ブレイバーン/ダンジョン飯/フリーレン/薬屋のひとりごと

●勇気爆発バーンブレイバーン・4話。なし崩しの状況に独りヘソ曲げてるイサミさんは大人げない…とも言い切れず。しかしツンケンしているイサミに対してブレイバーンが連れてきた「いいところ」ってのが予想に反して演出上ホンマにエエトコであり、彼らがいかに同僚たちに感謝されているのかを知ることになるワケだ。そして他キャラがちゃんと「あのルルが敵じゃないといいのだが」と懸念し、視聴者の心情と同期もさせる。これは…割とキッチリ話のデコボコを均してくる脚本だな。何故ブレイバーンが(普段は重度の勇者ロボプレイフェチとは言え)人心の機微を教授できるんだろうか、って辺りもそのうち…ていうか、これは作品の根幹部分のギミックだろうけどね。

ラストは第一目的地の東京が絶望的な状況であることを示すグローバルホークの画像でヒキ。これがマジなら他の都市もほぼ全滅だろうし、世界壊滅系SFの様相を呈してきたな。補給が無いってのはなかなかきついぞ。

1話から継続している「対比的な二つのものを同時に描写する」という演出は今回も繰り返される。ルイスにくっついてるルイス(にぶん殴られた跡)とイサミにつきまとうブレイバーン、とかね、単なる落差を示すだけ、ではないような気もするが、どうでしょうねえ。

ダンジョン飯・5話。Aパート、カブルーのパーティはライオスたちがマンガ主人公然とした、まあ少々浮世離れしたキャラ像であるのとちょい異なる風情として描かれている。特にカブルー、人当たりよく如才なく要領よい(だからこそ天然気質のライオスたちには好感情が無い)っていう対立的存在で、こういう多面的なキャラをぽんと立てられるってのはこの作者らしいなと思う。んで今回食材の宝虫、クリーピングコイン? とコインチョコと甲虫の悪魔合体という「よう考えたな」ってネタですわな。脚が付いてんのがなかなかキモいけど。ネックレス虫見て「名産品みたい」つってんのはあれ、ざざむしとか孫太郎虫の黒焼きだな。

Bパートはゴーストと無国籍聖水のソルベ。前半でも言うたけど、幽霊と除霊/各人の内面に在る思い人(特にファリン)/聖水アイス、というワケ判んないお題そろえてキッチリ話を構築してるの本当に感心する。霊は物質通過すんだから聖水ボトルに詰めて振り回したらエエ、という身も蓋もないヤリクチはなかなかマンチですな。その上でファリンというキャラクタの存在感、その喪失がいかばかりのものか、一方で兄のライオスはお前このやろうというオチまで盛り込んで遺漏がない。面白いねえ。…でも聖別の為に「塩と似てるから砂糖も入れとこう、効き目薄そうだしてんこ盛りで」ってのは無茶だと思います。霊も細菌も似たような扱いかあ。

●葬送のフリーレン・21話。VSデンケン組。ラヴィーネ・カンネは魔力においてたちまさるアゴヒゲ兄さん…ええとリヒターさんか、彼に苦戦する。一方のフリーレン対デンケン、これは長く生き、魔法に対する意志的に割と似たもの同士と言えようか。それでもこっちはこっちで彼我の差が明らか。フリーレン一人で三人相手に対処できるほどの力量差がある上に、苦戦の若きチームメイトに結界破壊という手助けまでしてやれる。…今んとこフリーレン様はほぼ無双状態なんじゃよね。それが絶対じゃないって本人は重ねて言うのだけれどもね。

そののちの展開で、冷徹なリヒターも老獪なデンケンも、何かしら妙なかわいげがあるのがこの作品らしい。デンケンの「殴り合いじゃあ~!!」はちょっと感動してしまった。若い頃は無茶苦茶やったんやろなあこの人。なのであの木で鼻を括るがごとき試験官兄さん…ゲナウさんか、あの人にも今後「絶対つってたのにそうじゃなかったのでざま見ろ」以上の面白展開があるんだろうなと思ってます。あとラオフェンはおじいちゃん子ぽくていいと思います。

薬屋のひとりごと・16話。彫金細工師、三人の息子にそれぞれ相続された奇妙な遺産。そんなイカニモなトリックのついでに、三兄弟の仲を取り持つ亡き父親(マオマオ氏経由)という話。ギミックのキモは金魚鉢のレンズ効果と低温はんだ、ってことか。検索すると現在だとスズ/ビスマスで鉛フリーの低温はんだが作れるらしい。となるとあの金属はビスマス、蒼鉛だったってことかしらね。鉛害についてもちゃんとフォローするのは丁寧ではある。

ラカン軍師は何が楽しいのかジンシのところに通い詰めて言葉と態度で翻弄する。こういう状況をいなせないのがジンシ様の青いところではあるんだろう。次回はどうやらこのタラシ兄さんの得意分野のようだけどねえ。あと前回から登場のバセン氏はどうやらレギュラーになりそう。つっけんどんだが仕事はこなす…っつーか、多分この人の不愛想さにも理由はあるんだろうな。