で語られる物語形式といいタイトルといい、ここで別離エンドへ向けて進みます、ってとこかなあ。