進撃の巨人/ヤマト/有頂天家族

進撃の巨人・22話。エレンを喰って逃走する女巨人、を追っかけるミカサとリヴァイのシーンからスタート。女巨人の目的がエレンの確保と強奪であるという目算から、エレンはまだ生きているという希望(という言葉は妙に似合わないシーンではあるが)を繋いで攻勢をかけるお二人さんである。今んとこ調査兵団の中では攻撃力において突出している二人だが、やはりその中でもリヴァイ兵長の総合能力は更に抜きん出ておられるなあ。彼のスキの無い連続攻撃シーンは「あ、こりゃ他の人間がかなうところじゃねーや」と思わせるに充分な、アクション的な見所になっておった。

傷つき倒れて涙を流す女巨人をあとに、何とかエレンを奪還してそのまま城塞都市へと帰還するご一統。しかし女巨人が流す涙は何を示しているのかねえ。感情があるってのはある程度示されてきたが、誰のために/何のために泣いているのか。作戦失敗の悔しさか、あるいは…。

後半はその後の様子をじっくりと。負け戦とその処理という、どうしようもない虚脱感の横溢する絵面をガッツリ見せるという、まあそんな話である。調査開始の時と比べるとあまりにも損害の大きい帰還メンツに、町の人々の視線は冷たい。その中でお子さんからの心からの賛嘆が逆に辛いという、エレンさんのキモチはよう判りますわなあ。リヴァイさんもエルヴィンさんも、戦闘能力以上にこの状況で冷静に行動して前進できる(あるいは今回のように撤退できる)っちう、心胆の強さが身上なんだわな。

宇宙戦艦ヤマト2199・23話。デスラー砲を紙一重でしのぎ、さあこっからヤマトのターンじゃいってとこで何するかっつーと当然ながら敵中突進なのである。まァ単艦運用のヤマトからすればそれ以外の選択肢はあんまし無くそらそれでエエのであるが、問題はガミラス側。どうもデスラーさんの指導者としての憂いは想像以上に根が深かったようで、ことここに及んで…あるいはむしろこの状況を好機として、国民を犠牲にしてまでもの大粛清を行おうということとなる。このデスラーさんの秘密計画を把握してたのがセレステラさんでもタランさんでもなく、ギムレーのおっさんだけだったってのがなんかこう、意外。この人選はあくまでデスラーの「悪役」としての側面を補強するためのものだろうなあ。

さて。コロニー落としの脅威を波動砲で打ち払い、デスラー砲による大打撃もノランくんの犠牲によって回避され、デスラーの野望はバタバタと崩れてゆく。見せ場の連続で濃厚な話ではあるけど、ちょいと詰め込み気味な感じがするのはしょうがないかしら。しかしこのあれよあれよという間に進んでってしまう流れは、デスラーというお人のついていけなさをかもし出す分には悪くない。サブタイ「たった一人の戦争」が示す者はデスラーさんでしょうな。古代とユリーシャが出撃するに当たっては皆の言葉と援護があり、ガミラス側のヒスさんもヒルデさんを助ける描写があり、それらとは対照的なデスラーの孤立性。「国民殺しの罪を一人で背負う」ちうてましたが、悪役の看板もこの人一人で担ってもらおう、という構造になっちょるんだろうな。…あれでデスラーさんが死んだとは思えないんで、まだまだなんかやらかしてくれるとは思いますけども。

にしてもヤマトさんも「総統府に突っ込む!」ちうて物理的にマジ突っ込みするとはね。途中で親衛隊艦船のどてっぱらに突撃、そのままラムアタックで押し破る…ってアンタ海賊船ですかいな。松本世界ならまあアリアリですけども。あと今回はエエトコでキャラ作画が濃いくなっててよろしい。雪さん救出を決心する古代さんの顔とか良い濃さでしたよ。

有頂天家族・10話。偽右衛門選挙の日、父総一郎の命日、金曜倶楽部の忘年会の日。それらいろいろと因縁のある、えっくすでぃが本日である。偽右衛門という肩書きは単なる象徴、矢二郎矢三郎は当然ながら矢一郎もその名前に無闇に拘泥しているワケでもない。つまりはその程度のシロモノであるのだが、いやそんなガワだけのものであるからこそ、そこには妙な思惑や実体が乗っかってくる。虚と実のやりとりにおいて、こういうときには俗っぽさにおいて勝る夷川の独壇場である。暗雲、ただただ暗雲。

てことで、クライマックスの舞台を前に急転直下な展開ですな。総一郎が鍋となったのも、矢一郎が鍋となりそうなのも、全ては叔父早雲の暗躍によるものであった、とね。それまではどこか気の抜けたような空気の漂う状況だったのが、早雲がヤらかしたとハッキリ言明されてしまうと途端に重くジメッとした触感となる。重要な役割として弁天様が介入、結局総一郎が鍋から逃れられなくなったのは彼女の意志があったからであるけれど…さてね。このシーンだけ見れば総一郎に対しては明白な害意しか感じられないのだが、その後の布袋教授と同席した会話シーンとか見ると、彼女にも何やらアンビバレンツな感情がありそうで。ま、いろいろあろうが、それは次回以降。

総一郎と早雲の酒席でのシーンは、特に早雲役の飛田展男のおっさんが実にエエ感じの「腹に一物ある男」な演技でよろしい。幅広いよね芸風。…そういやこのおっさんだけ、狸形態を見てないな。どんな姿なのでっしゃろな。