ヨルムンガンド/峰不二子

●新番組・ヨルムンガンド PERFECT ORDER。まあぶっちゃけ分割二期目なんですけどね。ヘンテコな武器商人ココとそのうでっこきご一統、そして新参ヨナさんの物語。冒頭またもや森山周一郎のポエム、シーズンスタートのお約束なんだろうか。未だ顔の出てないココのお父んか何かかしらね。とまれ、謎の経済掌握的人工衛星紹介の後、ココに対して外からと中からの二方向で迫ってくる黒い陰、のお話である。

確か前シーズンはデコボコ三人殺し屋の撃退とアールがスパイであることがヒキでしたっけか。その殺し屋はCIAからのものではあるが、どうも責任者たる磯部勉のブラックさんから離れた存在が裏に居るらしい。それはヘックス、魔女と言う名の女。…この作品に出てくる女の人はどなたも(主にメスゴリラ系として)おっそろしいのは共通であるが、このヘックスさんはなよっちい言動とセクシャルな外見、そしてどうやらとことんサディスティックをしたお人らしい。ヤリクチがチェーカーかゲシュタポに喩えられるという…ううむやはりおそろしい。毎度々々ココさんとこに来る「強敵」のキャラ描写が立っててよろしいねえ。ヨナくんが危ない! いろいろと! 久川綾声だしな!

てことで、しばらく期間は開いてたものの、問題なくすんなりと視聴再開できた。相変わらず省略箇所と説明箇所が少々独特気味な話運びで、これはこの作品の明らかな「顔」になってるなと思ったりする。視聴継続します。…あーあと、前シーズンラストで身も世も無いほどどん底に落ちたカレンさんが、すんなりマイアミ博士んとこで充実してるの見てちょっとホロリとしました。よかったねよかったね。

LUPIN the Third 〜峰不二子という女〜・最終話。人形の女たち、の巻。ある者は傀儡のくびきから逃れようとし、ある者はその束縛を逃れさせてやろうとしてまた別の束縛をかけてしまい、そしてある者は束縛を逃れてこの物語を開放する。今回シリーズの不二子さんが囚われの記憶者・アイシャの介入による仮初のものかと思わせて、「いや実際アチシのマジ本性も同じようなもんだし」てことで彼女の履歴はやっぱし謎のまま、というシカケは妥当でしょうな。ここであんまし詳細に、辛気臭い過去譚を設定するのもヤボってもんだ。

てことで、終盤の少々辛気臭い展開を越えた結末としては案外と開放的な、スッキリしたクロージングではある。五右衛門のガールフレンド宣言とかルパンの不二子ちゃん呼ばわりとか、ここからいつものルパンにつながってくんですよというシメもよろしい。…やがて死にゆくアイシャに最後の世界を見せる(つったってテメエが楽しんでるだけなんだけど)というお節介親切はともかく、その母親であるフクロウさんに「子供に母親となる機会を与えなかった」ことを指摘する不二子さんはちとキャラが外れてるような気がせんでもない。あるいは、そういった母性だの何だのは、このプリークェルにて全て出し切り封印した、っちうことかしらね。

ラストの路上でのルパンと不二子の会話シーン、ペン(?)の個人的なクセを走らせた画風と生き生きとした動きがなんかエエな。小池さんの作画かしら。

●総評。原点回帰という体裁をとりつつ、ホンマの所は不二子さんを使ってオンナの物語を描こうとしたルパン前夜、っちうお話。一話見た段階で「おおーこれはまた、アニメ第一作とも違う更に原作マンガ寄りの作風だな」と思ったのであるが、実際終わってみてからの印象はどうだったか。…いや確かに原作マンガテイストでもあるけれど、顧客が本当に欲しかったものからは微妙にずれていたような気がせんでもない。ぶっちゃけて言うなら「岡田麿里テイスト濃厚やったなあ」っちうね。やっぱしワシ、岡田先生の本筋脚本はちょっと、苦手かもしれない。辛気臭いのとオトコノコロジックが少ないのとで。

そういう意味で、前半部分の各キャラ紹介編あたり、一話完結形式でネタと盗みとオチを備えた話の方が楽しく見られたな、とか思った。結局のシメとしては結構エエ感じだったんだけど、終盤似たようなテイストで引っ張ってた辺りの話はちと辛かったな。…これ、アクエリEVOLの感想でも似たようなこと言うたっけか。

オリジナルキャラのオスカーさんですが、微妙やなと思ってた初っ端の印象を一気にひっくり返した女学院回があまりにも印象的だったので、もうそれだけで合格点をあげてもよいかなと。正確には中の人の梶裕貴さんの演技に、ですけどね。その後の処遇がまた微妙な感じに戻ってんのはご愛嬌。ちょっとかわいそうな扱いではあったな。

全体の雰囲気や画面設計、またハード寄りに設定した各々のキャラクタなど、道具立てと舞台はとてもエエ感じだったので、できたらまたこんな感じのスペシャル番組ルパンを見てみたいなあ、ってのは無理な相談でしょうかね。キャストで言えばまずクリカン、年とって演技にツヤが出てきたのかビックリするくらい「このルパン」に合っていた。この路線でいこういこう。沢城姉さんは言うことなし、浪川五右衛門はちと青臭いがよし、山ちゃん銭形はもうあまり似せるつもりもない感じだけどまあよし。問題は次元の小林清志御大でしょうかねえ。まだ何とかイケるっちゃイケるけど、5年後はもうキツイやろしなあ。