ゴシック/シュタインズゲート/C/あの花/ファイアボール

GOSICK・18話。べーやんの頭蓋から逃げ帰る電車内でも何故かミステリに巻き込まれてしまうヴィクトリカさんご一統である。まァあのファンタズマゴリアがオカルト省と科学アカデミーの小競り合い場になってたから、っちうことでしょうが、それにしても割り切ったご都合主義でいっそ清々しいわな。体裁としては「走る列車内における複数勢力の虚々実々ミステリ」という定番構造、そして話の構造自体は割と貧弱気味、っちういつものパターン。アクションもトリックもマクガフィンもちゃんと盛り込んであって、その辺は律儀ですけどね。流石に初体験の拳銃での超人的スナイプで状況を終わらせるラストはどーかなーとか思わんでもないが。「持ったことはないが理論は知っている」…ふむ、それならしょうがない。ヴィクトリカちゃんがそう言うなら。


乗り合わせた怪しい面々、孤児に案山子に騎士に樵…というあだ名で呼び合うという謎の演出とともに、キャラの立ち方はなかなかよし。あのいかにも特別そうな名塚さん声の鬼太郎ヘアスタイル少女とか、案外あっさりと死んじゃったりしてなんか贅沢よね。そして本題たるヴィクトリカさんのご様子ですが、今回はまた特に必然性もなく「濡れたので着替えたらメイドコスだった」という…うーんなんかもう、好き放題やなキミは。いたって文句は無いのでそれでよし。しかしあのあだ名はなんかネタがありそうでよう判らんかったな。案山子と樵でオズかなと思ったら別にそうでもなさそうだし。何でしょうね。


Steins;Gate・8話。何だか知らんが自分だけ過去改変の記憶を持ってしまっているオカリン。その状況にかなり動揺しつつも実験を続けるご一統である。まずはモエカさんのケータイ機種変更実験、そして…ルカさんの性別変更実験。っていやその、流石に「私を女の子にしてください!」はヤバいしムリじゃね? とか思ったら「お母さんがたくさん野菜喰ったら子供が女の子に」というちょっとアレなお話でしてね。結局ルカさんのぺったんこな胸を見て「いやあ失敗か良かった良かった」と思うオカリンであるが…いやどうだろうね。ないちち娘として生まれ変わった、とかじゃないだろうね。それはそれでかなり背筋の寒いお話ではあるが…。


最初の実験終了時にモエカさんのことを訊いて返ってきた「モエカさん? 誰?」という反応は、ワシもまんまと怖い思いを抱いてしまったよ。結局は時間線の改変によりラボメンたちはまだ彼女と会ってなかったからということなのだが、それでも「ヘタすると今度はマジで人が消滅してしまうかも」という恐ろしさを感じるに充分なイヴェントではあった。やはりモノでなく人、それも知己がからんでくると怖いものがあるわね。


情報を過去に送る手段がケータイである以上、その遡行年数には限界がある…ってのは言われてはじめて気づいたけれどそらそうだわな。そこで「ポケベルならもうちょっと遡れるよ」というネタも面白い。そーかー、現在二十歳前のコなら知らんわなあポケベルなんざ。


しかし、やっぱアニメオリジナルな作品と比べると独特の雰囲気があるなあこのアニメ。普通ならこの数話前くらいで判りやすい敵の影とかもっと積極的に出して、見た目や目先を変えてくるところだろうけれど。この作品はずうっと同じような風景と同じようなメンツで話進めてますもんね。いかにもゲーム的というか。いや、今んとこ面白く見てますけどワシ。


●C・6話。金融街におけるキミマロさんの対戦は続き、今回はセンノザさんという青年がお相手。センノザ王子に対するキミマロさんの第一印象は「感じ悪ィ」である。イケメンボランティアという非の打ち所の無い属性からして、つまりこれは制作側も「一見感じ悪いように作ったキャラ」ということである。そうなると当然、センノザさんの本質はそない表層的なものではないってのが暗示されるワケでしてね。


センノザさんの活動全てに裏が無いかどうかは明かされないが、少なくとも彼のボランティア行為とその言動には全く偽りが無い。センノザさんは金融街におけるディールそのものを憂い、誰がどう大負けを回避しようが必ずどこかで「未来」が無残につぶれていることを憂う。だからこそディールの回避を提言するのだ。ミクニさんはセンノザさんの信条に一理を認めながらも、しかし一理しかないと考える。この金融街に関わった以上、嘘偽り無くディールすることこそが誠実だ、と。…この段階ではどちらの言葉も同じくらいソレっぽい…また、同じくらい胡散臭い。視聴者に明確な善悪を提示しちょらんワケだね。


