ゼーガペイン/財前

ゼーガペイン25話。スペインの雨は主に平野に降るか。パリは燃えているかイルクーツクの空は青いか。そして、舞浜の空は青いのか。


ラス前である。ここに及んで、ゼーガとその敵は現実の人々の前にその姿を現す。って、現実じゃなくてサーバ上のデータなんだけどね。でも物語の構造(と、サーバ上の人たちにとって)は、「虚構の具現化」というパターンに他ならず…うーん、見事なヒネクレぶり。戦いを煽るAIたちの明るさが実に怖ェぜ。今まで仲間だったのになあ。


そしてシズノ先輩の正体はAIだと明かされる。まあこれはバレバレのギミックではあった。が、たとえキョウたちが勝利しても彼女に帰る所などないこと、にもかかわらず彼女は全力でガルズオルムと戦い抜いたこと。それは彼女をして泣き崩れさせるに充分なほどの「物語的なパワー」を持っていたと思う。しかし量子的な不確定がAIにも魂やクオリアを生みますか。ナーガの理論はペンローズがベースかな。にしても、デカルトの劇場は…えーと、それはワシら人間にも無いのでは?


激闘の末、キョウは進んで人柱となる。カミナギさんの紡いだ物語そのままに。別れの挨拶にカミナギの似姿は涙を流す。彼女にはもう、感情は無いはずなのに。いやはや、最後までアルティール(アルタイル…彦星)そのままのキョウちゃんではあったなあ。月面の1/6Gの描写が細かい。プラネテス以来じゃないか? こういうの。


…うーむ、見事やね。ベタな所もはぐらかし所も、押さえ方が上手すぎる。設定倒れの頭でっかちに見せない手管にはプロの力量が見えるよ。さて、次回大団円。もう、バット振りぬいたハッピーエンド期待してますよ。いやまあ、ドロッドロの混沌エンドでもいいけどね。座して待ちます。


財前丈太郎10話。西凛太郎のヤクザの人が舞台から去り、物語は大塚周夫をラスボスとして動き出すのかな。しかしこの今津氏は何が怖い人なのか良く判らないので(90歳にして筋肉は凄い)、あんまし何がどうとかいうワクワク感は無いような気もする。


この人の画策によって「内取憎し」の世論が発生する。曰く過剰な権力、曰く一般人への波及、曰く暴走の恐れ。財前の仲間たちは「なんと酷い」と憤るのだけど…、逮捕した人たちを勝手に監禁してメシを食わせ、気に入らなければぶん殴っている財前さんの行動を見るに「実に真っ当な批判だなあ」と思わざるを得まへん。ま、ええけどね。


そしてやっぱし紗綾の人の声には慣れませんなあ…。アニメサイドとこの人サイド、お互いにどんなメリットがあるんだろう。