アクエリオン/ラグランジェ/ちはやふる

アクエリオンEVOL・11話。ジンさんが学園に潜入してきて何かするかと思えば実はコッチに居座りそうな、あとユノハちゃんと仲良くなりそうな状況である。がしかし、今回のお話は学園サイドがメインではなく、アチラの世界…と言うよりはミカゲさんが焦点であるような、そんな回でありましてね。


てことでミカゲさんは三面六臂、イズモさんを大いに煽るわカグラさんとハードSMプレイしつつ脱走を手伝うわアリシアさんを覚醒させようとするわ、全編通じていらんことしかしないというオモシロ兄さんぶりを見せ付ける。中村悠一の確かな演技力も相俟って、とにっかくその、笑みも台詞も行動も最高に気持ち悪い。キモいじゃなくて気持ち悪い。…まさかアニメで「この女中古やよ」っちう言い回しを聞くことになるとは思わなかったよ。ホンマ気持ち悪いな兄さん!


そんなミカゲさんの大振りな演技に他の要素が大概霞んでしまったが、一応ゼシカさんとカグラさんの「鏡面」を匂わせる対称性は気になるところではある。ゼシカさんはちょっと敵方に寝返りそうな雰囲気もあるけど、そうするとあるいは彼女ははジンさんと対比されるべきかもしれない。にしてもゼシカさん、間接チッスまでしかけてもアマタさんにはスルーされ、それを指摘されたら慌てて誤魔化して、と純情乙女ぶりを発揮してますなあ。一切報われてないのがこれまたいじらしいというか、寝返り伏線バンバンというか。いや判りませんけどねまだ。


輪廻のラグランジェ・10話。文化祭でゴー、ジャージ部の面々は主にまどかさんのバイタリティのおかげで忙しく立ち回るのである。ランとムギナミ、二人の部員が知らない間に築き上げてきた独自の人間関係。まどかとこの世界を護り、みんなでなかよくするために。そんな二人の独立した歩みを、しかしまどかさんは寂しく思って見ている。…まァまどかさんの性格から言って、じっと耐えて待つような行動はでけへんやろうしねえ、っちうお話。


相変わらずロボの影が薄くてキャラの物語が濃い、ホンマにそれでエエのっちう感じのお話ではありますな。いやワシは面白いからエエんだけどね。とにかく何だ、困ったり迷ったりすることがあっても「ええい知るかぶち破ったらあ」でまず行動に移してムリクリ明るくしてしまうまどかさんは、主人公としてなかなか好ましい。そらムギナミさんも「まどかちゃん理屈が通じないから」と言うワケですよ。あとこんなに漁船の大漁旗が似合う女子高生もあまり居ないと思う。まるっ!


そして影の主役はランちゃんである。いちいちマジメに気取ってはヘッポコ姿を見せる、このお姫様の魅力は何なのか。「オバケ屋敷なんか平気よ」と強がる前フリ見て「ははあこれはヘタレちゃうギャグだろうな」と思ってたら、これ以上ないくらいのマジ泣きしちゃいましたよ。もうおうち帰るーってあなた、小学生の迷子ですかいな。かわいいなあもう。


ちはやふる・10話。雨の六月、東京大会。かるた部初めての公式大会参戦である。…んで、当然かなちゃん強力プッシュによる和装なのね。現実でこーゆーことするとイチビリ扱いで悪目立ちするだろうけど、マンガやアニメとしての絵面はとてもよろしいので良いです。んで本編ですが、メインギミックは机くんの懊悩、である。


元から少々ダウナー気味な性質を有してはいたのだが、自分の戦績や同期かなちゃんの勝利、あるいは自分が当て馬に使われているという屈辱などなど…彼はすっかり自虐と自暴の域に達してしまう。今まで何度も感想として書いてきたけど、この作品はホンマにこういう「人間のマイナス感情」の描き方が生々しいなあ。まぁ今回はちゃんと1話のうちにアップリフトしてくれるのではありますけど、ね。


その他のメインキャラにあっては、まず部長として(千早がらみで精神的揺らぎはあるものの)ここぞで頼りになってくれる太一っちゃんがよろしい。んでもって「チーム戦ができていない」という衝撃によりスランプになるものの、太一っちゃんの言葉で一気に立ち直る千早さんが流石の主人公。ふっと気が晴れた瞬間の「音が聞こえてきた」という一連の絵は、鮮烈なイメージの喚起があって良かった。