迷いを持ったままセンノザさんと闘うことを選択するキミマロさんだが、強大なセンノザさん相手に余裕をなくしたことで「必要なだけ勝つ」ことが不可能となる。結果奇跡的に勝利を拾うキミマロさんだが、同時にセンノザさんは大敗を喫する。…その後キミマロさんは事務所を引き払っているセンノザさんに会い、事務所に飾ってあった「子供たちの絵」がどうなったか訊くのだが、センノザさんの回答は「…聞きたいかい」である。彼が今まで救ってきた新興国の子供たち、貧困の中の庶民、諸々の希望が全て失われた。それでもセンノザさんは明るく再出発について語り、舞台から去ってゆく。


…うむ。このアニメ視聴以来一番興味深く、オモロイ話だったな。センノザさんというキャラの存在感とそのドラマチックで無残な敗北描写、しかれどもそれに屈しない精神…という辺りの描写がすなおに上手かった。ラストシーン、無人の草野球場のダイアモンドを回りながら話していたセンノザさんが、最後のホームベースを踏まずにその場を去ってゆく、っちう絵が非常に良い。結局ホームインできず敗北したと無常な見方も出来るし、あるいはまだホームインしていない、自分の行動は続くのだと前向きな見方もできる。今回何度か出てきた言葉のごとく、言ってしまえばそれは「気分の問題」なのだろう。うむ、こうなると次回以降が楽しみになってきた。


あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。・6話。メンマさんのお願いについて考えてるジンタンは、やっぱし俺が学校いくことなのかなあと思ってもっかい引きこもりからの脱却を試みる。さぞかし奇異の目で見られるんだろうなあという危惧があったものの、学校での話題の中心はラブホ前で姿を見られちゃったなるこさんについてであった。一旦はラッキーと思ったものの、すぐになるこさんの窮状に我慢ならなくなるジンタンが漢やねえ。なるこじゃなくてしょーもない自分を見ろ、俺の方が百倍ダメ人間だろうが、ってワケだ。


ジンタンがなるこさんを助けるキッカケとなった彼女のノートの字はちょいとあからさま過ぎてどーかなーって感じもしたけど、まあいいや。しかしジンタンのブキッチョな擁護に呆れつつ教室から連れ出したなるこさんの絵は…あれ、クラスの人たちから見たらもう夫婦認定だわな。また別の冷やかしネタが発生せねばよいが、その辺はあの悪友女子さんたちにもがんばって欲しいところだったりね。


さて。メンマさんの心残りって何だろうと考えるジンタンたちだが、見てるとどうも「心残り」を持っているのはメンマさん以外の人全員、って印象も受けますね。メンマさんの正体はまだよう判らんが、その「心残りたち」(複数形)が解消された時は…メンマさんも消えてしまうのだろうか。あと今回は電車の中でお話しているユキアツとつるこお二人のシーンが良かったな。憑きものが落ちたように賢者っぽくサバサバしてるゆきあっちゃんと、秘めた感情がありながらもそれを上手いこと御しているようなつるこさん、お二人のクールな様子もよろしいが、あの電車内での二人の位置関係ね。正対でもなければ横位置でもない、かといって完全に背中合わせでもないあの配置! いやーあざとい! 上手い! 


…それと、「怖い番組」に何故かオカルト学院。はて? ノイタミナアニメノチカラの架け橋? ってアニメノチカラは力尽きちゃったけど…。


ファイアボール チャーミング・8話。何故かいきなり一輪バイクで爆走中のお嬢様。「とめて」だそうです。彼女を止めるためにあの手この手を尽くすもののどうも上手くいかない…っちうかあんまり本気で止める気があるのか判んないゴリラちくわぶの面々。しょっがねーのでゲデやんが強制的にバイクを止めるのだが、その手法とはお屋敷を傾けて坂とする。…すげえ外見の割に非力なバイクやなあ。まいいや。


とにかく初っ端から終わりまでバイクがらみの疾走感がすばらしく、むやみにカッチョよろしかった。それにしてもゲデヒトニスはお嬢様に対してはあらゆることを犠牲にするつもりのようだが…さて、ちょっと怖くはある。お嬢様には何が求められているのか。やっぱ人類との架け橋なのか。失敗しちゃったらどうなるのか。まいいや。