ヒーローマン/デュラララ/おお振り/けいおん/ハガレン

●ガッと行くぞ。


●HEROMAN・13話。OPED変更、なかなか躍動感のある絵でよろし。一瞬ヤタラとはっちゃけてるスタン・リーの絵がおもろいのですが、大活躍とかしたりしますか。どうですか。


さて本編。政府に目を付けられたので大逃亡するヒーローマンご一統である。暗号電話で指示したり陽動作戦を計画したり胡散臭ェ学者仲間が居たり、こういう時のチョー教授は大人として安心感があることですな。…盗聴対策の名詞として「アラン・スミシー」は如何なものかとは思いますけどね! そこはヒューズさん気付いとくべきだ!


ヒーローたちの行方をホリー姉さんに問いただすヒューズさん。相手の反応を見て答えを待たずに状況を知るヒューズさんと、弟はどんなヤツかと聞かれて「いいヤツだ」とのみ答えるホリーさん、それぞれの人となりが感じられるシーンでよろしかった。EDとか見るとヒューズさんはおいおいコッチ側のキャラになるようだが(ネタバレじゃん!)、この人が身内となるならばそれは頼りになるだろうなあ、っちう感じがしますねェ。…てことは、敵もそれだけ手ごわくなるってことでしょうけれど。


生まれ故郷をあとにするジョーイが、丘の上から最後に待ちを一瞥してから「今行きます」とパーティに追いついてゆく描写がなんかよし。BGMも大仰な演出も無いことで、この状況と彼の心の深刻さが出てるなっちう感じでした。あと「濡れ衣を着せられるヒーロー」っちうギミックはスパイディとか、リーさんの過去作を彷彿とさせますな。


デュラララ!!・最終話。しっちゃかめっちゃかな倉庫内抗争の中、三人の少年少女はやっと身の裡にたまった感情を晒しあうことができる。ドタチンさんたちの庇護があるとは言え、この騒乱状況下で俺が悪かったいやいや私が、っちう掛け合いやるってのは少々メロドラマに過ぎる気もするが、まァね。そういう…オシャレの背後のベタベタさってのもこの作品の色ではありましょうかね。


あまり陰惨にするワケにもいかないだろうから「逮捕」程度の応報で済んだ高木渉チンピラさんですが、そこに至るまでのパニッシャー系キャラ複数によるたたみかけ攻撃がバカっちくて結構おもろかったっすね。盛大に歪み倒してる作画はこの狂乱具合に合っててワシは大喜びだが、苦手なも居そうだな…ってチンピラさんにそんなファンはないか。ないよね。やあい。ワシはファンですよ?


そして邂逅するイザヤVSアンリ。「人を愛する」っちうことでつながりがあり、イザヤさんは彼女のこと嫌ってるかもなあとは以前書いたけど、宣戦布告するほどに意識してたとはね。この場は(戦闘能力以前に)キャラクタ自体のパワーとしてイザヤさんのワルワル勝ちって所でしたが、その後のVSサイモン戦ではワンパンでノされるイザヤさん。あー、ジョーカーはサイモンさんでしたかあ。まあ多分イザヤさんはこのような状況を含めて「人が好き」なんでしょうけれどもね。そうなるとあそこまで特別視して嫌っている平和島さんが気になりますが、多分ホンマは逆に一番愛してる、んだろうな。意識的かどうかはともかくさ。


ラストのシメはネットと現実の狭間にて語らいを続ける皆さんの図。オーソドックスに見えてその実割と中道な落とし所は悪くない。ま、この後の第2シーズンも狙えるようなシメだしね。


●総評。なんちうか一言でジャンル分けしづらいお話で、チーマー抗争をユルく背景とした群像劇、といいますか。多分舞台である池袋という地が大きなフレーバーとして寄与しているのだろうけど、行ったことないワシにとってはあまり気になる要素とはならなかった。知ってる人にとっては「ああ、アレアレ」てな感じだったのだろうか。


そういう設定的なところ以外の感想だと、そうねえ、「欠損と過剰の話」って感じだったな。主要登場人物どいつもこいつも「独特の性格としてキャラが立たせてある」というよりは、大事な人間性のある部分が欠損している/あるいは過剰であるような印象を受ける。そのいびつさと基本的に醒めてる語り口のおかげで、どのキャラもどこか表面的な、本質を感じさせない(隠蔽している)雰囲気。


登場人物で最も大きな欠損を抱えているのは無論セルティさんだけど、逆にこの姐さんが最もストレートで十全な人間性を感じさせる、ってのは多分ワザとだろうな。顔も表情も無いので、ワシらがその感情表出を勝手に補完する余地が多いってのもあるだろうか。


んでもって非常にスタイリッシュで鋭い演出の作品なのだけれど、ちょっとメリハリに乏しい、言ってしまえば見た目や雰囲気に大きく依存したタイプの作品だったようにも思う。物語がグイグイとドライヴしてゆくってな強引なパワーは少ないが、一風変わったキャラたちの相互作用で織り成されてゆく構成感はカッチリとある、ような。んー、基本的にはワシのドストライクな作品方向性とは言えないんだけど、それでも楽しく視聴させて頂いた、ってのはやっぱ質の高さなんでしょうね。


あーあと、池袋っちう小区域でこんなんだから、トーキョーの他の区にも更なるゴッツい方々がいらっしゃったりすんだろーな、とか思ったりした。イザヤさんは一時期別んとこ居てたようだしねえ。


