あの夏で待ってる/ペルソナ

あの夏で待ってる・5話。レモン先輩の香港式映画撮影と、その後のあれこれ。映画撮ってますよという形式にかこつけて、状況の本質にグイグイと迫ってゆくレモン先輩は一体何者か。腹黒いとか策士とか言う前に、なんちうか「制作スタッフの化身」のような趣があるよ。…マジで一種のメタ的存在なのじゃあるまいか。とまれ、映画の内容とイチカ先輩の秘密が微妙な距離を持ってパラレルな線を描く中「台詞は妙にリアルだが演技はたどたどしい」というイチカさんのアドリブが可笑しい。


さて、そんな感じでモヤモヤとする感情を励起させられたカンナさんは、単身イチカ/カイトペアの居城に乗り込んでゆくのである。雨に塗り込められた背景と、顔にぺったりと貼り付いているカンナさんの笑顔。この状況を表すに充分すぎる一枚の絵、ではありますね。それを見守る哲朗さんの中にある決意が生まれ…そしてその表明にて今回の話のヒキとなる。うーん、上手いね。哲朗さんのこの行動は、あくまで自分を殺した無私の愛の中にちょいとした「澱」もみえて、何ともよろしい。


雨の中の帰り道、哲朗さんを相手に感情を吐露して「私、このままでいくんだ」と宣言するカンナさん。この、雨上がり夕日の射す夏のバス停のシーンが凄まじく美しくて、一瞬ハッとしてしまった。色彩設計やら美術設定やら、相当に気を遣って描かれているわよねえ。このシーンだけでこの作品を全て承認しそうになったよ。


ペルソナ4・18話。堂島さん家の親子の話。轢き逃げされた亡き妻の事件を追う堂島さんと、娘のナナコちゃんの間には意識の相違がある。本当の心のうちは両者とも同じ、ただ家族のためを思ってのこと…ではあるのだが。「お父さんは自分よりも悪い人の方が好きなの」という問いかけはなかなかに辛い。そこでちゃんと自らを省みて、犯人を追うことに「逃げていた」と言える堂島さんはエエ人ではある。ガンコ一徹の旧型刑事さんにしては、ね。折角の授業参観だし、そこはドラマ展開的に出席してくださるといいんだけどなあ。どうなることやら。


いつもどおりというかいつにも増してというか、ナルカミさんの精神的イケメンぶりが極まった状態で頼もしいにも程がある。傷心のナナコちゃんを前にして躊躇う堂島お父んに対して「また逃げるんですか」という台詞とかねえ。これが単なる糾弾に聞こえないのはホンマ、ナルカミさんの行動原理が徹頭徹尾相手のためなりゃこそだよな。…これで堂島さんがナルカミさんの不正規捜査活動に寛容になるともちょっと思えないが、理解の一助となればよろしいね。


さて。今回残った問題は「また町に現れた白い外車」ですか。この町の一連の事件に関わるものなのか、あるいは単なる轢き逃げ野郎なのか。次回その解決編…じゃなくて、予告見るだにバカチン話っぽいね。うん、それもまたよし。