鬼平

鬼平・8話。鬼の霍乱であり平蔵ぶっ倒れるのである。そんな調子の悪いときに左馬呼んで酒呑んだりするからもっと具合悪なるし、盗賊に入られたりするのである。てことで、本格働きの盗賊にちょちょいとイタズラされる銕っつぁんの話。父親の形見である銀煙管を盗むだけ、といういかにも技量恃みの盗賊であり、平蔵は(場合にもよるが)こういう手合いにはそれほど厳しくもない。ま、ヤンチャやってた過去を思い出すってとこなんでしょうねえ。

30分枠に納めるのに毎回工夫している作品なのだが、今回は上手く収めてるもののラストにもうちょいとだけ余韻が欲しかったなとそれが残念。おまさとか出てきて一声出しただけでシマイだったし、あの辺とか削っても良かったかもとか思った。ま、そんなんでもないとただでさえ尺が限られてるし、出番がなくなっちゃうってのもあるんだろうけれど。あと身をやつして潜入工作してる粂八がなかなかシュッとしたおさむらいさまになっててかっちょ良かったですな。

老船頭にして元凄腕盗賊の友五郎(友蔵)に羽佐間道夫。最後に聞いたガリレイドンナん時からしてもかなりのお年だったが、もう83かあ…。歳相応の演技とは言え、とてもじゃないが80越えとは思えない。すげえわな。

●なんか知らん先週放送無かったので2階建ての鬼平・9話。浪川の辰蔵さんが珍しく剣に入れあげてんのであり、まあ茶化したくもなろうが「そういうこともあろうよ」と思う鬼平であった。そして彼はかつての無頼の頃、自分に大きな影響を与えたある男を思い出す…という過去回想辺ですな。何か前後編の前編ってことらしく、確かに回想のみの構成で大きな事件は発生してないんだけど、これはこれで一つの話としてアリな感じになっててなかなか上手いものだと思う。前後編というか、ドラマ版のサイズの話が2週に分かれたとも言えるな。

平蔵が道場でムチャしてた時代に現れた道場破りの松岡重兵衛は、平蔵がどんなにつっかかって行ってもいなされるほどの強さを持っていた。この頃の平蔵さんはご実家のゴタゴタですっかり嫌気がさしてて、その鬱憤を晴らすが如くの無軌道ぶりっちうこってすな。そんな彼に道を指し示す重兵衛は…しかし、清廉一筋というワケにはいかなかったと。この辺のほろ苦い、ちうかベタな機微は池波っぽいっすねえ。重兵衛の強さの表現で、おそいかかる与太者どもをなぎ倒す前にチャキ! と刀を返してんのがまたベタでいい。安心めされい峰打ちでござる、ってヤツっすな。

松岡重兵衛にてらそままさき、渋い声のおっさんキャラは自家薬籠中のものである。んでもって平蔵の非行の原因である継母の人が杉山佳寿子か! 判らんかったわ…エエ悪役演技しよんな!