神のみ/バクマン/ジャイキリ

神のみぞ知るセカイ・3話。承前、お嬢様の受難、あるいはお嬢様からの受難編。ミオさんは元大金持ちであり、父の死亡後の現在はお金なしの人である。彼女の現実をわきまえない放蕩ぶりは最後に残った運転手まで去らしめるのであり、それは一見単なるワガママのようだけれど…というお話。


…うーん? オチまでのギミックがちょっとピンと来なかったな。幻想にしがみついてるミオさんに、ホンマの金持ち世界の現実を見せ付けて目を覚まさせる、って解釈でエエのかな。その行為と「父親に対する思慕と誇り」っちう要素がなんか上手くかみ合ってなかったような。あのパーティ会場のシーンは「金持ち世界は唾棄すべき場所」っちう描き方だし、でもお父さんのヴィジョンはあくまで肯定的な描き方だし…どうもその、金持ち社交界の描写が分裂してるような気がする。


あと何だ、これは本筋のギミックとは関係ない単なる属性描写だろうが、「一般人を庶民と見下して小銭の何たるかを知らず徒に無駄遣いする」という行為が「父親の誇りと記憶を守る」ことには…あんましならんと思うぞ。まァ多分、ミオさんの中で変形されてしまった父親/金持ち像なのだろうけれど。


まその、そういう個人的に「?」と思ったトコはあったものの、ギャルゲテンプレを元に軽い調子で進められるお話自体は面白かったです。典型的なツンツン屋のミオさんのキャラもエエしね。…しかしパロディの方向性が唐突やな。冒頭いきなりハイジネタ、人力車デザインにザクと999。何でまた?


バクマン。・4話。前半の漫画家講座やら何やらを経て、サイコーたち二人の漫画家人生において大きな意味を持つ存在、新鋭天才漫画家・新妻エイジのお披露目。…この時点からしばらくは、このエイジさんって一種の「厄介なライバル」的ポジションのように描かれてたんだっけなあ。いやそれはこっちが勝手にそう感じてただけなのかもしれないが、それにしてもこのエキセントリックな初登場シーン見て、ホンマはあの熱くてクールな性格だとは思わないよね、普通。もうちょっと先になってからのキャラだけど、やっぱおもろいよなあこの人は。


この作品、しばらく視聴しててやっぱし特徴的だと思ったのは台詞回し。サイコーとシュージンの会話は、語尾が動詞の原型で終わるパターンがすごく多いのね。「思う!」とか「する!」とか。実際今のお若い方々がそういうしゃべりしてんのかは知らないけど、この過度に感情を乗っけないような、無色寄りのダイアローグはいかにも若いエナジーがありそうで良いような気はする。こっちの勝手なイメージですけどね。


ラスト付近ですれ違う小豆一家とサイコーシュージンコンビのシーンは、どうにも青春味で恥ずかしくて良かったっすね。お互い知らんぷりしてすれ違い、ふと振り返ったら目が合ってしまう、そのカットが顔の下半分で目が描かれていないレイアウトなんですよな。いやあ甘い甘いほろ苦い。上手いね。あとあの、少年ジャックにマジモンのナルト絵が描いてあるカットはなかなかに不思議だなあ。繰り返すがなんで雑誌名だけNGなんだろ。あとあと、同級生のオタ絵描きに対する「みな同じ方向見てるバストアップだけ」っちう指摘は…これまた何だ、絵を描いたことのあるお人なら皆さん通るトラウマ台詞やないやろか。ええいうるさいうるさい! ほっとけーい!


GIANT KILLING・5話。前半終わって同点、さァ試合はここからだ…ってとこで椿さんが痛恨のミス。気合充分の結果でありキーパーさんの言う如く「責められるミスじゃない」のではあるが、この期に及んでの1点はかなり重い。ここでタツミ監督は人間観察である。こんなヤバい状況で、選手はそんな顔をしてるのか。下を向いてるようなヤツには試合の神さんは降りてこない! その思いは村越も同じであるのだが、ならば彼の向いている方向はどっちだろう。ちゃんと前を向いているか? それは横じゃないのか? …という話。


試合シーンは緻密さと勢いのメリハリの付いた、かなりノらせる演出になってて面白いなあ。攻めと守りが野球とかほどハッキリしてないので「一対一対峙した読み合い」みたいな要素は薄いが、そんかし各キャラの思惑と行動が有機的に流れ、ここぞって瞬間にパッと爆発する…っちうドラマの作られ方が楽しい。ガキの人の感想によれば「久しぶりに面白い」試合らしいので、今まではこんな感じではなかったのだろうが、ね。


さて、一応の成果は出せたようではあるが、シーズンはここからスタートである。村越の言うとおり問題山積、危なっかしい状態のETUはこれからどう成長してゆくのか。…タツミさんなら「だからこそ面白い」とか言いそうですけどね。この人の評価基準は常に、面白さがトップである感じがしますしなあ。