夜は短し歩けよ乙女・続き

夜は短し歩けよ乙女。どうもかなり今の私に引っ掛かったようで何度か見てしまった。何らかの逃避とかそういうことかもしれないが、深く追求しない。とまれ、ばらばらと雑感を残す。あと絵描いたんでこっちにも置く。

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●原作では春夏秋冬各季節の話を、映画ではムリクリ一晩にまとめたらしい。四畳半のようにワンクールの尺でも見てみたかった、あまりにも駆け足であった各要素をじっくり堪能してみたかったってのはそう思う。ただこうしてコンパクトにまとまった美点もあって、ムリクリの統合によってかなり素っ頓狂になっちゃったお話のテイスト、これ自体が「一夜の狂乱」としての非現実的な楽しさに繋がってる。不思議な夜に出現したかりそめの異世界っぽさというかね。また周到に仕込まれた伏線やディテイルを再見によって拾いやすいってのもある。四畳半もそういう緻密な構成の作品だけど、あれもっかい総ざらえで見るってのはなかなかのリソースを要求してくるもんね。これはこれでアリ、とまあそんな感想。

●考えてみれば四季それぞれ、主題としてはみんな快楽的な設定なんだよな。ぐだぐだと続き道中で変人や知人に行き当たるはしご酒、水底を泳ぐような古書の集積をめぐる道程、カオティック極まりないパワーと色彩の学園祭、嵐の中で風邪ひいて自室に引きこもる非日常。全部、割とハレンチに近いほどに快楽的・享楽的なシチュだ。満漢全席っすね。

●この京都では風邪ひいたら物理的に風が吹く。風邪だけじゃなくて孤独を「拗らせ」ても吹くらしい。物語の要所で出てくる竜巻、これって李白さんが折に触れて孤独感を爆発させて発生させてた、でいいのかな。…黒髪の乙女が李白に「あなたは孤独ではなく、あなたの行動が結局みなと繋がっている」と言うときのイメージシーンで、竜巻がリンゴ園のリンゴを吹き上げてった絵が入るしね。このリンゴ群がパンツ総番長とダルマ姫のキッカケを作り、そして風邪ひいた実行委員長のとこにあった「竜巻に負けるな!」のリンゴはここのリンゴ園のものってことか。この辺は何度目か見返したときに気付いた。まだいろいろネタあんだろな。

●ちょっと前に英語吹き替え版も出ている(GKIDSの配信・そのトレイラー: https://youtu.be/NDs1W25kVso)。樋口師匠がものすごいイケボ。あと知ってる範囲内だと先輩のケレン・ゴフはどっちかっつーとゴツ目の敵キャラっぽいイメージだったけど、それがあの先輩というキャラをやらかすのが面白い。あとパンツ総番長のパトリック・セイズはすんげえハマってる感じ。キルラキルの蟇郡やこのすばのデュラハンのおっさんとか、こっちもゴツ目のキャラが多いのでよく合うんだろう。てことはロバートの秋山は稲田徹とか安元洋貴とか、そういうジャンルに当たるんかしらん。まあ判らんでもないけど。