有頂天家族

有頂天家族・3話。季節はお盆でありそうとなれば狸たるものお船を出して浮かれ騒がねばならない。たかが舟遊びの成否がお家の一大事さながらに取沙汰されてんのは、狸どうとかアホの血がこうとか以前に、人間様だって似たようなもんじゃねーかってなそういう、まあアレである。とりあえずお船の調達は矢三郎に任され、そんじゃあってんで赤玉先生の所に赴くが、肝心のお船は弁天様にやってもたと言われ…っちうね。

相変わらず得体も奥行きも知れない弁天様の存在感が素晴らしい、っちうか何ちうか。老舗っぽい扇屋の中をずんずん進んでって裏口へ抜けるとそこは海、水没した時計台と巨大な鯨とバカTシャツ来た弁天様のある風景…というシーケンス、およびヴィジュアルがとてもよろしい。間口が狭くて奥が遠いという京都風のお店ってのは確かに、別舞台への結節通路のようではある。つーかまあ、狭くて暗い座敷世界ってのがワシのフェチ心に合致してるってのもありますがね。

そんなコワい弁天様に対し、素直と軽口とりまぜて対応できる矢三郎はやっぱ肝が太いのだろう。人間のツワモノと天狗のお頭双方に対して物怖じもせず渡り合うってだけで、コイツにはある種の大物性があると思うよ。でも「貸した船壊したら一発芸な、ウケへんかったら狸鍋な」っちうのはほぼアカンフラグやと思います。どんな芸をさせられることやら…まさかに鍋にはならんでしょうけどね。

今回ゲスト、もう一人の天狗師匠に清川元夢。強大な力を持つのだろうが今や楽隠居という、余裕のある風情がよし。どうでもいいが以前のお船の「まんぷく丸」っちう名前聞いて思い出すのはそういう商品のCMなのであった。アレって何だっけ、佃煮だっけふりかけだっけ。まいいや。