花咲くいろは/カイジ

花咲くいろは・11話。温泉旅館の雑誌になんか中途半端な記事を書かれたのである。何を書かれようがそれを糧とせよ、自分で自分の評価をするものではない、と真っ当なことを言う女将の言葉に、しかしオハナさんは納得がいかない。悪め悪のマスコミめ、こうなったらこのオハナ様が直々に天誅を下してやる。てことで毎度の如く常識はずれの思い込みと行動力で走り出すオハナさんであるが、その「悪のマスコミ」とはオハナさん最強の敵でしてね…という話。


オハナさんは本作品の中で、主人公にして最も常識の無い…まあ、そのヘンテコさが問題でありパワーの源でもあるお人である。その彼女が(比較的)常識のある人々、あるいはある程度出来上がっているコミュニティと相互作用することでお話が進んでゆく構造。…しかし、そう、この作品には彼女よりもさらに無茶なお人が居てましたのよな。それが今回の「敵」、お母んである。行動力も非常識さもオハナさんを一つ二つ以上回りさせたキャラでして、確かにオハナさん仰るとおりそうそう勝てそうな相手ではないわな。…これ、本田貴子さんには「こんなキャラですよ」っちうの、どう説明してんでしょうな。ネタバレに近い話だけど、少し聞いてみたい。


オハナさんが東京に出てきてもう一人出会う相手がコーちゃんですな。この人はお母んとは間逆、ぶつかり合うのではなくオハナさんの心をそのまま反射するような役割の人。当然ながら彼には彼の人生があるのだけれど、オハナさんはそのディテイル一つ々々に自分の心を見てしまう。母親とコーちゃんにそれぞれ心を揺さぶられ、当然ながら雨も降り出し、そこでミンコさんとトオルさんに出会ってしまったオハナさんは泣き出してしまう。何故? 判らない。判んない! …判らないことを描くのは難しいと思うが、これはかなり強烈に判る「判んなさ」だなあ。上手いわ。


存分にシェイクされたオハナさんの身と心ですが、次週どういう風にオチをつけるか、やね。やってきたのがミンチとトオルさんってのがまた別方向のゴタゴタを抱えてるような気がするが、さて。


逆境無頼カイジ 破戒録篇・10話。超高額パチンコ・沼への攻略を進めるカイジ組である。過去アタリを出した人間が兵藤と利根川だけだったり何だりと胡散臭いにも程がある物件であるが、カイジは…そして坂崎のおっさんは、だからこそ穴もあると踏んでいる。釘の目のサイクル、実物のコピーマシンを使っての攻略、そして勤め先の金庫からの数千万横領(!)等々、準備と舞台は整った。満を持して坂崎のおっちゃんが挑む、この大勝負は吉と出るか凶と出るか…ってまあ、この作品の流れとして一発目はコテンコテンに負けちゃうってのがセオリーなんですけどね。まあ。


うーん、なかなかテンポ良くなってるな。原作はどこかかったるいというか冗長な雰囲気があったんだけど、アニメの方は割とサクサク進んでくれるのでストレスは少ない。この辺はあくまでシコミ、あとに来るドラマをさらに盛り上げるためのスプリングボード的エピソードだからねえ。とまれ、状況説明としてはソツなくまとめてあるので問題なし。


お話はほぼカイジとおっちゃん(と立木ナレ)だけで進むという回だったのだが、カイジの萩原さんは今までどおり、そしておっちゃんの二又一成もキッチリと場を持たせる濃い目の芝居。美心さんについて語るシーンの「美心は美人だからな―――!!」とか横領金を前にしての「泥棒だから止めろっていうの!?」とか、演技が楽しそうだ。