弱虫ペダル/蟲師/シドニアの騎士/ピンポン

弱虫ペダル・27話。小野田さん落車により最下位となり、総北のレースプランは大いに狂う。平坦区間でシゴトした野郎どもはかなりの疲弊、となるとここからのクライムはマキシマ先輩がチームを引っ張ってゆくという選択しか無い。そしてそれは、箱学・東堂さんとの約束を諦めることでもあって…というね。ナルシストで軽薄で自信家だが、勝負とライバルへの思いはマジモンの(ちょっと重い)藤堂さんは、敵チームの刺客というにはどうにもエエ人過ぎてたまらんことである。…ソッチ方面の人気も高そうだなあ。いいけど。

結局断腸の思いにてお互い前と後ろに離れてゆくお二人さんだが、しかしマキちゃんの方は実は諦めていない。3分! 3分でヤツが来る! 100人抜いてヤツが来る! ってことで、うへえマジでこっから百人抜きですかいなという主人公・小野田さんのターン開始ですな。流石にマキちゃん先輩が「3分」ちうてた時点よりは多少さかのぼっての小野田さんスタートシーンなんだろうけど、それにしてもこのお膳立ては尋常ではない。まあ、いうなれば自転車版逆境ナインですわなあ。…他者を追い上げるときにはとんでもないボーナスポイントが付くってのは小野田さんの特性として知ってますけども。しかし、こっから何話かけて追いつくのか…。この作品も大概テンポゆったりしてっかんなァ。

東堂さんに煽られて一瞬戦闘モードに入りかけ、でもやっぱり元に戻ってるマキシマ先輩の描写がなんかおもろかった。体が緑色に光った! …ああ光が消えた、ってなんか照明のライトアップみたいな能力オーラやなあ。

蟲師 続章・2話。私の耳は貝の殻、海の響きを懐かしむ、とまあそういうアレ。耳を傾けるのは海の音だけにしときなはれ、もしもそれが囀る声であるならば…という話。その声を聴くと「声の出し方を忘れてしまう」という言い回しがなんとも「蟲」ですわな、という初っ端のアクシデントはしかし、これからやってくる災厄の前兆に過ぎない。今回の蟲は件の囀る貝だけであり、本チャンの災厄は蟲ならぬ自然の手。そんな巨大な力の前に、人はどうすることができるのか。

てことで、ある悲劇の招いた二つの家族についてのお話。いつまでも孤立して他を寄せ付けない男が許せなかったのは、他者ではなく自分自身である。でもそんな拘泥も葛藤も、自然のうねりの中では実に小さな小さな…どうしようもないことでしかない。だから、もう一度やり直してはもらえないだろうか、という結論に至る流れは、美しくもあるが実に無常なことでもある。…いやあ、スケールの大きな違いを一気に見せる、遠近法のようなお話ではあるなあ。

スケールの大きい方、赤潮の被害。10年かけた努力が一晩でパアになるという、この無常さは本当に辛い。だからこその人間の集団性、ではあるのだが。

ラスト。凶兆の去ったを知り、一斉に飛び立つ貝の蟲のシーン。一つの話をシメるに値する、とんでもなくゴージャスな回り込みと白い色の爆発が美しい。…ちょっと精査してないんだけど、あの回り込みは今時全作画背動だったりする? なんか蟲師だけに、そういう無茶をやりそうではあるんだよなあ。スタッフロール見てもCG班とかそういう名前が見えないし…。うへえ。

シドニアの騎士・2話。谷風さんたちの初陣は結構な大混乱、悲惨な犠牲者を出すに至るものとなる。謎の敵ガウナが同僚を撃破、どころか捕食して内部に取り込み、あまつさえその形態を模写して見せるという…この一連のシーンはデザインと見せ方がかなりネガティブに秀逸で、ひたすら理解不能の生理的にキモい敵って感じがよう出てたと思います。このガウナが一時撤退するに至った、ええと重質量砲、でいいのかな。字面からすると特段の付加効果がある弾体ではなく、ただただ大質量のマスを相手に高速でぶっつけるというものだろうか。摩擦減速の無い宇宙空間では理にかなってる兵器ではありましょうかしら。まその、これがヒットした時のエフェクトも妙にキレイでよろしかった。

とまあ、そんなヘビーな(弾体もね)お話の脇として、谷風さんの周囲のちょいとした日常風景もあったりしてこれも割と面白い。取ってつけたようなラッキースケベ経験(とそのしっぺ返し)、自動挿入尿道カテーテルにほほ赤らめる女性陣(野郎はいいや)、そして盛り上がってエリート戦士を迎え入れたと思ったらスルーされてるノリオさん。なんかこう、CGの上に彩度が低くて控え目なデザインのこの画面ですっとぼけたコメディやられるとある種のおもろさが上乗せされるな。ま、そんなペーソスも盛り込んだ上での上記悲劇が効果的なんだろうけど。

シドニアははしゅせん…「播種船」だろうか、つまりは宇宙に播かれてゆく人類のタネってワケか。すでに太陽系が壊滅してるってのは割とショッキングだけど、多分他にも播種船はあってそれらはシドニアとは別のお国柄を持ってたりすんだろな。未来世界っぽい設定の割にみんな日本風の名前なのが少々不思議だったが、そういうことなのね。なるへそ。

●ピンポン・2話。冒頭はチャイナさんの憂鬱、あの日見たメガネカットマンは一体誰だったのだとか思いつつ出てきたデブメガネに幻滅したりする日々である。んでもって本編はスマイルさんとミスター小泉のハードラブなお話。昼行灯のヘッポコ顧問に見えて(いや、1話の段階で手ェ抜いてるスマイルの様子に気付いたりと伏線はあるんだが)その実すんげえ卓球野郎であった小泉先生が無闇にかっちょいいなー…とか思ってたら、その先生に一気に覚醒させられたスマイルの状況がさらに上行く大ヒーローぶりであってただビックリする。いやあ…なんでしょうなこのアニメ。

後半のどのシーンも熱量充分、そんな盛り上がりの果てに小泉先生がぶっ倒れるというあのシーンの美しさ。左に倒れゆく先生、右に振りぬけるスマイルの手、そんなスローモーション。…第1話のチャイナ戦も大概だと思ったが、今回の試合もジョウドロッピングなできばえでんなあ。よくよく考えてみればまだ公式の試合ですらない前座バトルですよこれらって。先々の展開に大きな期待を持つなって方がムリだ。原作もすごいがアニメアダプテーションもすごい、これはマジで今期目の離せない作品の筆頭になりそうだよ。参るわ。

あとはこのお二人のキャストよね。内山昂輝の抑制されたスマイルもいいけど、屋良有作だよなあ。こんなカッチョイイ屋良のおっさんは久々だ。あとドラゴンも顔見世登場、高校生とは思えない押し出しはまさにドラゴンでよし。これァアクマさんにも期待が持てますよ。うーん、今回は…いや今回も堪能した。こんなん週一で見られてエエもんやろか、とか思うよ。