わが名はコンラッド

●連休。ここしばらくは仕事の密度が薄くそこそこ楽チンだったのだけれど、それでも二連休は一月弱ぶりであってうーんのびのびするぞ。折角だしあんまし動きたくねェので(それは別に連休だからではない)、夜はメシ作らずに外に喰いにいこうかなー。外食はホンマ久々だなー。一人チェーン居酒屋か、一人焼肉屋か、一人回転寿司か、さあどれ。…「一人」ってのはどうしてもついてくるんですか。ええまあ。


●んで、ロジャー・ゼラズニイ「わが名はコンラッド」読了。何だかやたら長い間生きてきたコンラッドさんが、ギリシャ神話っぽい生き物が跋扈する未来世界において、「地球買います」な宇宙人たちのツアーガイドしつつ、殺し屋に狙われたり殺し屋を狙ったりする話。SFというよりはかなりファンタジィ寄りのお話で、それは道具立てがギリシャ神話だからってだけではなく、一人称で行われる世界の語られ方が…そうねえ、旧い英雄譚の一挿話っぽい「非現実さ」を感じさせるのだよな。個人的にはもうちょっとロジックに振るか、あるいはとことん夢幻性で押すか、っちう極端な方が好みですけどね。まこれは個人的な嗜好の問題。


ラストのシメ方は非常に余韻もあり、素直にエエ話として心に残るですなあ。遺稿というか遺書というか、「去っていった人物の残した意志」みたいな文章が複数回出てくるのだけれど、こういうギミックを効果的に使われるとクるものがあるねェ。


劇中登場の殺し屋・ハッサンが良いキャラだ。コンラッドとは長い付き合いの、寡黙で求道的でめっぽう強い男。名前どおりアラブ系ながら劇中ではしばしばサムライ呼ばわりされており、実際その立ち居振る舞いは非常にストイック。常にですます調で話しているのは翻訳のチョイスなんだろうけど、これによって「妙に居住まい正しく危険な男」っちう雰囲気が出てますわいな。…何故かワタシの第一印象脳内イメージが「感染るんです。」のペドロだったのがぶち壊し。必死でマトモな姿に上書きしましたけどさ。


以下は重箱隅。「ん?」と思ったのが「キーオプスのピラミッド」という表現。何だこれと検索してみたらクフ王ギリシャ語なんですな。へえ。あとアルゴノーツたちの表記が、ヘラクレスにテーセウスと来て「船長のジェイソン」、ってのにちょっとガクッと来たりした。これは多分同名の登場人物との関連での苦肉の策なんだろうけど(別の読みにしたら日本の読者にはピンと来ないだろうし、かといって登場人物のほうを「イアソン」と表記しちゃうとバレバレだし)ねえ。あるいはひょっとして、ギリシャ語でも「ジェイソン」と発音したりするんか?