もし星が神ならば

●G・ベンフォード/G・エクランド「もし星が神ならば」読了。ベンフォードはともかく、エクランドって方の作品は読んだこと無いなあ。解説読むと、ベンさんが科学・ハード面担当、エクさんが作劇・ソフト面担当みたい。確かに、他のベンたんの作品と比べるとヒューマン(?)ドラマ寄りのような気もする。


一応長編という体裁はとってるけど、実際はある程度独立した短編の寄り合い所帯ってとこですね。主人公は同一で、彼の生涯を時系列順に描き出す。「キリンヤガ」みたいな構成かなあ。内容や手触りは全然違うけど。


ファースト・コンタクトの話ではあるんですが、主眼はあんましそこには無い。じゃメインは主人公と宇宙との関わりかってェとまあそうなんだけど、それ以前に印象に残るのは人間同士ゴッチャゴチャの権力抗争。まあとにかく、どいつもこいつもヤなキャラばっかしで楽しくなる。


底意地の悪い遺伝子天才娘、ゴリゴリレイシストのナンバー2、命令しか喋らない基地指令…とまあ、なかなかバラエティに富んだイヤキャラ連。大体主人公にしてからが、若い頃は権力指向でジジイになったら徘徊老人。もう大変である。


でもその、元が一つ二つの短編でそれを膨らませたカタチの作品なので、短編同士の間の「シリーズ構成」がちと弱いかな。そのくせ世界観が小さい感じは否めない。主人公が「作品で書かれてること以外の時代はどう過ごしていたか」という想像の余地があまし無いんだよな。


ま、でもなかなかおもろござった。おっと、無論人間関係以外のSF的要素もよォ出来てますよ? 特にエピローグの「色んな感情が溢れ出てくる感」は大したもんでした。