ラグランジェ/峰不二子

輪廻のラグランジェ season2・最終話。何とかディセルマインを(武力的に)調伏したまどかたちであるが、そんなディセ兄を前にユリカノさんは「ワシとこいつは艦と運命をともにするよ」みたいなこと言って崩壊する輪廻世界にとどまろうとする。当然そんな「理性的自分勝手」を許すようなまどかさんではありませんで、黙ってアチシについてこい特に対案はないけど心配すんな、と植木等みたいなこと言いつつ現実世界に連れ戻しちゃうのである。…世界破滅前の不穏な空気を覆す象徴が、天から聞こえてくる「じゃーっじっぶだっましーぃ」の歌だってのがまた、この作品らしいすっとぼけ幸せ具合でよろしい。

そして輪廻後の世界。地球は平穏を取り戻し何故か惑星衝突の危機は去り、ヴィラ兄は恢復しディセ兄は肉体退行という聖痕を背負い、ジャージ部三人娘たちは今日もウォクスで飛び回り、そしてモイドさんはよく判んないまま消滅してしまう…という、もう何というか前方向まんべんなくの大団円最終回ですなあ。そら被害も損害もあったのだろうけれど、このまどかさんというキャラを軸に据えてお話を作った以上これが期待さるべきシメであろう。うん、善哉々々。でも最後にもう一目、アレイさん男の子メイド姿を見てみたかったなあ、とまあそんなことはどーでもよろしい。

●総評。鴨川脳筋娘のロボ話。分割二期の後半部分でありここに作品完結の運びではあるのだが…うーん、どうかねえ。やっぱちょっと、あちこちに中途半端なところがある作品になっちゃった印象がねえ。分割したのはやむを得ない制作上の要請によるものだろうけど、これが連続でパッと見ることができたらもちょっとまとまった印象になってたんじゃなかろうか。惜しいな。

客観的にはまず、ロボットの活躍と話の盛り上げがどうも肩透かしなのは否めない。宇宙艦隊戦もロボバトルも結構あったんだけど、どこか取って付けたようなそぐわなさが感じられたのは、そういうハードな描写が本編のソフトで肩の力抜けた雰囲気と合ってなかったからだろか。あとその、鴨川ご当地要素がちょっと…何つーか、足引っ張ってたような気がせんでもない。それらもあって、2クールかけた割に世界観が狭くてせせこましい印象が残ってしまっている。

でもワシ、この作品かなり好きであるのよね。それは要所々々の演出が気持ちよかったってのもあるし、音楽がキレイだったってのもあるし、基本的に優しい視線からの脚本だったってのもあるし、何より登場人物の造形がワシの感性にかなり響いたってのもある。…ランちゃんいいよねランちゃん。クールビューティかと思わせて実はドジ、それもマジメ系ドジという妙なジャンル。失敗してはいちいち落ち込んだり自己嫌悪したりしてるの見てるだけでどうもワシ弱い。何か必死になってる犬見てるみたいだ。わん。

あとやっぱ、あのロボデザインいいよね。どこか女性的な柔らかい曲線ながら、飛行形態の鋭さかっこよさも大概やし。おもちゃ欲しい。

えー…とまあそんな、客観的にはイマイチだったんだろうなというとこと、主観的にはかなり好きだったっちうとことのギャップがですね、妙に心に残っちゃってねえ。判官贔屓というか、どうしてもこの作品の肩を持ちたくなってしまう。何でしょうねこのワシのナイーヴさ。よう判らん。てことでそんな感じ、好きです。面白かったです。それでいいやもう。

LUPIN the Third 〜峰不二子という女〜・11話。今回はオスカーさんをメインに切り込む話…ってあれえ! オスカーさんここで死亡退場しちゃうの!? 直接の死亡絵は無いにしても、こらどう見てもアカンような気がする。とは言え実際に死体が見つかってるワケじゃなし、何か物語上の要請があれば復活する…というか「実は身をくらましていただけでした」っちうことになるかもしれんが…さてね。

それにしても、確かに今回はオスカーさんが主役ではあった。銭形への思慕、忠誠心がそのまま激情へとシフトした結果かなりの度合いで病み状態に陥り、テメエで舞台を仕掛けてテメエでそれをぶち壊し、結果お亡くなりになってしまう、という…。無論その心理的不安定を例のふくろう紳士に利用されたのが原因でもありましょうけどね。銭形の「俺は自分の目を信じる」が「俺は峰不二子を信じる」に脳内変換されちゃうってのは流石に…言い訳できまへんわな、オスカーさん。

途中の影絵風イメージシーンとか、今回はまたヴィジュアル的に凝った絵が輪をかけて多くて目を引いたりしたっすね。あと割と本編に関係ないけど、冒頭と終盤に二度出てくる水中のエフェクトがちと面白い絵になってて、良かった。