氷菓/坂道のアポロン/つり球

氷菓・3話。えるさんのご相談とは過去、彼女が元古典部だっが叔父に訊いたはずの答えとは何か、である。思い出せないその内容は、いまや家庭環境などのごたごたが重なって容易に調べられない状態。しかしどうしても知りたいので奉太郎さんなんとかしてください、っちうね。…うん、何というか、めんどくさいお嬢さんだな! その申し出に対して「じゃ判ったら教えるわ」という内容をもったいぶって返す奉太郎さんもなかなかめんどくさい。ちうか、その何だ、若いねえ。げへへへ。…人数が少ないからアレだけど、これで古典部がそこそこの大人数だったら、えるさんはかなり効率的なサークルクラッシャーになっただろうな。まいいや。

とりあえずその問題は置いといて、こないだより懸案であった古典部文集のバックナンバーについてである。どうやら壁新聞部にあるらしいのだが、たンねに行ったらそこの部長さんの態度がどうもおかしい。何か隠しているらしき部長さんに、奉太郎さんはちょいちょいと人心誘導をほどこして妥協点を提示、相手の弱みを握りつつこっちの目的も遂げると。…なるほど、タバコの匂い消し、ね。うん、やはりこの程度の小さなミステリってのは、ワシ好みでよし。

ミステリものの傾向として、どうしても説明のための文章量が多くなるってのは避けられない。アニメにするとそこら辺はどうしても平板化してしまいがちなのだが、この作品では様々な視覚効果を使って目先を変えることで対処している。バランスが難しいところだろうが、個人的にはちょっと鬱陶しいエリアに入り込みかけてるな、とか思った。もう少し「平板」でもワシは構わんよ。ま、ワシ個人の嗜好にあわせてもしゃァないでしょうけれどもさ。

…余談ですが、ガリ版刷りの冊子ってのはやっぱ雰囲気がエエねえ。コピーや印刷に世代交代して表現形の断絶があるだけに、余計にノスタルジックな雰囲気が乗っかってくる。これもワシのフェチジャンルの一つである「限られたりソースで何とかする」っちうのに該当するものだなあ。

坂道のアポロン・4話。ちょいちょいこじれつつもセッションやってはエエ気持ちになるご一統。やっぱ音楽ってのは心よねえ…とか言ってたらユリカさんが淳兄ちゃんに惚れてしまった。これで薫→りっちゃん→千太郎→ユリカさん→淳兄、という人物相関図になりました。うへえこれは大変だ。とは言え、あのセッションシーンにての淳兄の凄まじいイケメンぶりを見てしまってはしょうがない。そら確かに惚れてしまうよな、とワシらにも判るくらいに「いざという時の人間力」の大きいお人ではあった。

テメエのつまんない家庭を怨み、千太郎さんに八つ当たりするする薫さん。それを受けてアルバム見せつつ「実は俺もちょっとアレな家庭でねえ」と素直な心情吐露をする千太郎さんは、やっぱし根がエエ人なのである。そーか、千太郎さんの明るい色の髪の毛はアニメ的表現でも不良として染めたワケでもなく、ハーフだからなのか。…やっぱしこの二人はエエコンビですな。音楽がベースにあるからってのもあるでしょうね。

後半のサワリシーン、ユリカさんが客席に居るので固くなってる千太郎を演奏で炊き付ける薫さん。音楽で会話するってのはよくあるネタなんだけど、アニメで実際の演奏シーンを描写しつつガッツリと提示するってのは相当に手間ひまかかることだろうなあ。もうこれはBGM・バックグラウンドミュージックではなくてFGM・フォアグラウンドミュージック。いやホンマの用語でなんてェのか知らんけど。

スタッフ見てて気付いたが、方言指導に宝亀克寿が入ってはんのね。長崎出身か。

つり球・4話。キャスティング練習にお墨付きをもらい、さて実地で釣りますか、ってとこでちょいとごたつく人間関係。ハルナツフユの三人それぞれ違う対人ウィークポイントが設定されているのですな。奔放な父親とソリが合わないナツキさんを何とかしよう、ってんで例の水鉄砲を使ってしまうハルさんと、それが許せないユキさん。そうね、ハルさんが宇宙人だから人間の気持ちが判らないってのはマジなのかもしれない。ハルさんの理解と発展を通じて、その周囲のユキさんたちも人との間を歩み近づいていくことができるのだろうか。

流れとしては釣りシーンが人間関係とパラレルになってるみたいなので、これからも釣りが上手くなるにつれて彼らの関係も進んでいくっちうこっちゃろかね。相手のことを想像しろ、焦らず集中しろ、そして合わせろ。コミュニケーションという意味では通じるものはあるでしょうな。…ま、魚の方からしたらたまったもんじゃねえだろうけどね。それはまた、生命がらみの話作ってやりそうな気もする。

今んところケイトばあちゃんは「困った時の相談役」として抜群の安心感がある状態。さてしかし、いつまでもこのセンセイが居てくれるかどうか。いやまあ、あれだけ濃厚に退場フラグを立ててるし、逆に回避しちゃうっちう目もあるかもしれませんけどね。