少女終末旅行/キノの旅/宝石の国/魔法使いの嫁

●新番組・少女終末旅行。ポストアポカリプスな世界を平穏と多少の情感もてだらだら描くという、ある意味での理想世界なお話…で合ってんのかな。何で世界がこうなったのかとか何でケッテンクラート乗ってんだろとか今んとこいろいろ不明な要素は多いが、最終的にそれらは説明されなくてもまあ…別にいいかなとか思う。こういう廃墟世界をぼやぼやと生き延びるというのは、ワシ含めある種の人にとってのユルい夢世界みたいなもんでもあろうしね。

主人公の少女二人、チトとユーリという名がなんかいかにも面白い。ユーリさんはそのままロシア系なんだろうかとか、となるとチトさんはゲルマン・チトフなのか。あるいはチトーとか四式中戦車チトとか。何にせよ「そういう感じ」ではあるよねえ。軍服着てたから少年兵(少女兵)かと思ったが、多分これ拾ったものかなにかなんだな。

ちょっと気になったのは、マンガの原作を大勢の手をかけてアニメ化して、これはこれでよくできてんだけど…でも、このテーマとノリだったらマンガこそが適切な表現形式なんじゃないかなあ、って気が少ししたことか。原作にはあっただろう独自のエッセンスが「無難に」アニメに落とし込まれている、ということがいいのかどうか。ま、その辺は原作ファンでもないワシが論じるのは不適切かもしれない。とりあえず、だらっと見るにはよさそうなので少しつきあってみようと思います。

●新番組・キノの旅。有名な作品ながらワシ未見だったので、これ幸いと視聴する。しゃべるバイクを相棒に流れ流れて旅人稼業という、風来のシレンさんみたいな(違うけど)キノさんがメインの連作話、ということでいいのかな。どうやらこの世界はエリアごとになんか仕掛けのある国々に分かれてるようで、今回は人殺ししても罪にならんという物騒な国にお邪魔する。ま、そういうちょいとシリアスな寓話、ってなテイストの作品ですな。

人殺しの町にて出会う温厚な老人に柴田秀勝で、こりゃもう絶対見た目どおりじゃないよな…いやでも秀勝さん最近はただの爺さんとかよくやってるしな…とか思いつつ、ああやっぱしねというオチ。今回は全体的にちょいとコメディでもあったが、普通に死人が出るしキノさんもイザとなりゃその辺に躊躇はなさそうだし、そういう雰囲気もアリな作品度合いなのね、という提示としてもいい1話だったのではないか。ヘンな国を遍歴してお話を作るってのは大本は何だろうね。ガリバー旅行記辺りかね?

流石にしゃべるバイク(モトラドってんですか?)のエルメスさんは作画的に負担がでかいのか動くときは基本CG。当然上に乗ってるキノさんもCGになるんだけど、昨今の技術的蓄積のおかげでそこまで気にならない。ただ今回だとチンピラ兄ちゃんに初会合するシーン、画面右奥から手前に曲がりながらやってくる辺りとか、角度変化が完璧すぎて逆に浮いてたなあ…とか、そう思ってしまうのは多分、既存のアニメに慣れすぎってるこっちのせいも大きいんだろうな。ま、閑話であります。さしあたり面白そうなのでちょっと見てみよう。

●新番組・宝石の国。ああ、これ全編CGのアニメなのか。確かにこの「宝石のように透き通りつつも自在に動く頭髪」のキレイさはCGじゃないと映えないなあ…と思ってたら、敵対する存在らしき「月人」ですか? なんか仏教の悪夢みたいなおそろしい人が出てきてものすげえめんどくさい画面情報量になった段階で、あこりゃ手描きじゃムリだわと得心する。この月人、切断したら断面がレンコンみたいになるのね。…やっぱこれ悟り開いた人じゃない? まいいや。

登場人物各々が独自の宝石属性を持つ…ちうかほぼ宝石そのもので、割れるし欠けるし辰砂は毒出すしでなかなか異形感がある。まだ舞台設定がよく判らんが、現実の人の世界とベースで共通点もありつつもやはり全く異なるという、異世界えすえふなテイストがなかなかエエ感じ。本質は全然違うけど、なんとなくバラードの結晶世界とか思い出したりする。宝石の人たちがみな美形のアセクシャルってのも、現実的でない異世界感をかもし出してて悪くない(し、ちょいインモラル)。てなワケで、尖った感性でもありどっか懐かしいSFっぽさもありで、ちょっと期待してみたい作品。おっかけてみよう。

●新番組・魔法使いの嫁。何だろう魔法使いの弟子みたいなアレなのかなと思ったら劇中でもそう言っていた。「みえるひと」であるが故に親戚をたらいまわしにされていたという、どこぞのナツメさんみたいな経歴のお嬢さんがヤケバチで人身売買に身を売ったらなんかマジモンの存在が身請けしてきた…という。流れだけを聞けばかなり幽玄にも深淵にもできそうな話で、実際この第1話でも陽気な妖精がシームレスに天狗隠しならぬ妖精隠しやらかしかけたりしてんのだが、しかしお相手のホンマモン魔術師・エリアスがちょくちょくギャグ顔したりしてたりして、そこまでは薄暗ーくならないように演出している。

ま、その判断は見てるワシのものであってこの先どういう風な物語になるかは判らんが、少なくとも主人公のちせさんにとってそれほど悲惨な先行きにはならんのだろうな、という「仕込み」はあったりするので、うんまあそれならこわごわ見てみようかしらと思いました。話としてはそれほど派手なところはないが、全体にカッチリしてて安定感もあるしね(IGでした)。とりあえずは継続。