氷菓/もやしもん/夏雪

氷菓・20話。ラグランジェがクリスマスならこっちは正月。ちたんださんと奉太郎さんが初詣の神社にてチョネチョネイチャイチャ、他に誰も居ない一つ屋根の下閉じ込められてうっふーん、という(少し偏向報道が入ってます)…うーん、もう二人とも好いたようにしたらエエねん。「着物見せびらかしに来ました!」ちうて登場してくるちたんださんのシーン、スローモーションに「ぽわわわわん」というSE入りって段階でもうオカシイのだが、それ見てる奉太郎さんも…相手の荷物に気付いて「持とうか」という前に、まずうなじの後れ毛とか凝視してるってのがマジっすな。ああマジっすよ、うん。判る判りますわ。

ええ、さて。本チャンのネタについては今回、ミステリともちょっと言いづらい趣向のお話である。閉じ込められて万事休す(って程でもない)状況下、里志さんが居ると聞かされた瞬間ハッと思い当たり、巾着袋と紐を所望する奉太郎さん…って所で「古畑」ならば暗転して「えー…皆さんどうでしょうかねえ」と視聴者に向き直る雰囲気だろうか。無論ワシはそんな歴史上の逸話なんかちいとも知らんかったので、種明かし聞いて「へーそうなんだあ」と感心するのが関の山だったのですがね。…あるいはこれ、ユルーい密室からの脱出を倒叙形式で語る、っちう風に見ることもできるだろうか。さあ?

とまあそんな仲のおよろしいお二人さんであるが、一方のマヤカと里志のカップルもこれがまた。事前にそこそこ普通の様子であるマヤカさんを見せておいて、次に里志さん登場時のもじもじ態度と「巫女姿が恥ずかしいのかな」という里志さん側のセリフである。視聴者にはハッキリと判る里志さんのニブチンさとマヤカさんの乙女加減。マヤカさんが「フクちゃん!」つって呼びかけたときの、ぱあっという擬音が聞こえてきそうなあの表情よ。…そうね、あんたら二人ももう好いたようにしたらエエよ。うん。

もやしもんリターンズ・9話。とうとう酒の封印を解いた長谷川研究員である。効果はばつぐん、龍太さんはワケの判らんカッコで語尾に「ごめんなさい」を付けちゃわざるを得ないほどに壊れてしまっている。ああ愉快痛快! …っちうてもそれはやはり、一時のこと。大人の世界はそうそう簡単に鳥かごを開けてはくれない。さて、長谷川さんが龍太さんに「木に登って」と願う、その言葉が実る日はいつ来るのだしょーかね。

とまあそんな流れと共に、何故かここで美里のおっさんとのオカシーなフラグが立ってしまうのが長谷川研究員のアレなとこである。だっせェペアルックによる偽装恋人っちう初っ端から、手ェ引かれて「ちょっと速いわよあたしヒールなの」「…スマン」ですよ。んでもって夜の葡萄畑で押し倒したり星を語ったり挙句の果てに「あたし今夜はお風呂入んない」ときたもんだ。ゲヘヘへ、そらまあ川浜さんも秋元羊介的体当たりアタックの一つもカマすわな。まその、この後どう転んでも美里さんに(身体的にも精神的にも)安寧があるとは思えないルートではありますが。うんうん、似合うよねそういうダメルート。うん。

一方でタダヤスとマリーは主人公サイド的なメイン話やってるのだが、上記話のパンチ力に煽られてちと地味っぽい感じがするのはしょっがねェかな。エエ話してんだけどね。でもワイン庫の温度がヘンだってのは、何かの形でさっさと伝えといた方がエエと思うぞ、タダヤスさん。

夏雪ランデブー・9話。繋留地を失った三人は未だ旅の途中であるが、その中でシマオさんとロッカちゃんはとうとう出会ってしまう。それまでシマオさんは亮介さんの仮初の身体に対して「あんまりじゃないか」という嘆きを表出していたが、それは自分と亮介さんの彼我の差…越えられないギャップへの嘆きであり、つまりはいずれ元の体に戻してあげるつもりであった、のだろう。しかしまあ、ここまでロッカちゃんに追いかけられ追いつかれてしまってはね。心も揺らぐことだよね。とか何とか言うてるうちに、メルヒェン世界の亮介さんの顔も「王子」と化してしまっており…いやああ。

今回はこのラストのヒキだけでなく、所々にホラーチックな表現があって陰影(?)の深い話になってたと思う。シマオさんに追いついたロッカさんが、心のヴィジョンで彼の前面(顔)に回り込むシーンとか、SEの効果も相俟って結構なサスペンス描写じゃよね。あと、直截的なホラーじゃないけど、ロッカさんの語る絵本の話はソコハカとなく怖かったよ。数千年生きて木の毒を喰らって死に、木の根と同化してハッピーエンドな女の子…ううむ、東欧とかのアートアニメみたいだ。

かと思えば、目の前の男がシマオくんだと確信するロッカさんのシーンのメインギミックが「欽ちゃん走り」とか、そういうヘッポコいネタもあったりすんですけどね。逃げてゆく彼の姿に「ヘンな走り方!」と叫んで目を潤ませる、あの絵面のペーソスは良かったな。