デュラララ/おお振り/ナイトレイド

デュラララ!!・23話。アカン方へアカン方へとこじれてゆく状況は、イザヤさんの計画通りに運んでいるようだ。しかしここで主要当事者三名が顔を合わせ、物語の流れは微妙に変わるように思われる。そ、お互いワケありとはいえ、ちゃんとお話しなきゃね。その流れの変化をもたらしたのはセルティさんかサイモンさんか、あるいはヤギリの姉ちゃんか。それとも未だ事態はイザヤさんの掌上にあるのだろうか。


にしてもホンマ、高木渉の人はこういう役やらせると輝きたおすことだなあ。暴力的で陰湿で小心者で器が小さい、絵に描いて額に入れたようなチンピラである。ぴゃひゃひゃひゃ、てなムチャな笑い声がハマるってのは大概だ。案外この人がジョーカー役になるのかもしれない…己が力量を測りきれずに自滅する、っていう手段でね。イザヤさんも気にしてはいるようですが。


雨中鉄砲玉喰らって血ィ流しながら倒れてる、っちうベタな絵の前回ヒキにも関わらず、自分の足で「治療してー」とやってくるシズオさんは流石でんな。「雨ですっ転んだかと思った」じゃねェっすよ兄貴。あとアンリさんの登場シーン、大鉄扉を一刀両断して乗り込んでくる、っちう演出がこの作品にしてはかなりケレン味があって、際立ってましたか。


おおきく振りかぶって〜夏の大会編〜・12話。全力を尽くし、最後まで諦めず喰らいついて、そして負ける西浦である。6点差2アウト、ラストバッター7番。この状況からガッチリ遊び無く「負け」に繋げるシナリオが、うーん…「おお振り」という作品なのだろうなあ。しかし三橋と阿部、その他ナインの関係性をドラスティックに変化させたこの敗北は、多分大きな財産になるだろう。阿部さんのことだ、こういうチャンスは逃しますまいて。逆に言えば、この試合無かりせば二人の関係は多少イビツなままだったのかもしれない。判りませんけどね。


6点差という現実の前に立ち尽くす西浦ナイン。今までこれほど決定的な敗北的状況を経験したことが無かった、のは視聴者のワシらも同じであるのな。あのホームランの瞬間、ワシらの心情はそのまま西浦ナインにシンクロしていたワケだけれど、そっからの崩壊→復帰という皆の(≒視聴側の)心情の流れも骨太でよろしかった。この土壇場で三橋さんが現すエースとしての矜持、強さ、そして精神的成長。たった1イニング、劇中時間にして十分も無いこのシーケンスが本当に面白い。


そしてラストバッターの西広さんが体の震えもそのままにボックスに立ったとき、相手投手と捕手のモノローグは一切使われない。彼らの何気ない体の動き、しぐさのなんと重く、怖く見えることか。このシーケンスで「ああ、西浦はこの壁を越えられないのだな」と悟らせる演出が小憎そいねェ。その他にもスライディングキャッチとかランナーのまん前にカメラ置いた走塁シーンとか、今回いろいろと目を引くシーンが多かったな。


…うん、堪能したよ。面白かった。


閃光のナイトレイド・11話。カズラさんの敵方への寝返りを許しちゃったこの状況であるが、何故か桜井さんはそのことをアッサリとかわす。お嬢さんでなくても「カズラを軽く見られた」ようで少々不審に思われるのだが、さてその実態は…桜井さんが敵方サイドの人間だからでした、というね。ははあ、これはなかなか。底の見えない人物として描かれていた桜井さんだけど、こう来るとはちょっと思ってなかったので膝打ったりしましたよ。


未来予知によって日本の決定的な敗北を知り、同じく究極の殺戮兵器のことも知ったタカチホさんご一統。彼らの論理もて暗躍するのであるが…さて、タカチホさんは上記史実を「最悪の形での敗北」と表現した。多分二発の原爆について「最悪」と表現してるんだとは思うが、敗戦後の経済発展も含めての表現だとちと問題が出てくるな。ま、それはワシの穿ちすぎな解釈だとは思いますけれど。…この人もどうも底が見えんところがあるからなあ。


ここぞというところで一手遅かったアオイさんたち。構図としては「少々未熟な主人公たちと周到なボス連」ってとこですかな。こういう場合えてしてその「未熟さ」が最終的な決め手になったりもするんですが、さてどうなりますやら。…あと、脱出時の切羽詰った一瞬に出会ったカズラたち三人の、何とも言えない一瞬の機微がなんか良かった。やはり底の部分では何となく理解してるんだよな、お互いに。