シュタインズゲート/ピングドラム

Steins;Gate・最終話。起こった事件を無かったことにしてはいけない。最善の世界線を選びつじつまを合わせんがため、オカリンは文字通り血を流して奮闘するのである…というお話。上手くいくのか不安がるラボメンたちに対し「バカめ! 全て貴様のやり方は見抜いているのだ!」と過去の自分の行動を保証するオカリンがかっこいいんだか悪いんだか。ねえ。


全てコトが済んで、皆さんは平和な日々と人生を取り戻す。エピローグとしてオカリンは、ラボメン各々にバッジを配ってまわる。これが上手いことシリーズ全体の回顧と紹介になっててエエ感じ。最後の最後、オカリンはクリスさんについて思いをはせるのだが…ってとこでご本人登場はお約束。事件の記憶の一部をカスミのように帯同させ、不思議がる彼女にバッジと手を差し出し「ようこそ我が助手、マキセクリス…いや、クリスティーナ」の言葉を置くオカリンは最高にカッコよろしい。シメのシーンとして満点ではなかろうか。


●総評。人気ゲームのアニメ化であり、評判は聞いていたものの実際に触れたのはワシはこのアニメが初である。その部外者的な立場からの感想だと、あーこれは確かにアニメオリジナルの構成ではないよな、という感想がまず出てくる。もし企画からアニメで立ち上がったとするならばこんな構成にはならないだろう。初回のインパクトは充分として、3話4話辺りでもっとキャッチーかつダイナミックな変化を持ってくると思う。そのくらい、アニメ作品としては平板な流れになっている。特に序盤はそうだったすね。


しかしこれは多分、製作側のあえての選択だったのだろうとも思う。アニメ的なアダプテーションで原作ゲームとは異なるエンタテイメントを創出するより、原作に沿った方向性でのそれを提供することを採ったと。原作ファンはいいとして、新規の視聴者も開拓できる程度の要素…雰囲気であるとか声優演技であるとか、あるいは事前のネームバリューであるとか…が、あると踏んだというところか。


実際それでワシはこの作品にフックしちゃったワケですしね。そしてゲームという自分の裁量でテンポなり進み方なりを調整できるメディアなら、確かにこれは面白いだろうなという手ごたえもあった。元が一本道ゲームでない以上、このアニメを見た上で原作ゲームを買ってみようというモチベーションもアリだしね。


見通して興味深かったなと思うのは、世界の変容や巨大組織の野望、はてはWWIIIといったものでさえ本質的には単なる「後景」に過ぎないというウェイトの取り方。これがハリウッド的なるものであれば(仮に着地点は同じようなものだとしても)それらの大域構造についてもっと尺と見せ場を取り、メインのオカズにするような構成になると思う。この作品の主眼はあくまで「オカリンとその関係性の世界」にあり、彼の(≒視聴者、プレイヤの)視点から大きく外れるものにはあまり力点を置かない。セカイ系の典型とも小ぢんまりとしちゃう日本風の作品とも言えるけれど、その分人間関係の雰囲気は濃密に感じられるように作る。うーん、いかにも「らしい」つくりだと思う。


…しかしまあ、上記の序盤の平板さを置いといても、トッツキの悪い作品であるのは間違いないとは思いますよ一般的に。登場人物どいつもこいつもどっかヘン、それも中二にネトヲタに不思議ちゃんにロジカルツン娘に…と基本青臭い方向にヘン。おまけにSFテイストだ。世間的にはSFってだけでちょいと敬遠されちゃうんでしょ昨今。いやあね。ワシは大好物だけど。しかしCERN…に似たものが顔の見えない悪役だってのはちょっとだけアレやなー。そこら辺はなんかモヤモヤする。ああいう巨大科学技術が好きなだけに、なんかね。いや意外とホンマモンの職員さんたちは喜んでそうな気もするが、まあ。


あとこれは原作からの要素なのかどうかは判んないけど、かなり特徴的な画面作りも印象に残る。極力モノトーンに振った、どこか現実味の無い色彩設計…、このせいで平板っぽい印象が加速している気がせんでもないけど、それでも独特の味わいは捨てがたい。そんな中で異様に鮮やかな青空とかね。その割にSEとかが妙に古臭いのは気にもなったけど。あれはああいう、意識に上らないちょっとした違和感を醸し出す演出だったとかでしょうか。まいいや。


数多ある「ゲームのアニメ化」というジャンルにおいて、なかなか誠実な成功例だったと思う。そんなけ原作ファンがコアな層だったっちうとこなんでしょうけどね。てことで楽しみました。原作ゲームは…ま、機会あらば。ワシめんどくさがりなので多分やらんだろうけど。


輪るピングドラム・10話。先週の半回想譚を挟み、事故に遭ったショウマさんの話の続き。何故か狙われているリンゴさんの運命日記をめぐり、また一人めんどくさい人・マサコさんが運命のラインに本格介入してくる。主人公たちとはペンギンで、リンゴさんとは日記で何かの因縁があるようだが、彼女の本当の狙いは日記ではなく、カンバさんでした…というね。


車にはねられた直後に略取誘拐監禁とはショウマさんもなかなか不幸体質である。にしても誘拐されたという脅しの画像、シバリやメスはともかくギャグボール装着ってのは…趣味ですかねえ。エエけど。そして今回主目的のカンバさんは、マサコさんによる不思議空間に囚われるのだが、記憶の階層を深く下りてゆくという描写は先週のひまり図書館に共通する構造ですな。ピンドラ世界のデフォルトなのかしら。んでまあ一連のシーンをつなげると、「手作り弁当に手作りケーキに手編みセーターでカンバさんの興を引こうとするも全部空振りだったお姉さんの逆襲」ってことですか? …重い、重いなあ…。どのみち「いやだわ、早くすりつぶさなきゃ」が口癖のハンターお姉さんってヤだよね。少なくともカンバさんとは性格上衝突しそうだよね。でもワシはゼヒすりつぶされたいかもしれないが、それはあまり関係ないので置く。


主目的はないと言ってはいたが、ちゃっかり運命日記もマサコさんの手に落ちてしまう。人生ほぼ運命日記しかないという風情だったリンゴさんにとって、ショウマさんの存在と事件はまた別の価値観を示すキッカケにもなったのだろうか。無論ここであきらめたりするようなお人ではなかろうが、ね。


先週の武内宣之に続き、今回は後藤圭二絵コンテ演出作監原画のオンステージ。まァたすげえことやってやがんなこのアニメ。割と作家性の強い後藤のおっさんだけに、絵柄がち普段とはちょいと異なってたが、しかし上手いお人ではあるよなあ。…それにしても一人原画の作業量じゃない動きの回だったのだが、ひょっとしてこないだのクロワーゼ単騎無双と同時期にやってたのか? とんでもないおっさんやなあ…。