ゴシック/フラクタル/放浪息子

GOSICK・7話。オオカミ村にて陰鬱な日々を過ごすご一統である。土地にまつわる因縁、閉鎖されたコミュニティ、土俗に関連した殺人事件…とまあかなり王道な道具立ては判りやすくてよろしい。アチラの世界観でも定番ネタだけど、何となく横溝的な感じもあったりしてね。これで古い童謡の見立て殺人だったら完璧やったな。


とまあ雰囲気はともかく、話運びは毎度ながらちょっと舌ッ足らずっぽい印象はある。何というか、視聴者が画面や状況や人物を見て感じる流れにイマイチ沿ってない、どうもテメエ勝手に進んでくれてるみたいな。ヴィクトリカさんを見て勝手に大狂乱して「失礼しました」で去ってゆくメイドさんとか、もっと不審に思えよ皆さん。あっさりしてんなあ。…お声が桑島法子さんなのでしょうがない、とか見てるワシはメタレヴェルでは思っちゃうんですけどね。案の定来週はもっと狂乱しそうだしね。


そこら辺をおくならばまあ、今回もヴィクトリカさんがいちいちかわいらしかったのであまり文句はない。お風呂云々よりも「託宣聞いたら背はもう伸びないと言われてショック」の絵のほうがなんか、キたっすわ。あとお祭りのシーンも割と凝ってたな。何か元ネタになるものがあったりするんだろうか。


フラクタル・5話。成り行きで飛空船集団にくっついてきちゃったクレインとフリュネ、ついでにネッサのご三人である。飛び降りるも従うも好きにしろ、でもここに居るつもりならせめて働け、っちうね。体を動かして事物に当ることに割と新鮮な感覚を覚えてるクレインさんはまあエエが、掃除も洗濯もしたことないってのはちと引っかかるな。掃除機洗濯機、あるいはそれに類するマシンしか使ったことないって事かしら? まいいや。


あるコミュニティに肉体的労働を介して関わってゆく主人公、というまあ物語の主題とも関わる割と判りやすいお話なんだけど、各キャラがイマイチ薄くてテンプレっぽいのと演出に引っかかりが少ないのとでどうも、軽い。全く違う作品と比べるのは的外れでありフェアでもないが、宮崎的な表現形式の異分子的少女と普通の少年の物語(ついでに空飛ぶ船が拠点となる)っちうのでザムドを思い出すワシである。あっちもあまり諸手上げて満点なアニメとは言いがたいのではあるけれど、登場人物の奥に感じられるザラリと生々しい「人間っぽさ」や画面に語らせる演出/レイアウトはかなり印象に残っている。


再度言うように語るべきものの違う作品を比べてアレコレ言うのはちとどうかとも思うが、少なくとも今のフラクタルという作品にはもうちょっと…その、そういうキャラや世界への質感が足らないんだよな。あるいはこれも意図した演出、仮想世界ゆえの現実感の剥離を表現しているのかもしれないけれど。…これで裏にある「現実」みたいな絵が全然質感の違うものだったらちょっとオモロイな。ああ、安易な実写はやめてね。


閑話休題。船内を飛び回って異常を起こしているネッサ(その効果が暑さという体性感覚に通じるものだってのも判りやすい)を何とかつかまえたフリュネ。「あの子を好きになってはいけないのです」っちう台詞も謎ですが、やっぱ女たちには好き嫌いってのに何か別の価値観を与えられてるっぽいな。あとふんどしに関しては…うん、まあ、よう判らん。好きにしてちょうだい。


放浪息子・5話。倒錯のロミジュリ劇の脚本は完成するものの、肝心のキャスティングに不満があってモヤモヤするさおりんである。幸いにもロミオにはなれたが、相方のジュリエットは修一さんじゃなくてまこっちゃん。ここで彼女の起こした行動が「ならばこの世界(劇)を全て亡きものにしてやる」…、まあ脚本全抹消っちうのがこのコらしいというか。発想がRPGラスボスのそれだよな。そんな相方にどうにか折り合いつけつつ、自分の意志の発露も行うまこっちゃん頑張れ。いろいろと頑張れ。


演劇の外の世界では、こないだチラッと出てきたメガネ兄ちゃんが本格登場。出てきたと思ったらいきなり窮極に空気の読めない図々しさでインパクト充分ですな。系統としてはちーちゃんに近いものはありそうだが、それよりももっと「利害に関わるうっとうしさ」があるというか…ね。ちーちゃんは割とそういう、友人間の悪意みたいなものとは無縁だからなあ。今回は結局尻馬に乗っちゃって似たようなウザさが発生してしまいましたけれども。…一番迷惑こうむったハズの修一さんがほとんど気にしてない、ってのはちと面白い。あるいは単にニブカンってだけなのかもしれませんが。


画面構築に関して非常に意識的なのは今までどおりだけど、今回は特に冒頭、よく動くシーンがあったりしてそういうトコでも楽しかったな。ちょっと浮いてたような気がせんでもないが、まあ。同じく冒頭の台所シーン、ほぼ同ポジで「瞬きだけする」「視線のみ動かす」「チラと表情を曇らせる」っちうさおりん三連コンボとか、ちょっと凝り過ぎなほどですわ。…あと花火といえばでヘビ花火しか持ってこないちーちゃんは割と好き。うん、アレはアレで結構楽しいと思うよ。うん。