うしおととら/ワンパンマン/おそ松さん/ルパン三世

うしおととら・20話。獣の槍ができるまでを提示し、そっからあとは割とダイジェストな展開でお届けする話。やろうと思えば後半のあらすじを1クールかけて映像化することもできるだろうが、その辺は割りきりが必要ってこったろうか。ま、正直言えば2話くらいでもあったら良かっただろうかしらねえ。白面を護る理由とか、結構衝撃的なネタなんだけどタメが不足しててさらっとしすぎてる気はしたしね。しょうがないけども。

その分前半の、ギリョウとジエメイが槍となるまでの話はもう、どうしたものやらってくらいの濃厚な演出で説得力がありまくりである。単に妹の命を救えなかったという悲劇ってだけじゃなく、「あの時本当はそれを望んでいたのではないか?」という黒い黒い疑念により鬼と化す男…という展開が実に説話的でよろしい。声優演技も印象的で、炉の上に立つジエメイを見たうしおとギリョウの声にならない声がすごく生々しかったよ。考えてみりゃうしおさん、この中国行で二度「救いの手」が届かなかったんやね。大層なトラウマにもなろうよ。

うしおのかーちゃん・須磨子に坂本真綾。この人はもうこういう「一段レイヤが高いところに居る象徴的女性」役が持ちネタになってますな。きゃいきゃいしたお嬢さん役もワシ好きなんだけどね。

ワンパンマン・7話。天空より飛来する巨大隕石を防がんとするヒーローたちはあまり多くない。マジメなジェノス、老成したバングさん、リモートのロボットで利己的な実験をする程度の認識であるボフォイさん、とその程度しか対処する者が居ない。そしてそんな彼らの働きが通じなかった今、ああ今やZ市は破滅の瀬戸際…ってまあ、サイタマがワンパンでぶっ壊すんですけどね。というお話。

破壊はしたもののその破片によって大きな被害を被る市民たち。壊滅せずに済んだってのが幸いだけんど、そらまあ「もうちょっと上手くやれよ…」とか思うヤツも居るだろうなってとこだろう。そこに付けこんだタンクトップ兄弟の誹謗に対し、すごくシンプルに「知るか」とばかりに返すサイタマさんであり、ジェノスさんはまた惚れ直すという寸法ですな。悩み考えることがアイデンティティみたいなジェノスにとって、シンプルなサイタマは確かに師匠として適任ではある。…バングさんという落ち着いた理解者ができたのは良かったねと思います。こういうキャラからの視点は便利よね。

燻し銀ジジイのバングさんに山路和弘。もとより渋い役回りの多い人だし、こういうキャラもお手の物である。お手の物っちゃボフォイ役の玄田哲章だなあ。大柄で無愛想なロボ(まあ中身は別だけど)っちうのはタイプキャスティングの極みでもある。

おそ松さん・7話。前半はトド松受難…っつーかまあ、松兄弟がどこまでクズたりえるのかというお話。誰か一人がいい目を見ることにとことん否定的でどこまでもダメ野郎になれるという、ゲスいコメディにうってつけの題材だけにかなり切れ味のいいエピソードであるな。クズ行為にて陣頭指揮執んのはおそ松兄さんってのは不動として、一松と十四松がなんかエエコンビなのがムダにほっこりさせてて、カラ松はいつもどおりミソッカス気味で…ときて、意外とこういうときに安定しないのはチョロさんやね。やろうと思えばクズも常識人もイケるけど、それだけにハンパというか…まあどうでもいいけども。

今川焼のショートコント挟んで(「36時間」というバカ台詞をするっと挿入するあたりあなどれんが)、後半はイージーライダー的なサイレントロードムービー的なよく判んないバカ話。デカパンもダヨーンもこの作品の便利脇役だから結構どうとでもなる役割だが、それでもダヨーンの方が得体の知れん度は高いのよね。つーか飛田さん、演技しててどういう気持ちなんだろねこれ。

Cパートの「自己責任アニメ」というネタもおそ松兄さんの小物っぽいゲス加減が出ててよろしかった。あと何だ、予告の台詞は何故ナイトスクープ? ちょっと笑ったけど、狙うにしても妙なとこではあるなあ。

ルパン三世・7話。MI6のニクスさん再登場、あとついでにレベッカさんも。ニクスの娘さん・ルパンたち・銭形・人身売買組織と合わせ、お互いに絡まりあってお話が構成されてる30分、っちうまあそんな回ですな。それまでマシンのような雰囲気しか見せていなかったニクスさんが「お父さん」としての顔を見せる意外性もあり、なかなか面白い趣向の話ではある。アバンで父のニクスを待っている家族、そこに聞こえるチャイムの音…という「あ、これはニクスじゃない人間が来るな」という定番の流れを逆用して、仕事人じゃなく家庭人としての柔和なニクスがやってくるという流れはちょっと上手いと思った。なるほどね。

そんな話なので、ザッピングオペレーションのサブタイどおりあっちこっちに視点が移る。その際に俯瞰のカメラ映像が挿入されんだけど、このザッピングしている主はニクスの上司・MI6ってことかな。彼らが持つ秘密が「イタリアの夢」なる謎単語そのものなのか何なのか。ま、それは今シリーズのあとの方で出てくる要素なのだろうね。

レベッカファンでおてんばっぽいニクスの娘・ブリジットさんにくまいもとこか! 少年声の印象が強い人だけど、こういうかわいい演技もちゃんと上手いんだよね。