おおきく振りかぶって〜夏の大会編〜・最終話。負けちゃった西浦ナインは、それぞれ今後の野球の目標を掲げることにする。一応みんな甲子園と言うんだけど、出場から優勝までという程度の差、そしてその意識の差が存在する。じゃあその辺もうちょっとツメて翌日ね、という流れ。ここでも田島さん、目標として優勝じゃなくて「全国制覇」ですよ。気持ちよい単語選択だと思うわ。


後半は怪我の阿部さんを見舞うの巻。栄口が端緒を開いて田島が斬り込んで、そして結局は阿部と三橋の二人だけの会話ドラマとなる。ここでの「怪我」「首を振ること」という二題をめぐる会話の意味は大きい、というか、今までの流れのキレイな解題になってる感じやな。

阿部さんは首を「振らせなかった」ことに対して横暴だったと後悔の念を持ち、三橋さんは首を「振らなかった」ことは自分が責任を放棄していたと同義だと反省している。この受け取り方の差異、コインの裏表の噛み合わせ方が上手い。そしてこの瞬間から三橋さんの笑顔が見られるようになる、っちう「お話の目鼻」の付け方もね。夜空を自転車で帰りつつの三橋/田島の会話もエエなあ。青春よね。


●総評。前シーズンから地続きのこのアニメ、うーん…しっかりとまあ、前シーズンからの美点を継承してましたわなあ。常に変わらぬテンションとクォリティで、魔球も必殺打法も無く、超人選手も居ない一般高校生たちのガチな野球シーンをじっくりと描く。…高校生たちが主役のスポーツマンガとしてはキャラがちゃんと若いのよね。よく「お前一体何年留年しとんねん」ってなドおっさん高校生とか居てたりするんだけど、そーゆーのとは別ジャンルの作品ですからなあ。


緻密な読み合い勝負と心理戦、そして技術の鎬を削るぶつかり合い、となると福本作品のようなコンゲームジャンルが思い浮かぶけれど、それらともまた異なる「群像劇としての総力的駆け引き」な描写が非常に贅沢で、リッチだ。どこでかみ合いどこで外し、そして大勢はこう動いてゆく…ってなドラマのうねりは、見ていて本当に楽しかった。


それとあと、地道に地道に描き出されている「高校野球らしさ」ですわな。これも前シーズンよりの要素だけど、応援の歓声とかお母さん方の描写とか、その辺の地に脚ついた空気感が瑞々しかった。ワシのようなインドアオタでも「あ、いいなあ」とか思っちゃうものね。


てことで、1クールはいかにも短くて残念だけど…これは原作が溜まってないのだろうかな。30分1話でかなり濃厚だしねえ。また1年後にでも再開して欲しいですなあ。楽しみにしてますぞ。


けいおん!!・12話。このお嬢さんたちはまあ、三年のこの忙しい時期にがっしくですってよ! マー余裕のありますこと! とか思ってたら夏合宿どころじゃない、野外音楽演奏会なんぞを鑑賞に行くっちうね。いやー、楽しそうだなお前ら。享楽に生きるその姿勢やよしであり、先生が率先してそーゆー行為に走るとなればなおさらだ。好いたようにせえ。げへへ。


夏フェスって単語を聞いたことくらいはあるが、ワシにとってそれはほぼ世界の外にある概念です。よってワシは今回、あるあるネタの集積というよりは見知らぬ世界へのガイドブック的な視点で見てました。うん、そのような見方としても割と楽しい回だったのではないかな。惜しむらくはワシ、こういうアウトドア興行的なものに対してちっとも正の走光性を持たない人間なんで、根本の所でどっか他人行儀な興味しか持てないキライがありますわ。純粋にワシ自身の問題ですけどね。


それでも、夏の朝の暗いうちからみんなで集まるとか、パーキングエリアで要りもせん喰いもん買っちゃうとか、あるいは興行開始から盛り上がり中ダレ余韻の残るシメまでの丁寧な描写とか、そういう楽しさはもわんもわんと伝わってきました。ワシでこうなんだから、経験のある人にはたまらない、って感じでしょうかね。


がーッと楽しい一日の経験を、夜空見上げて「これからもずっと一緒に」云々、っちうエエ感じのトコで幕を引くというちょっと贅沢なノリも悪くなかったな。予告見るに、次週はこのエピローグ的なお話かしらん。


鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST・63話。フラスコの中の人造生命が起こしたこの大乱は、ここにその決着を迎える。全てを知り、そして得ようとした彼は真理なるものに逆に呑み込まれてしまう。ホムンクルスは叫ぶ、一体どうすればよかったのか、と。…さて、傲慢は戒められるが絶対の理ならば、謙虚になればよいだけの話だ。ホムンクルスにはそれができなかった。錬金術と真理の全てを捨て、ただ己が身と他者との関係性のみあればよい、としたエド兄さんのようにはできなかった。そして人の作りし小人は、真理の扉の向こう側にて永遠の不自由を得る。それが、自由を希求したる者への、傲慢の戒め。


アルはその体を、エドは両腕を再び取り戻す。その対価として錬金術の全てを失ったが、それはこの長い長い旅の原因であり手段であり目的であったワケで。旅が終わった今、錬金術はもう彼らには必要ないものだろう。正当な対価だ。…そうズバリと喝破できる、その強さと意志が彼らにはあった、ってことですわなあ。


てことで、皆さんなかなかオーソドックスに落とし所を作ってもらえたのではなかろうかな。グリードさんが最後の最後、その「強欲」を満たすことができた、ってのも割と美しいしね。しかしリンとグリードが賢者の石世界で引っ張り合いっこしてるシーンは、絵がちょっと面白すぎた気もする。グリード、なんか総裁Xみたいだったもんな。