あの夏

あの夏で待ってる・最終話。目的の地へと進む一同に、邪魔立てをかける捕獲マシン。やっぱこういう、みんなで「ここは俺に任せて先に行け!」っちうシチュエーションのたたみかけは燃えますわな。いつもの友人たちだけでなく、お姉ちゃんやりのんさんまで繰り出しての盛り上げはなかなかよろし。そしてとうとうその「風景」にたどり着くも、しかし…というね。


タイトルからして「ひと夏の思い出」的な、ちょいとほろ苦い味の結末だろうなってのは想像つきますが、その終着地へむけてのツッコミ方がなかなか堂に入ってるので面白かったな。あんなけ盛り上げたからこそ、そののちゆっくりと日常の戻っていった彼らの姿にじんわり来るものがあったりするワケでね。…とか言うてたら「ええ?」っちうオチを残してシメにするのも上手いものだ。あの喜久子姉さんの登場は、どこまで前作とリンクしてんのか判断は付かんが…まいいや。あと、やっぱしレモン先輩はMIBでしたねえ。うふふふふ。


最後に今までの集大成的なフィルムをみんなで見るというギミックがベタながらよし。つーかあの絵もこの絵も全部録画してるって描写あったっけか? この辺、確認しながら見返したらまたおもろいかもしれない。めんどうなのでワシはやりませんが。


●総評。前作…と言っていいのかどうかよう判らんが、先行した姉妹作品については未視聴なのであまり言及しません。てことでこの作品、オチモノSFの純情ラブコメ風味ってとこですかね。なんちうかその、タイトルにしても物語構造にしても、主役二人がガッチリと結びつくことに視聴者誰一人として疑問を差し挟めないようになっており、途中ゴタゴタはあるだろうがそのゴールは確定している(「待ってる」ことにはなるだろうけれど)ようなアニメである。となれば楽しみなのは「じゃあどんな風にゴタゴタすんだろうな」ってとこでして、ね。


っちう意味で、物語上の魅力的な部分はやっぱしカンナ/哲朗/ミオの三人の方にあるわけですわな。当たって玉砕しちゃうセイシュン人たちの、寅さん的な魅力といいうか、負け戦こそが美しいというか。判官びいきじゃないけれど、こうなるとイチカ/カイト組の方はちょっとデリカシーが足らんようにも感じてしまうシーンもあったりね。ま、そんなけ恋は盲目であり若さこそパワーなのではありますけれども。


それにしても、こういう「ほろ苦いセイシュンの恋物語」にジュヴナイル的SFは相性がええなあ、と再認識したりした。その認識はあくまで、ワシらおっさんが過去を思うような視点からのものではある。もう届かなくなってしまった(いやワシの場合は元から届くセイシュンしてなかったけどさ)若い時代の幻想という、ちょいと非現実的なモノに昇華されかかっているあの感情。それはもう、ファンタジィでありフィクションであり寓話である。そして季節は夏である…これが秋だとちょっとオトナっぽかったりするわよね。どうでもいいか。


てことで、楽しうございました。続編とかは無くてもいいかな。これはこのままで充分かもね。