大江戸ロケット/グレンラガン

大江戸ロケット19話。おお、八丁堀のダンナがどんどんと陥ちておるなあ。殺しの快楽を平気で口にし、頼っていた上司に刃を向けられ、女と逃げる二人旅。かなり深刻な状況なのに、それでもボケられたらツッコませてしまうのが赤井らしいというかこの作品らしいというか。


後半の展開はちょっと急ぎすぎたというか詰め込みすぎたというか、いやプロットだけ見ればそれほどでもないんだけど、いつもの「とにかく賑やかしく見せる」という傾向が流れを阻害気味だったか。スジを語る回だっただけに、それが見えにくくなるのはちと弱みだったような気がする。


…などという感想はともかく、納谷六朗の若者声のインパクトが…。ひょっとして星矢以来か?


天元突破グレンラガン最終話。ラストバトルとエピローグ、ギッチリと見せる30分。いや、よく詰め込んだものでごんす。唐突な流れも省略感も無く、これだけの内容をここまで濃厚に見せられたら文句は無い。キャラ各々のエピソードもてんこもり、ダヤッカにまで異様にカッチョ良い見せ場があったは嬉しかった。がんばれ父ちゃん。


中でもロージェノムの描写は濃かったですねえ。なんせ彼の大暴れキッカケで主題歌が流れ出すのであるよ。久々のラゼンガンもおいしいトコ取ってった感じでしたかね。ニアとヴィラルという繋がりを持っていたのが強みでもありました。あと、20年後に村長声になっちゃうロシウは…ええと、まあ、ワタシは好きですけどね。悲鳴を上げたファンがいたかも知れない。


20年後もヴィラルはやはり若いまま、か。この回における「死」の描写を考え合わせると、なおさらほろ苦いねえ。


総評。ガイナックスによる新作ロボアニメと聞いた時にはちょっと構えてしまったのだが、本編が始まってみると実にノリの良いバカアニメで引き込まれた。後で色々と変化してくるとは言え、この入り方は本当に正しい手法だったよね。何かのインタヴューで監督は「やりたいことを抑え気味に作った」と言ってたような気がするけど、作家性の後退がここまでの普遍性を生むに至ったのでしょうか。どうでしょうか。押井作品っぽい論法だな。


まあ、個人的にはもう少し話数/尺が欲しかったトコでして。「いやいや元からこういうテンポでやる前提の作品だった」ってのは本当だろうけど、ノリと勢い重視のおかげで内容自体が脆弱だった印象の回がチラホラと。特に第三部の政治話に対してはあまり適当な手法ではなかったような気がする。あと、最終局面における段取り的な脇役の退場とかもね。


全編にわたって歯切れの良い作画で通したのは凄いし、徹頭徹尾エンタテイメントを貫いた姿勢も賞賛々々。狭い地下から宇宙構造にいたるまでの道程を描写しきった体力はすさまじい。そこここにガタピシとした粗い所のある作品だけど、それを含めてチャーミングな味わいの感じられる佳作だったと思いますよ。うん、面白かった。