花咲くいろは/カイジ

花咲くいろは・14話。修学旅行であり当然ながら大人数にて旅館にお泊りである。これまで意識的に他の宿泊施設を利用したことがないオハナさんはいろいろわくわくそわそわであるが、この大旅館の若番頭ってのが曰くつき。ユイナさんの許婚にして旅館の跡取り息子、である。


ノッケから客前で従業員を叱り飛ばすという「ちょっとなー」なシーンから始まり、自動化システムをムダに誇ったりバイトの仲居を御しきれてなかったり業務ほっといてユイナさんとイチャコラしたり、挙句の果てにバイトさんの大量離脱である。冒頭の叱責シーンからしてハッキリ言ってヤな感じの青年ではあるのだが…しかしね。総体として見ると、その若さにしてはホンマしっかりしたお人ではあるのだ。意気が上がりすぎて空回りしているというかね。…物語を構築する都合と言えばそれまでなのだが、この場合はちゃんと後ろで見守る人が皆無なのがアカンわなあ。全部彼の双肩に乗っけてはダメでしょうねえ。


とまあそんな結果を静かにグイッと提示する、なさけ むようのお人がユイナさんである。この作品では何人かの「特権的立場」なキャラがいるけれど、このユイナさんもそういう属性を持っている。一見浮世離れした脳みそのゆるいお嬢さんだけど、急きも慌てもせずにドンと構えてる大物ぶりは…同年代の少女たちからしても傑出してるわよね。さて、次回以降ユイナさんがどのように行動するのか…そのまま不思議ちゃん状態で事態を動かすのか、あるいは何らかの感情を見せるのか。…まあこのまま喜翆荘組が傍観してるだけとも思えず、特にオハナさんの暴走は期待できそうですがね。とまれ、次回。


逆境無頼カイジ 破戒録篇・13話。「沼」攻略の糸口をつかんだカイジだが、よっしゃこれで再挑戦だとヤサに戻るとおっちゃんが居ない。芝居っ気と四文字熟語で一杯の置手紙を残して競馬でドン! のおつもりである。娘の名前だとか騎手の名前だとか、そういうところに全財産を賭ける判断をしてしまう、ってなギャンブル的堕落具合がもう、リアルというか何というか。そんな堕落の夢から引き戻し、やっとこさカイジさんとの共闘開始のおっちゃんであるが…あともう一人、仲間が必要である。てことで遠藤さんの再登場、の巻。


ギミックの多い「沼」の障害要素に対し、ポンポンと対抗策がひらめいてゆくカイジさんの描写はちとご都合だが、まァ…ねえ。原作この辺テンポ悪いからなあ。どっちみち一種のファンタジィ作品、実際に我々が見たいのはギャンブルにおける必殺技的な意外性の勝負ですしね。これは改変として良策ではあろうな。


んでもって遠藤さん、再登場後もキッチリとキャラが立っててよろしい。おっちゃんともカイジとも違うカネに対する執着…いや、彼の場合は鉄壁のプロ意識と言った方がいいか。こんな自分がどん詰まりの状況でもアコギな(しかしこの世界では常識の)契約をごり押ししてくる辺り、相当に太い胆力ではあります。そんな野郎どもをまとめあげ、衒いも無く「仲間」つっちゃうカイジさんがまたよろしい。彼の言う「仲間」は運命共同体なんだけど、そこにいくばくかの甘っちょろさもある。それが悲劇をもたらすこともあるが、しかし未来を切り開くこともある…というね。ま、とりあえず次号。