アリスと蔵六/リトルウィッチ/有頂天家族/正解するカド

アリスと蔵六・8話。ハトリさんは日本一不幸な少女やねん。別に父親がヤクザも恐がるゴンタとかそういうワケではないが、両親がギッスギスしてるってのはとても精神を削ってくることではある。そんな彼女に発現してしまった能力は「人を無条件に従わせる」というヤバいもの。アニメの演出上だろうが色彩も抜けちゃうのが地味に怖い。小学生らしい思いつめ方してしまって状況に絶望し、小学生らしい家出をして小学生らしくない能力で町一つ無力化してしまうのはどうかと思います。…そこにサナさんが居合わせてしまったのが幸か不幸か、ってとこやな。

能力者の中でも特異な位置に居るサナさんは、双子でさえ無力化されてしまう中普通に行動ができる。しかし蔵六を含めた周囲の人間が全て抜け殻になってしまい、サナさんは孤立感に恐怖してハトリさんに対して怒りを爆発させる。典型的なイヤボーンになるかと思いきや、何故かお互いの能力が相殺してここはノーゲーム。足早に去ったハトリさんは、しかしこれ…このまま収まるとは思えないけど…どうでしょうねえ。

友人のアユムさんと一緒によんどころなく家出するというシーケンス、上でも書いたけどなんかいかにも小学生の孤独な絶望と自滅的希望ってなモチーフで、テンプレながらちょっと訴えてかけてくる青っぽさがあってよろしい。相手が「イケメン」と形容される面倒見のいいボクっ子(同性)ってのも狙いすましてるよね。何にせよ、これでバッドエンドには向かわないのじゃないかなって予感はするが、そうねえ…やっぱここはサナさんがちゃんと救ってあげて欲しいなとは思います。

リトルウィッチアカデミア・21話。言の葉集めは終盤、次は「デュオーン」ということだが何のことだろう、ってなもんで探しに出ようとするアッコをアーシュラ先生は引き止める。今出てしまうとその樹木、ワガンディアの花粉を浴びて魔力を失ってしまう、と。しかし気が焦り逸っているアッコさんは大人しくしていることができない。そこにキッチリ付け込んでくるのがクロワ先生でして…というね。

クロワさんの誘導技術、決して嘘は言ってないが正しい方向への真実は隠し、結果的に思い通りの行動を促す「悪魔の真実」っぷりがなかなかの悪役。今回はアッコを魔女として破滅に向かわせるという紛れもないワル行為なのだけれど、そうなってしまったとしてもちゃんと言い訳できるような会話になってんのが狡猾ではある。その上で、クロワさんってシャリオさんに対しては単純に憎んでるんじゃなくて何やら愛憎渦巻いたカタチになってんのがすっげえめんどくさい人なんですな、と判明した。アッコ陥れてんのも「それがシャリオの希望だから」だし、シャリオが死にそうになったら助けちゃうし、もう何かこじらせてんな! 

回想のクロワとシャリオ、何となく今の姿の反対っぽくなってんのは興味深い。特にメガネ。何だろうね、これってシャリオの方も無意識にかつてのクロワに対して何らかの引きずり感情を持ってるというアレなんかね。何となくクロワさんの悪役行動も、最終的に全てシャリオのためでした(ひどく歪んだ形だけど)みたいになんじゃねーか、って気がしてきた。どうだろうね。

有頂天家族・8話。夷川早雲の葬儀。何だかんだあって和睦を持ちかけてくる夷川の呉一郎であり、それを受ける矢一郎に特に悪感情は無い。まだ話の半ばだしこのまま済むとも思えないが、とりあえずは夷川とのゴタゴタは沈静化に向かうだろうか。…金閣銀閣は未だにめんどくさい兄ちゃんのようですけどね。

そして今回は夷川の娘さんにして元矢三郎の許婚である海星さん。周囲が彼女との関係復活を提示してくるのがどうにも鬱陶しい矢三郎であり、なんであんなワケの判らんハネッカエリ娘と仲良うせんならんのかと一人腹を立てているところへ、本人の海星が泣きながら姿を現し秘密を開示する、という。…彼女の姿が矢三郎特効で「化けられなくなる」効果となると、それは辛いとこだわなあ。まだ他の狸ならともかく、化けること(≒自由と阿呆)がアイデンティティの矢三郎からそれを失わせてしまうとなればそら姿を隠しもする。

狸それぞれに化け力を失わせる弱点ってのがあんのかしらね。矢三郎には海星、玉瀾は豆腐のラッパ、お母んは雷、そして多分総一郎は弁天がそれだったということなんだろう。にしてもお母ん、雷聞いて一家そろいのところに一人だけ狸姿で居てる時のかわいったらしさは何なんでしょうね。「ぴょこ!」じゃないですよかわいいなあ。…あと、呑みの席でちょっとイザコザって「父の代わりをしてくれと頼んだ覚えは無い!」と矢三郎につっかかられるも「…そうだな」と下がる矢一郎が何だか物悲しい。それは兄弟みなの思いだろしな。

正解するカド・7話。今やカド取材の第一人者であるゴンノさんであるが本人はなんかこう、この状況にマンネリを感じている。そこに渡りに舟のカタチをしてやってくるのがグーグル…もといセッテンCEOのいかにもなおっさんであり、彼を引き抜いてザシュニナ独占インタビューをすっぱ抜かせようという腹である。ダメモトでぶつかってったら案外気さくにインタビューを受けてくれるザシュニナさんであるが、しかしその内容は例の「眠らなくてもよくなる機械」の話であり、これはまた大きな爆弾であるなあ…という話。

…に、くっ付いてくるのが何故かお祭りに浴衣でお面かぶって繰り出してくるザシュニナさん、というすっごいナゾなサービスシチュエーション。サラカさんも浴衣姿でかわいいアピールしてんですが、キツネお面かぶってる異方存在がじゃがバタ喰いたがってるというこの状況にはちょっと太刀打ちできない。…インタビューの時も思ったし、また真道さんも指摘しているのだが、ザシュニナさんはちょっとずつ人間くさくなってきている。ザシュニナさん側が人類を変革させようとしているのは確かだけれど、その逆も進行しているということか。さてこの変化が及ぼす影響、とは何だろうね。

カド饅頭にカドカステラという実に人間くさく、ローカルなネタが面白い。人間ってこうだよなという例示として、直前の日照権を求めるデモと共にいいチョイスであると思う。ワムにサンサというとても現実離れしたものの反対側にこういうディテイルがあり、やがてその両者は混じってゆくのだろうか。…ちうかこれ、1クールでちゃんと終わるんかな。その辺心配になってきましたですよ。