あそびにいくヨ/けいおん/みつどもえ

あそびにいくヨ!・10話。犬の人たちの大侵攻。宇宙船と大使館(キオさんち)を同時に攻略し、そのための仕込みも周到に行い、結果今までに無いピンチの主人公たちである。てかまあ、ここまでエライことになるとは思ってなかったのか、こっち側の警戒や用心も足らんかったってトコはありますよね。「またいつものマンネリ攻撃かー」とか思い始めるようではダメちんですぞ、ネコの人たちよ。


しかしま実際、今回の攻勢劇はマジ感が強くてよろしかったってのはある。状況の不運と敵の周到さによってこっち側の対応がどんどんと潰されてゆく…という、かなりオーソドックスな危機状況だったのではなかりましょうか。んでもってアオイさんとマナミさんの(ちょいと込み入った)恋愛レッスン話とか、クリスマスについての(ちょいと感覚のズレた)キャーティアさんたちの会議とか、軽めの前菜がくっついてる構成もよろしい。たぶんこの辺の前フリがオチ近辺で生きてきたりすんでしょうね。


そしてアオイさんのプレゼント趣味は毎度ながらシヴ過ぎる。流石に「番頭はんと丁稚どん」はワシの世代/趣味の双方ともお手上げやわ。またSFネタもちょこちょこヘンなとこに差し込まれてんのが面白い。そーすか、キャーティアの宇宙船はチルソナイトと硬化テクタイトでデケてますか。円谷と松本の邂逅。やっぱ被弾したらガラスの割れる音とかしますか? あとクリスマス作戦については…すんません、ワシポケ戦見てないんでよう判らんです。


けいおん!!・23話。最後の放課後、卒業式の前日、暇を持て余した先輩たちの遊び。我らがけいおん部先輩四人のやることってのは、お茶飲んでバカやってお茶飲んでダラダラしてお茶飲んで。そしてそんな、実にどうでもいい状況こそが大事で大事でしょうがねえ皆さんなのである。最後に自分たちの活動を一通りカセット(カセット!)に録音して状況は終了。そんな一日のお話。


地球の危機だの世紀の大失恋だの、そんな非日常イヴェントの一切発生しない本作らしい「エンディングへのアプローチ方法」だと思う。そしてだからこそ、2シーズンの間積層されてきたこまごまのディテイルは、充分なバックグラウンドの量となってこの「どうでもよい最後の日イブ」に立体感を与えている。日常系作品の強みとの言えるが、逆にその日常描写ってェのは下手すると「ただタルいだけのアニメだったなあ」てなことにもなりかねんワケでねえ。ここにきて俯瞰してみれば、流石のディレクションだったと思いますわ。


この期に及んでも細かいディテイルや演出に遺漏のない統制ぶりは本当にスゴい。今の時期に三年生がパン買いに行くのは気が引ける、っちう妙な遠慮ぶりも何か判るし、じゃ買ってきてあげますよとあずにゃんに言われて(状況に関与してないのに)ぱあっと表情を明るくするミオムギさんたちの絵も微笑ましい。…ムギさんといえば、授業中に回してたバカメモを「それみんな欲しい!」と言ってるシーンがなんか、ちょっとホロリと来た。このコは何だか、そういうガキくさい経験に飢えているような気がする。そうねえ、タイムマシンで青春をやり直している大人のような。


この一話を丸々削ってしまっても、多分作品として大きな流れの欠陥にはならないだろう。しかし逆にこの作品としてはこの一話こそ絶対に削るワケにはいかない。上記の「日常系」という言葉でそのまま表現できる特質だけど、ここまで徹底して「単に積層されてゆく経験」を主目的としつつ、作品としてシッカリ成立させているアニメもそれほど多くないように思った。…ま、いろいろ言葉をこねくり回してますが、要するに「終わりそうなので淋しいなあ」ってことで。あとあずにゃんは気ィ落とさないようにね。


みつどもえ・10話。杉崎弟の竜太さん登場であり、杉崎姉弟フィーチャー回。同時に4話が4話ともみつばさんがひどい目に遭ってオチとなるという、みっちゃん受難特集回でもある。何というかその、エエ感じにツンポコ道を極めてるようで善哉です(ツンポコ:ツンツンののちヘッポコ)。みっちゃんは自滅したり因果応報されたり、ダメな目に遭うと実に輝くなあ。一方の杉崎みく嬢は真っ当に百合変態ツンデレ一直線。真っ当? まいいや。


初っ端のエピソードからインパクトは充分。竜太さんがひとはさんの服の中覗き込んで「いい色だな!」→さらに下の方を見つつ「すっげこうなってんのか!」→それ受けたひとはさんが「触ってもいいよ」、の三連コンボがすごくひどい。実際はガチレングッズについての会話なんですが、それにしても…改めてえろ勘違いネタとして考えると、最初の台詞は妙な味が出てくるな。小学校低学年が高学年のアレを見つつ「いい色」か…。シヴいな。


その後のエピソードも痴女だの雌豚だの座薬だの、ステキ単語の飛び交うステキ話でよろしかった。その中にあって個人的に、娘たちのことはちゃんとお見通しの草次郎パパ、っちう挿話がなんかよかったっすね。この人は一貫して良き父親なんだよな。…その表現形がいささか世間とずれてる場合があるだけで、ね。