宝石の国/魔法使いの嫁/おそ松さん

宝石の国・最終話。パパラチア目覚め、そのイケメンお兄さんなキャラを印象付けて思わせぶりなこと言うたと思ったらまた眠りにつく。パクロミ声だしそらかっちょいいよね。そして今回出てくるメインキャラ、ルチルもシンシャもアレキもイエローもジルコンも、無論我らがフォスさんもみんな重いなあ。思いが重い。特にシンシャさん、フォスが「仕事を見つけてきた」と言うたらまず「楽しいはどこへ行った」と返す。シンシャにとってそれこそが重要なんだろう…フォスがどんどん変わってゆく(欠けてゆく)一方でシンシャは変わらない。そのズレが、彼らの間のギャップが、なんかこう切ないことだ。

最終回のこのタイミングで回想の子供っちいフォス、第1話のアホっぽいフォスを提示して現在の本人と鮮烈に対比させるのが上手い。不可逆に進んでゆくフォスさんの、取り返しのつかなさがやはりずしっと重い。多分この先もフォスはイノセントからは離れてゆくんだろうなってのを匂わせつつ、宝石の人たちみなさんのちょっとした顔見世を継いだ上で一旦のシメ、ってとこですな、

●総評。宝石でできた性別不明の人たちがキャッキャウフフしつつフォスさんが変貌してゆく話。石だけに他のみながほぼ変化しないなかで、フォスさんだけがガシガシ変貌してゆくことでのドラマがいい。落差があればそこに流れができる。文字通り身を削って進んでいるフォスさんがどこまで変化してゆくのかが、特に後半の大きな牽引ソースではありました。

それにしてもこの作品にCG、ってのは非常な英断だったなあ。CG技術の高さも当然だけど、浮世離れした背景世界に男でも女でもない人に似た存在、そして襲い来る非現実が形を成したような月人の姿…と、手描きでもいけるかもしれんがいろんな人が死にそうな表現を上手いことクリアしている。また宝石というソリッドなモチーフが、CGという手法によく馴染んでいるってのもあるかもしれない。まあでかちちでんでんむしとかも居ましたけどさ。ぽよんぽよんの。

話にあっては上で一旦と書いたように割となにも決着付いてなくて、ナゾや複線もそのまんまであり終わった感じはあんまりしない。原作が継続中なのでそりゃしょうがないとこだけど、まあそれなりに一段落って感じにはなってますかね。確かにこの世界や月人、あるいは宝石人と先生についての謎が大きな主題ではあるけれど、この特別な舞台にてそれぞれに過ごす宝石人たちの様相、これもこの作品の大きなウリなので個人的にはそこまで欠点であるとも思わない。できれば続編でいろいろ明かされるとありがたいとは思いますけどね。あるいは明かされる前に謎が増える、でもかまわない。

あーあと、黒沢ともよさんは当たり役でした。元からちゃんと出張ってきてる人らしいけどワシあんまり知らんかったんで、ワシにとってはフォスさんがデフォルトの属性になります。あと脇にも実に手堅くエエトコ押さえたキャスティング持って来てて、見てて非常に安定感ありました。議長の高垣さんがプチヘッポコで割と好み。

とりあえず、今期の作品群の中でも割と異色・かつ出色の作品であったことは間違いないなあ。いつぞやも書いたけど、ちょいと古い海外SFのとらえどころのない雰囲気が漂ってきてそれだけでもいい。どうやら制作にかなり期間を割いた作品のようで、おいそれと続編も作りにくいかもしれんけど…もし出るなら見たいもんだと思います。

魔法使いの嫁・12話。世界のあっちとこっちでチセとエリアスはお互いに相手のことを思いつつ、でもチセさんはいろいろな経験をしつつエリアスは腑抜けている。お互い子供ではあるけれど、ちゃんとした師や先達がついているってのは幸いなことだ。とりあえずチセさんは杖を作りあげ、魔力を乗っけたら杖の主であるドラゴンジジイのセラピーも受けられた。彼の言う「縁」ってのはそら重要なものであり、ぶっちゃけこれで話の世界も広げやすいってもんである。あんなドラゴンが杖を介して関わっているってのは、そら心強いわいね。

杖作ったことでなんか知らんエライ強大な魔法使えるようで、火の鳥形態になってチセさんはあっという間にエリアスさんちに戻ってきた。物事をはっきりさせる為に「言いたいことをちゃんと言おう」と思ってた彼女の意志は、魔法使い過ぎて疲れちゃったのでまたこんど。てことで、何か一つパワーアップアイテム得たとこで一区切り…ってこってすかね。

分割2期の予告みたいな形式の2シーズン予告がCパート。なんかすっげえ剣呑な感じになってるが、どこまでが予告編詐欺なのやらねえ。どのみちしばらくは平常モードだろう…かな?

おそ松さん・13話。前半しばらく小ネタ集。どれも小粒で単純なオチ…というか、このアニメらしくオチもなくて投げっぱなしなのがほとんどですけども、やっぱ目先が変わる小ネタの連続ってのは飽きなくていいわ。作るほうは大変だと思うけど。中ではカラとイチが謎の宝くじ売り場に行く話の、なんでそういう土台部分を思いつくかちょっと謎な感じが悪くない。いやマジ、なんでクジ売り場なんだろうね。

ネタ集最後の傘地蔵でも出てこなかったトド松について、その理由(というか嫉妬によるのけ者扱い)が語られるのが後半。「戦力外通告」から始まって徹底的に野球とその選手のフォーマットでゴリ押しするコメディですな。なんだよ外人助っ人マイコ松って。なんだよマイナーの2Aに属するアニメって。あと松野家二軍の魑魅魍魎具合とか、選手を見に来る有力アニメ監督っぽい人々のネタとか、そういう細かいとこも馬鹿でいい。宮崎・押井・富野・庵野とか、あとまだ居そうだなあれ。