春の犬とおっさん

●春の陽気が盛りとなってきつつある昨今、皆様いかがお過ごしか。ワシは大好きだった冬が終わり、その上花粉症の前駆症状(ワシの花粉症は五六月がピークなのだ)が出てきてんのですこぶるゲンナリである。おまけに職場の過密労働時間環境が改善されないまま、もうじき繁忙期を迎える予定でありもうどうにでもなれといった趣である。ああ、いきなり目の前に次元の断層が顕現して、ワシのようなダメ人間でも無双大暴れできる異次元ファンタジィ世界に召喚されたりしないものだろうか。どうだろうか。

などと思いつつ帰宅の道をたどっていたところ、犬を連れて前を歩いているおっちゃんがなんかヘンであった。ずうっと犬に向かって語りかけているのはまあいい。家族の一員として扱っているという微笑ましい行動である。しかし、その言葉遣いが何ゆえ丁寧語の敬語なのか。「そうですね、俺もそっちの道は行かない方がいいと思います」「最近はどうですか、息子とは上手くやっていけてますか」「壁…そこの壁に何か気になるものがおありですか? あ、無い? では参りましょうか」…何だろう、何というかこの…ひょっとして実際にそっちのお犬様の方がおっさんよりヒエラルキーが高いとか? ファンタジィ世界から来たもの言う高貴な犬っぽいクリーチャなの? …じゃないんだろうなあ。次元断層なんかそうそう発生しないだろうしなあ。

ま、いずこの人も疲れてらっしゃるってことで。よう判らんけど。