海月姫/屍鬼/荒川

海月姫・2話。月海さん必死の努力により一旦はお帰りいただいたイケメンオシャレ人間さんであるが、にもかかわらずの再来襲であり、それはオタ女子の皆さんに大きな混乱と動揺と…あと、石化をもたらすのでした、という話。混乱の主原因たる内蔵助、もとい蔵之介さんは、いかにも「主人公の思慕対象」としての属性を有している。多分、この人の内面描写が頻出する事は無いのだろうな。基本的に、主人公にとって何考えてるかよく判んない(が故に判りたい)人のようだ。


それにしても、あるいはそれ故に、上記の押しかけ行動はよく言えば「屈託が無くて人付き合いが好き」であり言い換えれば「空気読めない人」であるわな。こういうぬくぬくした退行的コミュニティの中にズケズケと入り込んでくる人の、悪気は無いが居心地は悪い感覚がよう出てて、オタコミュニティ側のアチシとしてもイタいシーンであった。斉藤さん声のチエコさんが、あえての毅然とした態度でお帰りを願う台詞がなかなかに重い。


…とまあ、人間関係だの閉鎖社会だののモヤモヤした話を軽々と吹っ飛ばす松坂牛でした。ものすごくキレイに喰い物で篭絡されちゃう皆さんが清々しいまでに情けなく、それまで「うんうん、困るよねこういう人」と共感してたワシの立場と心情やいかに。うーん、こういう「価値の相対化」は割と好み。なべて世の中「まさにこの真実」と「たかがその程度」を揺れ動くものなのよね。


水彩っぽいライトな画面の色彩と、ちょっとレトロっぽいBGMがエエねえ。こういう雰囲気は、題材や人物のある種の鈍重さを軽減してて悪くない。…あとばんば氏、復刻版のBIG1ガムは金型が甘いので大きな期待を寄せない方がよろしいぞ! でも買うけどね!


荒川アンダーザブリッジ×ブリッジ・5話。Aパートは再登場の関智一さん。その職業はどうやら疲れた漫画家さんのようで、ここ荒川下へは本職のストレス発散にいらっしゃってるらしい。ペンネーム・くわばらぽてちさん。…うん、あるよね。勢いで付けた/付けられた変名が定着しちゃって困ること。まいいや。


ぽてちさんは荒川下定住の賄賂として住民主人公のマンガを描く。当然リクさんへの作品がオチ扱い、あからさまなパクリマンガでツッコまれるのだが…いやあ、ちちやしりなどえろ描写以外での光ジャミングって初めて見たよ。これってDVDやブルーレイや衛星ではジャミングが取れ…たりはしないな、多分。あと、何気にニノさんのマンガが割と上手かったりした。絵はね、絵は。フィッシングクレイジーニノ平。


Bパートは立木文彦後藤邑子のバカップル話。彼らはベタリとした情念世界のパロディキャラなんだけど、鳥男と鉢女と極道愛、という要素の取り合わせがかなりランダムであり、そのまんま突っ走ってくれるのでワシかなり置いてけぼり気味。なんかエライことになったはりますなあ…と、傍観者的に眺めてるのが精一杯でした。あと「空の女王決定戦!」とか、こういうナレーションはやっぱ立木さん似合うな。今にもバトルが始まっちゃいそうだ。


●あれ、そういや屍鬼ってどうなったっけ、と思ったら録画失敗してた。どうやらダブルチューナのバグか何かで、連続2番組録画しつつさらに別の局の予約を入れるとケツの1番組が録画ミスになるようだ。…これ、チューナのドライバアップデートによる不具合か? うーむ、ドライバのバージョン戻して様子見るか…。


●てことでアレコレして補完、屍鬼・12話。なんだか久々でもう半分忘れかけてましたよ。冒頭の「前回のあらすじ」が無ければかなりヤバい所だった。ってことで、カンオケもとい起き上がり世界に片足突っ込んじゃったナツノさんを中心にお送りする回である。人外となってしまった旧友のトオルちゃんを救おうとするも、自己犠牲の度合いがキツすぎてもういっぱいいっぱいなナツノさんは、田中姉弟に心配されたりする。その行動もナツノさんのお父んには「未開な田舎モノ」の行動にしか見えない。ちうかもう、お母んの方はアッチにとりこまれてるようですな。こりゃもう村の半分くらいは侵略完了してんじゃないか?


田中姉弟はナツノさんとともに戦おうとしてんのだが、多分これはバッドエンドフラグ一直線の選択肢ではあろうね。かといってここで「じゃ俺たち逃げるワ」という話にするワケにもいかないだろうし、この二人はもう救われないことが前提のキャラって感じはする。まァそれ言っちゃうとこの村の人々はほぼ全員そうなんですよな。…最終的に、ハリウッド映画みたいなお互い陣営の殲滅戦になったらちょっと面白いな。いやならんだろうけどさ。


ナツノさんを襲うことを躊躇いつつ、それでも裡からの強烈な飢餓に屈してしまうトオルちゃん。起き上がりとなっても人間時代の理性や感情は割とそのまま保たれているのだが、倫理とか罪の意識とかがどうでもよくなってくる程の飢餓によりああなっちゃう、らしい。まあ何だ、旧友を襲うことと内なる衝動に分裂しているトオルちゃんだけど、その説明として「人は豚に情けをかけない」とか言っちゃっちゃァ説得にもなりゃしねェですよな。そこはオブラートに包んで言わなきゃ。


屍鬼・13話。ナツノさんは彼岸と此岸の境を越えつつある。あれだけ反撥心と行動力を持っていた彼の精神は今はすっかり衰え、ただただトオルちゃんの牙と抱擁を受けるのみ。そして運び出される棺桶一つ…さて、これでオシマイってのも考えづらいし、起き上がりとして復活すんのでしょうかねえ。さぞかし複雑なお気持ちではありましょうが。


そして尾崎医師もだいぶおかしい。いや、まだ「ちょっとヘンかな」っちう程度の不審さなんだけど、あの予告映像、嫁を対象とした人体実験風景見ちゃうとねえ。ちうかあのED時の小画面、アレって予告じゃないのかな。次回本編に反映されてない絵が結構あるような気がするんだが。


村には新たに、医者と葬儀屋の新店舗が開店する。…なるほどなあ、死者から復活する同胞をフォローする施設としてこの二つは非常に有効だ。多分この辺のヤリクチも、長年のノウハウとして蓄積されてきたことなんでしょうね。しかし何だ、ゆくゆくはどうなるかはまだ判らんにしても、こうして地味ィに着実に社会構造の根っこんとこから侵略してゆく、ってのは日本的な作風とも言えるかも。このセッティングでこの道具立てだと、それこそあっという間に「人間と化物の生き残り賭けた殲滅戦じゃァ!」てな流れになってもおかしくないとこだすよな。